性感染症について

性病の皮膚症状とは?発疹・水疱・潰瘍の特徴と受診目安

「陰部に赤いぶつぶつができた」「水ぶくれのようなものがある」「手のひらに発疹が出てきた」こうした皮膚の変化に気づき、もしかして性病ではと不安になっている方もいるのではないでしょうか。

性感染症の中には、発疹・水疱・潰瘍・いぼなど、皮膚や粘膜に症状が現れるものが少なくありません。一方で、見た目だけで病気を判断することは医師にとっても難しく、検査による確認が欠かせません。

この記事では、性病による皮膚症状の種類と疾患ごとの特徴、受診の目安を解説します。

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性病による皮膚症状は「形」と「場所」がさまざま

性感染症による皮膚症状と聞くと、性器にできる症状を想像する方が多いかもしれません。しかし実際には、性器だけでなく肛門や口のまわり、さらには手のひらや背中など全身に症状が出る病気もあります。また、症状の形も一つではなく、赤い発疹、水ぶくれ(水疱)、皮膚がえぐれたような潰瘍、盛り上がったいぼやしこりなど、疾患によって大きく異なります。

もう一つ知っておいていただきたいのは、性感染症の皮膚症状には「痛みがないもの」や「自然に消えてしまうもの」が多いという点です。痛みやかゆみがないと見過ごしやすく、症状が消えると治ったと思い込んでしまいがちです。しかし症状が消えても、体の中で感染が続いている場合があります。

いだてんクリニックにも、「しばらく様子を見ていたら消えたけれど、やはり気になって」というお問い合わせが寄せられます。皮膚の変化に気づいたときは、形や場所、痛みの有無を記録しておくと、受診時の診察に役立ちます。

性病でみられる主な皮膚症状の種類

性感染症による皮膚症状は、見た目の特徴によっていくつかのタイプに分けられます。この章では、代表的な皮膚症状について4点に分けて解説します。

発疹(赤いぶつぶつ・紅斑)

発疹は、皮膚に赤い斑点やぶつぶつが現れる状態です。性感染症では、梅毒の第2期にみられる「バラ疹」が代表的で、手のひらや手の甲、腕、足、背中などに痛みのない赤い斑点が広がります。手のひらや足の裏に出る発疹は、梅毒を疑う重要なサインの一つとされています。

また、HIVの感染初期にも、発熱やのどの痛みとともに全身に発疹が出ることがあります。発疹はかゆみを伴わないことも多く、ほかの皮膚の病気や薬の副作用による発疹と見分けがつきにくいのが特徴です。性器以外の場所に出ると性病と結びつけにくいため、心当たりのある性行為のあとに発疹が出た場合は、性感染症の可能性も含めて確認することが大切です。

水疱(水ぶくれ)

水疱は、皮膚の表面に液体がたまって盛り上がった状態です。性感染症で水疱が出る代表的な病気は性器ヘルペスで、小さな水ぶくれがいくつか集まって現れるのが特徴です。水疱が破れると浅い潰瘍になり、ヒリヒリとした強い痛みを伴うことがあります。

性器ヘルペスでは、水疱が現れる前に、外陰部の不快感やかゆみ、ピリピリとした違和感が先に出ることがあります。特に初めて感染したときは、発熱やだるさ、足の付け根のリンパ節の腫れを伴うこともあります。水疱は数週間で自然に治まることが多いものの、ウイルスは体内に残り、疲れや体調不良をきっかけに再発を繰り返すことがあります。

潰瘍・ただれ

潰瘍は、皮膚や粘膜の表面がえぐれて傷のようになった状態です。性感染症では、梅毒と性器ヘルペスで潰瘍がみられることがありますが、その性質は対照的です。

・梅毒の潰瘍(硬性下疳):硬くしこりのようで、痛みがないことが多い

・性器ヘルペスの潰瘍:水疱が破れてできる浅い潰瘍で、強い痛みを伴うことが多い

梅毒の潰瘍は痛みがないため、陰部や肛門、口の中など目に入りにくい場所にできると気づかないまま過ごしてしまうことがあります。一方で、ここに挙げた特徴はあくまで典型例です。痛みの有無だけで梅毒かヘルペスかを判断することはできません。潰瘍やただれを見つけた場合は、自己判断せずに医療機関で確認を受けてください。

いぼ・しこり

いぼやしこりは、皮膚が盛り上がったり硬くなったりする症状です。性感染症では、尖圭コンジローマによるいぼがよく知られています。淡いピンク色から褐色で、表面がギザギザした形をしており、ニワトリのとさかやカリフラワーのように見えることがあります。

尖圭コンジローマは痛みやかゆみがほとんどないことが多く、肛門のまわりや腟の中など自分では見えにくい場所にもできるため、気づくのが遅れやすい病気です。また、梅毒の感染初期には、感染した部位に硬いしこり(初期硬結)ができることがあります。どちらも痛みが少ないことから放置されやすいため、見慣れない盛り上がりやしこりに気づいたら、早めに確認することをおすすめします。

疾患別にみる皮膚症状の特徴

皮膚症状が出る性感染症には、それぞれ特有の経過や注意点があります。この章では、代表的な4つの疾患について4点に分けて解説します。

梅毒

梅毒の皮膚症状の例

梅毒は、病期によって皮膚症状が大きく変わる病気です。感染から3週間ほどたつと、感染した部位に硬いしこりや潰瘍(硬性下疳)ができ、痛みがないまま3〜6週間ほどで自然に消えます。しこりや潰瘍が現れてから4〜10週間ほどたつと第2期に進み、手のひらや背中などにバラ疹と呼ばれる赤い発疹が出ることがあります。

梅毒のポイント

・気づかれにくい理由:しこりも発疹も痛みがなく、自然に消えてしまう

・放置した場合のリスク:症状が消えても感染は続き、パートナーへうつす可能性がある

・対処法:血液検査で診断でき、抗菌薬による治療が可能

(出典:国立健康危機管理研究機構「梅毒(詳細版)」)

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、HSV(Herpes Simplex Virus:単純ヘルペスウイルス)の感染によって、性器やその周辺に痛みを伴う水疱や潰瘍ができる病気です。潜伏期間は2〜21日程度(通常3〜7日)で、初めて感染したときは発熱を伴うこともあります。

性器ヘルペスのポイント

・気づかれにくい理由:症状がないときでもウイルスを排出し、感染源になることがある

・放置した場合のリスク:ウイルスが体内に潜み、再発を繰り返すことがある

・対処法:抗ウイルス薬で症状を抑える治療が行われる

再発時の症状は初めての感染より軽く、1週間以内に治まることが多いとされています。

(出典:国立健康危機管理研究機構「性器ヘルペスウイルス感染症」)

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、HPV(Human Papillomavirus:ヒトパピローマウイルス)の6型・11型などが原因で、性器や肛門のまわりにいぼができる病気です。感染してからいぼが出るまでに数週間から3か月程度かかるとされ、いつ感染したのか特定しにくいのが特徴です。

尖圭コンジローマのポイント

・気づかれにくい理由:自覚症状に乏しく、見えにくい場所にできることがある

・放置した場合のリスク:いぼが増えたり大きくなったりし、パートナーに感染させる可能性がある

・対処法:切除やレーザー、塗り薬などの治療があり、治療後も再発に注意して経過をみる

(出典:国立健康危機管理研究機構「尖圭コンジローマ(詳細版)」)

HIV

HIVに感染すると、2〜3週間後に発熱やのどの痛み、リンパ節の腫れとともに、全身に発疹が出ることがあります。ただしこれらはインフルエンザなどに似た症状で、数日から10週間程度で自然に治まることが多いため、性感染症だと気づかれにくい傾向があります。

HIVのポイント

・気づかれにくい理由:風邪のような症状と発疹で、まったく症状が出ない場合もある

・放置した場合のリスク:症状が消えた後も数年から十数年の無症状期に免疫が低下していく

・対処法:血液検査で診断でき、早期に治療を始めれば通常の生活を送ることが可能

(出典:国立健康危機管理研究機構「HIV感染症/AIDS(後天性免疫不全症候群)(詳細版)」)

性器ヘルペスの再発や感染については、下記のページも参考にしてください。

皮膚症状の特徴を比較

ここまで紹介した疾患の皮膚症状を、比較しやすいように表にまとめます。

疾患名 主な皮膚症状 痛み 出やすい部位 自然に消えるか
梅毒(第1期) しこり・潰瘍 ないことが多い 性器・肛門・口 3〜6週間で消える
梅毒(第2期) 赤い発疹 ないことが多い 手のひら・体幹など全身 自然に消える
性器ヘルペス 水疱・浅い潰瘍 強いことが多い 性器・肛門周辺 数週間で治まり再発あり
尖圭コンジローマ いぼ ほとんどない 性器・肛門周辺 一部は自然に消える
HIV(感染初期) 全身の発疹 ないことが多い 全身 自然に消える

表を見るとわかるように、多くの皮膚症状は痛みが少なく、自然に消えてしまう傾向があります。これが、性感染症の皮膚症状が見過ごされやすい大きな理由です。「症状が消えた=治った」ではないという点は、特に覚えておいていただきたいポイントです。

ただし、この表は典型的な症状をまとめたもので、実際には表に当てはまらない出方をすることも少なくありません。複数の性感染症に同時にかかっていることもあるため、表の内容だけで病名を推測するのではなく、受診の目安として参考にしてください。

梅毒の症状が気づかれにくい理由については、下記のページも参考にしてください。

見た目だけで性病と判断できない理由

陰部や皮膚の変化は、性感染症以外の原因でも起こります。そのため、皮膚症状の見た目だけで性病かどうかを判断することはできません。性感染症と似た症状が出る主な原因には、以下のようなものがあります。

性感染症と似た皮膚症状が出る主な原因

・接触皮膚炎(下着・洗剤・コンドームなどによるかぶれ)

・カンジダなどの真菌(カビ)による感染

・毛嚢炎(毛穴の細菌感染)

・湿疹・あせも

・薬の副作用による発疹

逆に、性感染症であっても一般的な皮膚トラブルに見えることがあります。たとえば梅毒の発疹は湿疹や薬疹と区別がつきにくく、尖圭コンジローマのいぼも他のできものと見分けがつかないことがあります。

原因を確認しないまま自己判断で市販薬を使用することはおすすめしません。原因によって必要な治療はまったく異なり、違う薬を塗ることで症状が変化し、かえって診断が難しくなることもあります。自己診断はあくまで受診の目安としていただき、気になる症状は医療機関で診察・検査を受けたうえで治療を始めることが大切です。

受診を検討すべきサイン

皮膚の変化に気づいたとき、どのタイミングで受診すればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。以下に当てはまる場合は、性感染症の可能性も含めて早めに受診を検討してください。

受診を検討すべき皮膚症状の目安

・性器・肛門・口のまわりにしこり、潰瘍、ただれがある

・陰部に水ぶくれができ、痛みやピリピリ感がある

・手のひらや足の裏に赤い発疹が出ている

・性器や肛門のまわりにいぼのような盛り上がりがある

・発疹と同時に発熱やリンパ節の腫れがある

・一度消えた症状が再び出てきた

また、症状がすでに消えている場合でも、心当たりのある性行為のあとに皮膚の変化があったなら、受診をおすすめします。梅毒やHIVのように症状が自然に消える病気でも、血液検査で感染の有無を確認できます。

パートナーが性感染症と診断された場合や、パートナーに皮膚症状がある場合も、ご自身に症状がなくても検査を受けることが大切です。性感染症は症状がないまま経過することも多く、ご自身とパートナーの両方を守るためにも、早めの確認が安心につながります。

症状がなくても検査を受けるべき理由については、下記のページも参考にしてください。

いだてんクリニックでの検査・診察

いだてんクリニックでは、性感染症の検査・治療に対応しています。皮膚症状がある場合は、医師が症状の形や部位、経過を確認し、必要な検査を判断します。梅毒やHIVのように血液検査で調べる病気、ヘルペスのように病変部から調べる病気など、疾患によって検査方法は異なりますが、「何を検査すればいいかわからない」という段階でも問題ありません。

皮膚症状と同時にほかの性感染症にかかっていることもあるため、状況に応じてクラミジアや淋菌などを含めた複数の検査をまとめて受けることも可能です。一部の検査は即日検査(結果まで30分)にも対応しています。

いだてんクリニックは大阪院・博多駅前院の2院で診療しています。大阪院は扇町駅・天満駅から徒歩1分、博多駅前院はJR博多駅 筑紫口から徒歩2分、地下鉄博多駅 東6番出口から徒歩1分です。大阪院は月・火・水・金・土14:00〜21:00、日・祝10:00〜17:00(木曜定休)、博多駅前院は火・水・金・土13:00〜20:00、日・祝10:00〜17:00(月・木休診)に診療しています。仕事帰りや休日にも受診いただけます。

性感染症の検査内容や治療については、下記のページも参考にしてください。

検査ごとの費用については、下記のページも参考にしてください。

まとめ

重要なポイント

・性病による皮膚症状には、発疹・水疱・潰瘍・いぼ・しこりなどさまざまな形がある

・症状は性器だけでなく、肛門・口のまわり・手のひら・全身に出ることがある

・梅毒やHIVの皮膚症状は痛みがなく、自然に消えることが多い

・性器ヘルペスは痛みを伴う水疱や潰瘍ができ、再発を繰り返すことがある

・性病以外でも似た皮膚症状は起こるため、見た目だけでは判断できない

・自己判断で市販薬を使わず、医療機関で原因を確認することが大切

皮膚に気になる変化が出たときは、不安を抱えたまま様子を見続けるより、一度検査で原因を確かめることが安心への近道です。いだてんクリニックでは、皮膚症状を含む性感染症の診察・検査に対応しています。気になる症状がある方は、お気軽にご予約ください。

よくある質問

性病の皮膚症状はかゆみがありますか?

疾患によって異なります。梅毒の発疹やしこりはかゆみや痛みがないことが多く、尖圭コンジローマのいぼも自覚症状に乏しいとされています。一方、性器ヘルペスでは水疱が出る前にかゆみや違和感が出ることがあります。かゆみの有無で性病かどうかを判断することはできないため、気になる症状があれば受診をおすすめします。

皮膚症状が消えたら、もう治ったと考えてよいですか?

いいえ、そうとは限りません。梅毒の硬性下疳や発疹、HIVの感染初期の発疹は、治療をしなくても自然に消えることがありますが、感染が治ったわけではありません。症状が消えた後も体内で感染が続き、パートナーにうつす可能性もあります。心当たりがある場合は、症状が消えていても検査を受けてください。

手のひらに発疹が出ました。性病の可能性はありますか?

手のひらや足の裏に痛みのない赤い発疹が出る場合、梅毒の第2期の症状である可能性があります。ただし、手のひらの発疹は湿疹や薬の副作用など、ほかの原因でも起こります。見た目だけでは判断できないため、心当たりのある性行為があった場合は、血液検査で梅毒の感染を確認することをおすすめします。

陰部の水ぶくれはヘルペスですか?

陰部に痛みを伴う小さな水ぶくれが集まってできる場合、性器ヘルペスの可能性があります。ただし、かぶれや毛嚢炎など、ほかの原因で似た症状が出ることもあります。水疱の見た目だけで病名を判断することはできないため、医療機関で診察を受けて原因を確認してください。

市販の塗り薬で様子を見てもよいですか?

原因を確認しないまま市販薬を使うことはおすすめしません。皮膚症状の原因は細菌・ウイルス・真菌・かぶれなどさまざまで、原因によって必要な治療が異なります。合わない薬を使うと症状が変化し、診断が難しくなることもあります。まずは医療機関で原因を確認したうえで、適切な治療を受けることが大切です。

皮膚症状がある場合、どんな検査を受けますか?

疾患によって検査方法が異なります。梅毒やHIVは血液検査、性器ヘルペスは病変部からの検査などが行われます。尖圭コンジローマは医師が見た目で診断できることが多い病気です。当院では、医師が症状や経過を確認したうえで必要な検査を判断しますので、何を検査すればよいかわからない場合もお気軽にご相談ください。

陰部のいぼやできものについては、下記のページも参考にしてください。