クラミジアはコンドームで防げる?ゴムありの感染率と正しい使い方
「コンドームを着けていたのに、クラミジアに感染するの?」「ゴムありなら大丈夫だと思っていた」性行為のあとに不安になり、このページにたどり着いた方もいるのではないでしょうか。
コンドームは、クラミジアの感染リスクを下げる大切な予防手段です。ただし、挿入時に正しく着けていても、コンドームを使わないオーラルセックスでは、性器とのどの間で感染する可能性があります。オーラルセックスを含め、性器や口が触れる前から最後まで正しく使うことが重要ですが、実際にはコンドームで防げない接触もあり、感染を完全に防ぐことは難しいのが実情です。また、キスはコンドームで防げない接触ですが、キスだけでクラミジアに感染するかどうかは、現時点では確立していません。
この記事では、コンドームでクラミジアをどこまで防げるのか、ゴムありでも感染する理由、のどや肛門への感染、コンドームで防ぎにくい場面での予防方法を解説します。
コンドームでクラミジアの感染リスクは下げられる
クラミジアは、感染している人の性器などの粘膜や分泌液に触れることでうつる性感染症です。コンドームは、性器の粘膜や精液・分泌液が直接触れるのを防ぐため、クラミジアの感染リスクを下げることができます。
米国で行われた研究では、10代の女性を対象に、コンドームの使い方とクラミジアの感染の関係を調べています。その結果、性行為のたびに正しく使っていたグループでは、クラミジアが見つかった人は約10%でした。一方、使わなかった・ときどき使ったグループでは約23%と、正しく継続して使ったグループの感染は少ない結果でした。ほかの要因を調整しても、感染リスクはおよそ6割低いと報告されています。
ただし、この研究でも、コンドームは感染を完全に防げるわけではないとされています。「着ければ絶対に感染しない」わけでも、「感染することがあるから意味がない」わけでもありません。正しく継続して使うことで、感染の機会を大きく減らせる予防手段と考えてください。
「ゴムありでも感染した」が起こる理由
コンドームを使っていたのに感染した場合、多くは使い方や使う場面に原因があります。この章では、ゴムありでも感染が起こる主な理由について3点に分けて解説します。
途中から着けた・途中で外した
前述の研究では、毎回コンドームを使っていても、使い方に誤りがあったグループでは、クラミジアが見つかった人は約21%で、使わなかったグループとほとんど差がありませんでした。誤りのなかで最も多かったのは、コンドームを着けずに性行為を始め、途中から着けることでした。
性器が触れ合った時点で、粘膜や分泌液の接触は始まっています。射精の直前に着ければよいと考えて途中から着けたり、射精の前に外したりすると、その間は着けていないのと変わりません。
研究では、性器が触れる前に着けて、性行為の最後まで使い、射精が終わるまで外さなければ、感染の多くは防げる可能性があるとされています。「毎回使う」ことに加えて、「最初から最後まで使う」ことが大切です。
破れた・外れた・裏返して使った
コンドームが破れたり、性行為の途中で外れたりすると、その時点から粘膜や分泌液が直接触れることになります。また、裏表を間違えて着けたものを裏返して使い直すと、すでに外側に分泌液が付いている場合があります。
前述の研究でも、破れる・外れる・裏返して着け直すといった誤りが報告されています。サイズが合っていない、爪で傷つけた、使用期限が切れていたなど、ちょっとしたことで破れや外れは起こります。
破れや外れに気づいたときは、そのまま続けずに新しいものに着け替えてください。性行為のあとに破れや外れに気づいた場合は、検査を検討することをおすすめします。
コンドームを使っていない接触があった
コンドームが覆うのは陰茎だけです。性行為のなかで、コンドームを使わないオーラルセックスや、装着前の性器同士の接触があれば、その部分で感染が起こることがあります。
「性器同士の性行為ではコンドームを使った」としても、ほかの接触でコンドームを使っていなければ、感染の可能性は残ります。自分の行為のどこにリスクがあったかを振り返ることが、必要な検査を選ぶことにもつながります。
効果を得るためのコンドームの正しい使い方
コンドームの効果は、使い方によって大きく変わります。次のポイントを、ご自身の使い方と照らし合わせてみてください。
・性行為のたびに、毎回使う
・性器が触れ合う前に着け、最初から最後まで外さない
・袋を開けるときや着けるときに、爪や歯で傷つけない
・先端の空気を抜き、根元までしっかり着ける
・裏表を間違えたら、裏返さずに新しいものに替える
・射精が終わったら、根元を押さえながら早めに外す
・使用期限が切れたもの、保管状態の悪いものは使わない
・オーラルセックスのときも使う
1回でも誤りがあると、その性行為では十分な効果が期待できません。前述の研究でも、毎回使っていても誤りがあれば、使わなかった場合と差がなかったと報告されています。挿入時だけでなく、陰茎へのオーラルセックスでも、口や性器が触れる前から最後までコンドームを正しく使うことが重要です。一方、キスにはコンドームを使えず、淋菌などキスを介して感染し得る性感染症までコンドームで防ぐことは難しいのが実情です。なお、キスによるクラミジア感染は確立した感染経路ではありません。
コンドームは、HIVや淋菌など、クラミジア以外の性感染症の予防にも役立ちます。パートナーと話し合い、毎回正しく使う習慣をつけることが、お互いを守ることにつながります。
(出典:厚生労働省「性感染症」)
クラミジアはのど・肛門にも感染する
クラミジアは性器だけでなく、のどや肛門にも感染します。この章では、のど・肛門への感染について2点に分けて解説します。
のどへの感染
オーラルセックスによって、性器のクラミジアがのどにうつったり、のどのクラミジアが性器にうつったりすることがあります。厚生労働省によると、のどに感染したクラミジアは通常は症状が出ないとされています。
症状がないため、のどに感染していることに気づかないまま、オーラルセックスを通じてパートナーにうつしてしまうことがあります。オーラルセックスのときもコンドームを使うことで、のどへの感染のリスクを下げることができます。
また、性器の検査で陰性でも、のどの感染は見つかりません。オーラルセックスの機会があった場合は、のどの検査もあわせて受けることが大切です。
(出典:厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」)
のどへの性感染症の感染や症状については、下記のページも参考にしてください。
肛門への感染
アナルセックスによって、クラミジアが肛門や直腸に感染することがあります。肛門・直腸への感染も症状が出にくく、自分では気づきにくいのが特徴です。
アナルセックスでも、最初から最後までコンドームを使うことで感染のリスクを下げられます。ただし、途中から着けた、破れた・外れたといった場合は、性器同士の性行為と同じように感染の可能性があります。
肛門の感染も、性器やのどの検査では見つかりません。アナルセックスの機会があった場合は、症状がなくても肛門の検査を検討してください。
クラミジアの感染部位や治療については、下記のページも参考にしてください。
コンドームで防ぎにくい場面とDoxy-PEP
コンドームを正しく使っても、すべての接触を防げるわけではありません。この章では、コンドームで防ぎにくい場面と、それを補う予防方法について2点に分けて解説します。
コンドームで防ぎにくい場面
コンドームが覆うのは陰茎だけのため、次のような場面では、コンドームだけで感染を防ぐことは難しくなります。
・コンドームを使わないオーラルセックスがある
・キスなど、コンドームで保護できない接触がある(クラミジアのキス感染は未確立)
・コンドームを着ける前に、性器同士が触れ合う
・破れや外れが起こった
・複数のパートナーとの性行為がある
こうした場面がある方は、コンドームの使い方を見直すことに加えて、定期的に検査を受けることが大切です。性行為の機会が多い方や、過去に性感染症にかかったことがある方は、別の予防方法を組み合わせることも検討できます。
Doxy-PEPという選択肢
コンドームで防ぎにくい場面を補う方法として、Doxy-PEP(Doxycycline Post-Exposure Prophylaxis:ドキシサイクリンによる曝露後予防)があります。性行為のあと72時間以内に、抗菌薬のドキシサイクリン200mgを服用して、梅毒・クラミジア・淋菌の感染を防ぐ方法です。
米国で行われた無作為化比較試験(Luetkemeyerら、2023年)では、HIVの曝露前予防薬を使用していた男性同性間性交渉者やトランスジェンダー女性の集団において、Doxy-PEPを使用しない群と比較して、早期梅毒で87%、クラミジアで88%、淋菌で55%の相対的な感染リスクの低下が報告されました。これらは特定の研究対象者における結果であり、すべての人に同じ予防効果が得られるという意味ではありません。Doxy-PEPは、オーラルセックス・腟性交・アナルセックスのあとに用いる方法です。
ただし、Doxy-PEPは感染を防ぐための予防であり、すでに感染しているクラミジアの治療ではありません。
性病予防薬のドキシペップについては、下記のページも参考にしてください。
感染が心配なときは検査で確認を
コンドームを使っていても、使い方や場面によっては感染の可能性があります。クラミジアは症状が出ないことも多いため、不安がある場合は検査で確認することが大切です。
・コンドームが破れた・外れた、途中から着けた
・コンドームを使わないオーラルセックスやアナルセックスがあった
・パートナーがクラミジアと診断された
・新しいパートナーとの性行為があった
・排尿時の違和感やおりものの変化など、気になる症状がある
当院では、クラミジアは感染の可能性がある行為から24時間以降に検査が可能です。性器は尿または腟の分泌物、のどはうがい液、肛門は綿棒での拭い取りで調べます。のどの検査は、検査用の液体で30秒ほどうがいをして容器に出すだけなので、痛みはありません。
通常検査はPCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)検査で、結果を早く知りたい場合は自費の即日検査(抗原検査)があり、結果まで30分です。なお、即日検査は肛門には対応していません。
クラミジアは、パートナー間でうつし合うピンポン感染が起こることがあります。感染がわかった場合は、パートナーも一緒に検査・治療を受けることが重要です。
(出典:国立健康危機管理研究機構「性器クラミジア感染症(詳細版)」)
症状がなくても検査を受けるべき理由については、下記のページも参考にしてください。
いだてんクリニックでの検査・予防のご相談
いだてんクリニックでは、クラミジアをはじめとする性感染症の検査・治療に対応しています。性器だけでなく、のどや肛門など複数の部位の検査をまとめて受けることができます。
「コンドームが破れてしまった」「どの部位を検査すればいいかわからない」という段階でも問題ありません。医師が心当たりのある行為をお聞きしたうえで、必要な検査をご提案します。Doxy-PEPなどの予防方法についても、ご相談いただけます。
いだてんクリニックは大阪院・博多駅前院の2院で診療しています。大阪院は天満駅・扇町駅から、博多駅前院は博多駅からアクセスしやすい場所にあります。診療時間は院によって異なりますので、ご希望の院を選択して予約画面からご確認ください。
性感染症の検査内容や治療については、下記のページも参考にしてください。
検査ごとの費用については、下記のページも参考にしてください。
まとめ
・コンドームは、クラミジアの感染リスクを下げる大切な予防手段
・ただし、着けていれば絶対に感染しないわけではない
・効果を得るには、毎回、最初から最後まで正しく使うことが欠かせない
・途中から着ける、破れる・外れる、オーラルセックスで使わないといった場面では感染の可能性が残る
・クラミジアはのどや肛門にも感染し、症状が出にくい
・コンドームで防ぎにくい場面がある方は、Doxy-PEPや定期的な検査も検討する
コンドームは、正しく使い続けることで、クラミジアをはじめとする性感染症から自分とパートナーを守る力になります。そのうえで、不安な場面があったときは、検査で確かめることが安心につながります。いだてんクリニックでは、性器・のど・肛門を含む検査や、予防方法のご相談に対応しています。
よくある質問
コンドームを着ければクラミジアは防げますか?
コンドームは、クラミジアの感染リスクを下げる有効な予防手段です。ただし、絶対に防げるわけではありません。毎回、最初から最後まで正しく使うことで効果が得られる一方、途中から着けたり、破れたりすると感染の可能性があります。
コンドームありでクラミジアに感染する確率はどのくらいですか?
コンドームを使った場合の1回あたりの感染確率を示した、はっきりした数字はありません。参考として、米国の研究では、正しく継続して使ったグループでクラミジアが見つかった人は約10%、使わなかった・ときどき使ったグループでは約23%でした。確率は使い方やパートナーの状態によって変わるため、不安がある場合は検査で確認してください。
オーラルセックスのときもコンドームは必要ですか?
はい、使うことをおすすめします。クラミジアはオーラルセックスによって、性器からのど、のどから性器へとうつることがあります。のどへの感染は症状が出にくいため、気づかないままパートナーにうつしてしまうこともあります。
コンドームが破れた・途中から着けた場合はどうすればよいですか?
感染の可能性があるため、検査を検討してください。クラミジアは、感染の可能性がある行為から24時間以降に検査が可能です。今後も同じような場面がありそうな方は、Doxy-PEPなどの予防方法について医師に相談することもできます。
Doxy-PEPを使えばコンドームは必要ありませんか?
いいえ、コンドームとあわせて使うことが大切です。Doxy-PEPは梅毒・クラミジア・淋菌の予防を目的としたもので、HIVなどほかの性感染症は防げません。また、感染を完全に防げるわけではないため、定期的な検査も必要です。
パートナーがクラミジアと診断されました。コンドームを使っていても検査は必要ですか?
はい、検査を受けることをおすすめします。コンドームを使っていても、途中から着けた、オーラルセックスで使わなかったといった場面があれば、感染の可能性があります。症状がなくても感染していることがあるため、性器だけでなく、心当たりのある部位もあわせて検査してください。