うつる?うつらない?再発する?ヘルペスの不安を解消します!
「ヘルペス」は、口唇や性器に水ぶくれができるウイルス感染症です。原因は単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus:HSV)で、主に1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があります。
初めて感染した場合は、症状が2~4週間ほど続くこともありますが、発症早期に抗ウイルス薬を開始することで、痛みの軽減や症状が続く期間の短縮が期待できます。
性器に水ぶくれや痛みが出ると、「これって性感染症?」「パートナーにうつる?」と不安になる方もいらっしゃいますが、ヘルペスは適切な治療を受けることで、症状をコントロールしながら日常生活を送ることができる病気です。
この記事でお伝えしたいこと
・ヘルペスはさまざまな経路で感染する。
・症状が出ていなくても、相手に感染させてしまうことがある。
・症状が出たら早期に治療することで、負担を軽減できる。
・再発が多い場合は、再発抑制療法でコントロールできる場合がある。
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ヘルペスとはどんな病気?
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)による、皮膚や粘膜の感染症です。
HSV-1
主に口唇や口腔周囲にみられますが、オーラルセックスなどにより性器に感染することもあります。性器ヘルペスの初感染の原因として、HSV-1が約70%を占めるとされています。
成人の約50~80%が感染していると推測されています。
HSV-2
主に性器にみられますが、口唇に症状が出ることもあります。成人の約7~10%が感染していると推測されています。
ヘルペスの感染経路
ヘルペスは主に接触によって感染し、さまざまな経路でうつることがあります。
症状が出ているときは特に感染しやすく、キス、性行為、ウイルスが付着した手やタオル、回し飲みなどで感染することがあります。
また、症状が出ていないときでも、唾液や皮膚の表面にウイルスが排出され、他者に感染する可能性があります(無症候性排泄)。そのため、「誰からうつったか」を特定するのは非常に難しい場合があります。ヘルペスは誰でも感染する可能性がある、ありふれたウイルスであるため、正しく知って対処することが大切です。
感染後、ウイルスは体内の神経に潜伏(潜伏感染)し、疲労・ストレス・発熱・睡眠不足・月経などをきっかけに再発することがあります。
ヘルペスの大きな特徴は、「一度感染すると、ウイルスが体内に潜伏し、再発することがある」という点です。
ヘルペスの症状
初めての感染(初感染)
症状が強く出やすいことが特徴です。
2~10日の潜伏期間の後、発熱・倦怠感、強い痛みを伴う水ぶくれ、びらん、潰瘍、リンパ節の腫れなどが出現します。
治療をしない場合、治るまでに2~4週間ほどかかることもあります。
再発
チクチク・ピリピリとした前駆症状の後に水ぶくれが出現し、1週間以内に治ることが多いです。
※性器や肛囲に症状がある場合は、梅毒・淋菌感染症・クラミジア感染症・ヒト免疫不全ウイルス感染症など、ほかの性感染症を合併していることがあります。
症状が出ているときは、症状を悪化させないこと、周囲に感染を広げないことが大切です。
下記の点に注意して過ごしましょう。
ヘルペスの診断・検査
ヘルペスの診断は、視診や問診(症状、経過、性行為歴)と検査を組み合わせて総合的に判断します。
当院では、下記のヘルペス検査が可能です。
| 検査の種類 | 抗原検査 | 血液検査 |
|---|---|---|
| 何を調べる? | ウイルスそのもの | ウイルスに対する抗体、型 |
| 検体 | 水ぶくれ・浸出液 | 血液(採血) |
| タイミング | 症状が出ているときに実施可能 | 感染機会から4週間以降 |
| 結果 | 当日(約30分) | IgG抗体・IgM抗体(3~5日後) 1型・2型(7~10日後) |
| 費用 | 7,000円(税込) | IgG抗体・IgM抗体 各6,000円(税込) 1型・2型 6,000円(税込) |
ヘルペスの治療
抗ウイルス薬を使用することでウイルスの増殖を抑え、症状の改善を早めることができます。
症状が出始めた早い段階で治療を行うと、より効果的です。
症状が出ているときの治療
・抗ウイルス薬の内服(飲み薬)
一般的な治療法です。ウイルスの増殖を抑えます。
症状が治まっても、体内でウイルスの増殖が続いている可能性があるため、処方された薬は原則として飲み切りましょう。
・抗ウイルス薬の外用(塗り薬)
皮膚や粘膜の表面で、ウイルスの増殖を抑えます。
内服に比べると、効果は限定的です。
再発抑制療法(頻繁に再発する方)
頻繁に再発する方や、仕事や生活上の事情でできるだけ再発を避けたい方には、抗ウイルス薬を1日1回継続的に服用する再発抑制療法が選択肢になります。
パートナーへの感染リスクを減らす効果も期待できます。
ヘルペスの予防
ご自身の再発予防と、パートナーへの感染予防の両面から対策することが大切です。
ご自身の再発を防ぐための体調管理
ヘルペスは、疲労・ストレス・睡眠不足などをきっかけに再発することがあります。
・十分な睡眠とバランスのよい食事を心がける。
・過度なストレスや疲労をためない。
・強い紫外線が再発のきっかけになることがあるため、スキーや海水浴などの際は紫外線対策を行う。
パートナーへの感染を防ぐ
・症状があるとき(水ぶくれやただれがあるとき)は、キスや性行為などの接触を控える。
・コンドームを使用する。
最後に
ヘルペスはとてもありふれた感染症ですが、誰にも相談できず、一人で悩んでいる方も多くいらっしゃいます。
いだてんクリニックでは、プライバシーに配慮し、患者さんのライフスタイル(再発頻度やパートナーの有無など)に合わせた治療法をご提案します。
「もしかして?」と思ったら、お一人で悩まずにお気軽にご相談ください。
▶知りたいことがすぐわかる!性感染症ナビ 予防から診断・治療、最新知見まで
▶性感染症 診断・治療ガイドライン 2026
▶公益社団法人 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:ヘルペスと帯状疱疹」
▶Seroprevalence of Herpes Simplex Virus 1 and 2 in a Population-Based Cohort in Japan
<医師 塩尻 大輔> パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、ヒト免疫不全ウイルス感染症や曝露前予防内服をはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者さんの心に寄り添った医療を提供されています。 日本生まれですが、アフリカのケニアで育ち、現地でも医師免許を取得されています。医療支援や教育支援などにも取り組まれています。 当院でも非常勤医師として診療を担当いただいております。