性感染症について

性行為後にかゆいのはなぜ?性病だけではない原因と受診の目安を解説

「性行為のあとから、なんとなく性器がかゆい」「もしかして、あの相手から何かうつったのでは」そんな不安を抱えて、このページにたどり着いた方もいるのではないでしょうか。

性行為のあとのかゆみは、性感染症が原因のこともあれば、摩擦による刺激やコンドーム・潤滑剤によるかぶれ、性感染症とは限らない炎症が原因のこともあります。また、性行為のあとに気づいたからといって、その性行為で感染したとは限りません。

この記事では、性行為後のかゆみで考えられる原因と、原因を自分で決めつけてはいけない理由、症状が続くときの受診の目安を解説します。

性行為後のかゆみは原因が一つではない

性行為のあとに性器がかゆくなると、まず性病を心配する方が多いかもしれません。しかし、性行為後のかゆみの原因は一つではありません。

性行為では、性器の皮膚や粘膜がこすれたり、コンドームや潤滑剤、体液に触れたりします。そのため、摩擦や刺激、かぶれによって一時的にかゆみが出ることがあります。また、亀頭包皮炎や腟カンジダのように、性行為と関係なく起こることも多い炎症が、かゆみの原因になることもあります。

もちろん、性感染症が原因のこともあります。ただし、性感染症によるかゆみと、刺激やかぶれによるかゆみは、見た目や感じ方だけでは区別がつかないことが少なくありません。複数の原因が重なっていることもあります。

いだてんクリニックにも「性行為のあとからかゆいけれど、何が原因かわからない」というお問い合わせが寄せられます。かゆみだけで原因を判断することはできず、確認には診察や検査が必要です。自己診断はあくまで受診の目安としてください。

刺激やかぶれによるかゆみ

性行為のあとのかゆみで、日常的によくみられるのが、刺激やかぶれによるものです。この章では、刺激やかぶれによるかゆみについて2点に分けて解説します。

摩擦や乾燥による刺激

性行為では、性器の皮膚や粘膜がこすれ合います。潤いが足りない状態での性行為や、長時間・回数の多い性行為では、皮膚や粘膜に小さな傷ができたり、赤くなったりして、かゆみやヒリヒリ感が出ることがあります。

また、性行為のあとに性器を強くこすって洗ったり、何度も洗ったりすると、皮膚のバリア機能が低下して、かえってかゆみが出やすくなることもあります。

こうした刺激によるかゆみは、性器を休ませることで落ち着くこともあります。ただし、刺激でできた小さな傷から感染が起こることもあるため、かゆみが続く場合や、赤み・ただれが強くなる場合は、医療機関で確認してください。

コンドーム・潤滑剤・洗浄剤によるかぶれ

性行為のときに触れるものが、かぶれ(接触皮膚炎)の原因になることもあります。たとえば、コンドームの素材、潤滑剤や殺精子剤の成分、洗浄剤やボディソープ、下着の素材などが挙げられます。

特に、性行為のたびに同じようなかゆみや赤みが出る場合は、使っているものが合っていない可能性があります。ただし、何が原因になっているかを自分で特定するのは難しく、性感染症や亀頭包皮炎などと見た目が似ていることもあります。

かぶれだと思い込んで様子を見たり、自己判断で薬を塗ったりすると、ほかの原因を見逃すことがあります。原因を確認しないまま自己判断で市販薬を使用することはおすすめしません。繰り返す場合は、どのようなものを使っているかも含めて、医師に相談してください。

性感染症とは限らない炎症によるかゆみ

性行為のあとにかゆみが出ていても、性感染症とは限らない炎症が原因のこともあります。この章では、代表的なものを2点に分けて解説します。

亀頭包皮炎(男性)

亀頭包皮炎は、亀頭や包皮に炎症が起こる状態で、男性の性器のかゆみの原因として多いものです。亀頭包皮炎そのものは性感染症ではなく、自分の皮膚にいる菌やカビ(カンジダなどの真菌)が増えることで起こる炎症で、性行為の経験の有無にかかわらず起こります。

性行為による摩擦や、汗・体液による蒸れがきっかけになることもあり、かゆみや違和感とともに、亀頭や冠状溝(亀頭のくびれ部分)の赤み、小さなぶつぶつ、白っぽいカスのようなものがみられることがあります。

亀頭包皮炎のポイント

・気づかれにくい理由:かゆみや赤みが軽く、洗えば治ると思って放置されやすい

・放置した場合のリスク:炎症が続き、カンジダ性の場合はパートナーとの間でうつし合い、再発を繰り返すことがある

・対処法:原因を確認したうえで、抗真菌薬や抗菌薬などで治療する

カンジダによるものか細菌によるものかで治療が異なるため、医療機関で原因を確認することが大切です。

亀頭包皮炎の症状や原因、検査・治療については、下記のページも参考にしてください。

腟カンジダ・細菌性腟症(女性)

女性では、腟カンジダ(外陰腟カンジダ症)が性器のかゆみの原因として日常的によくみられます。強いかゆみが特徴で、白くポロポロした酒かす状・ヨーグルト状のおりものが増えることがあります。

日本性感染症学会のガイドラインによると、外陰腟カンジダ症は性行為でうつることもありますが、抗菌薬の服用、体調不良、妊娠などをきっかけに起こることも多いとされています。性感染症と、体の抵抗力が落ちたときに起こる感染症の両方の側面をもつ病気です。性行為の刺激がきっかけで症状が出ることもあるため、性行為のあとに気づく方も少なくありません。

また、腟内の細菌のバランスが崩れて起こる細菌性腟症では、灰色っぽいおりものや魚のようなにおいが出ることがあります。かゆみは強くないことが多いものの、腟カンジダやトリコモナスと症状が重なることもあり、自分で見分けることは困難です。

外陰腟カンジダ症のポイント

・気づかれにくい理由:体調の変化でも起こるため、性病と結びつけにくい

・放置した場合のリスク:かゆみが続き、かき傷からさらに炎症が悪化することがある

・対処法:腟錠や塗り薬などの抗真菌薬で治療する

(出典:日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン2008 性器カンジダ症」)

腟炎を繰り返す方への予防については、下記のページも参考にしてください。

性感染症によるかゆみ

性感染症の中にも、かゆみを伴うことがあるものがあります。この章では、代表的なものを3点に分けて解説します。

腟トリコモナス症

腟トリコモナス症は、トリコモナスという原虫が感染して起こる性感染症です。女性では、泡状で悪臭の強いおりものが増え、外陰部や腟の刺激感や強いかゆみを伴うことがあります。

日本性感染症学会のガイドラインによると、女性では症状の出方がさまざまで、無症状の人もいるとされています。男性では尿道に感染しても症状が出ないことが多く、パートナーが気づかないまま感染が続き、再び感染し合うことがあります。

そのため、腟トリコモナス症と診断された場合は、パートナーも同時に治療を受けることが重要です。

(出典:日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン2008 腟トリコモナス症」)

尿道炎(クラミジア・淋菌など)

男性では、尿道にクラミジアや淋菌などが感染して尿道炎が起こると、尿道のむずがゆさや違和感、排尿時の痛み、尿道からの分泌物が出ることがあります。

国立健康危機管理研究機構によると、クラミジアによる尿道炎は淋菌に比べて潜伏期間が長く、2〜3週間とされています。また、女性のクラミジアは自覚症状に乏しいことが多く、潜伏期間を特定するのは難しいとされています。

クラミジアは症状が軽く、尿道のかゆみや違和感だけのこともあります。かゆみが軽いからといって、性感染症ではないとは言えません。

(出典:国立健康危機管理研究機構「性器クラミジア感染症(詳細版)」)

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって、性器やその周辺に痛みを伴う水ぶくれやただれができる性感染症です。初めて感染したときは、外陰部や陰茎の不快感やかゆみが先に出て、その後に痛みを伴う小さな水ぶくれ・ただれが現れることがあります。

症状は数週間で治まりますが、ウイルスは体内に残り、疲れや体調不良をきっかけに再発を繰り返すことがあります。再発のときも、水ぶくれが出る前にかゆみやピリピリした違和感が出ることがあります。

「かゆみのあとにピリピリした痛みや水ぶくれが出てきた」という場合は、早めに受診してください。

(出典:国立健康危機管理研究機構「性器ヘルペスウイルス感染症」)

性病による性器のかゆみを男女別に詳しく知りたい方は、下記のページも参考にしてください。

「その性行為が原因」とは限らない理由

性行為のあとにかゆみに気づくと、「直前の相手からうつった」と考えてしまいがちです。しかし、性行為のあとに気づいたというだけで、その性行為による感染と決めつけることはできません。

直前の性行為が原因とは限らない理由

・かゆみの原因が、刺激やかぶれ、亀頭包皮炎、腟カンジダなど、性行為と関係なく起こるもののこともある

・性感染症は、感染してから症状が出るまでの期間が病気によって異なる

・クラミジアなどは症状が出ないまま、以前から感染していることがある

・性器ヘルペスのように、以前の感染が再発して症状が出ることがある

・性行為の刺激がきっかけで、もともとあった症状に気づくこともある

性感染症が見つかった場合も、いつ感染したのかを特定するのは簡単ではありません。過去の検査で陰性が確認された時点があれば、その後の期間に感染した可能性を考えやすくなります。一方、陰性が確認された時点がなければ、陽性になっても感染時期や感染した相手を絞り込むのは難しくなります。

原因を決めつける前に、まず検査で今の状態を確認することが大切です。パートナーとの関係のことで不安な場合も、検査結果をもとに医師と相談しながら、パートナーへの伝え方や検査の受け方を考えるとよいでしょう。

心当たりがないのに性病と診断された場合の感染経路については、下記のページも参考にしてください。

受診を検討したほうがよいサイン

刺激によるかゆみは、性器を休ませることで落ち着くこともあります。一方で、次のような場合は、自分で判断せずに医師の判断を仰いでください。

受診を検討したほうがよいサイン

・かゆみが数日たっても治まらない、または繰り返している

・赤み・ただれ・腫れが強くなっている

・水ぶくれ・潰瘍・いぼ・しこりができている

・おりものの色・量・においがいつもと違う

・排尿時の痛みや、尿道からの分泌物がある

・亀頭や包皮に白いカスやぶつぶつがある

・パートナーが性感染症と診断された

原因を確認しないまま、自己判断で市販薬を使うことはおすすめしません。原因によって必要な治療はまったく異なり、合わない薬を使うと症状が変化して、かえって診断が難しくなることもあります。

また、かゆみの原因が刺激やかぶれだった場合でも、心当たりのある性行為があった場合は、症状の出にくい性感染症が隠れていないか、あわせて検査しておくと安心です。

症状がなくても検査を受けるべき理由については、下記のページも参考にしてください。

性行為後のかゆみで受ける診察・検査

性行為後のかゆみで受診した場合は、医師が症状の部位や経過、性行為の内容を確認し、考えられる原因に応じて必要な診察・検査を判断します。この章では、主な検査について2点に分けて解説します。

かゆみの原因を調べる検査

男性の亀頭や包皮のかゆみ・赤みには、顕微鏡による検査があります。医師が亀頭や包皮を拭って調べることで、原因が細菌なのかカンジダなどの真菌なのかを判断でき、当院では結果まで30分程度で確認できます。なお、この検査は自費診療となります。

女性のおりものの異常やかゆみには、おりもの検査で腟カンジダ・トリコモナス・細菌性腟症を調べることができます。おりものはご自身で採取していただくため、陰部の診察や痛みを伴うことはなく、当院では結果まで30分程度で確認できます。

皮膚の赤みやただれ、水ぶくれなどがある場合は、医師が症状を確認したうえで、必要な検査を判断します。

性感染症の検査

かゆみの原因とは別に、症状の出にくい性感染症が隠れていないかを調べる検査もあります。クラミジアや淋菌は、性器は尿(男性)または腟の分泌物(女性)、のどはうがい液、肛門は綿棒でぬぐって調べます。梅毒やHIVは血液検査で調べます。

当院では、淋菌・クラミジアは感染の可能性がある行為から24時間以降、梅毒は4週間以降、HIVはHIV-RNA検査で2週間以降、第4世代抗原・抗体検査で4週間以降を検査時期の目安としています。

検査時期が早すぎる場合は、適切な時期まで待って検査するか、医師の判断で再検査をご案内する場合があります。どの検査を受けるべきか迷う場合も、受診時に医師へ状況を伝えていただければ、必要な検査をご提案します。

疾患ごとの潜伏期間と、検査が可能になる時期については、下記のページも参考にしてください。

いだてんクリニックでの診察・検査

いだてんクリニックでは、性器のかゆみの原因を調べる検査と、性感染症の検査・治療に対応しています。男性・女性どちらの性器の症状についてもご相談いただけます。

「性行為のあとからかゆいけれど、何が原因かわからない」「どの検査を受ければいいかわからない」という段階でも問題ありません。医師が症状や経過、心当たりのある行為をお聞きしたうえで、必要な検査をご提案します。

いだてんクリニックは大阪院・博多駅前院の2院で診療しています。大阪院は天満駅・扇町駅から、博多駅前院は博多駅からアクセスしやすい場所にあります。診療時間は院によって異なりますので、ご希望の院を選択して予約画面からご確認ください。

性感染症の検査内容や治療については、下記のページも参考にしてください。

検査ごとの費用については、下記のページも参考にしてください。

まとめ

重要なポイント

・性行為後のかゆみの原因は一つではなく、刺激・かぶれ、亀頭包皮炎、腟カンジダ、性感染症などさまざま

・亀頭包皮炎そのものは性感染症ではないが、カンジダ性の場合はパートナーとの間でうつし合うことがある

・かゆみの特徴だけで原因を判断することはできず、診察や検査が必要

・性行為のあとに気づいたからといって、その性行為で感染したとは限らない

・かゆみが続く・繰り返す場合は、自己判断で市販薬を使わず医師の判断を仰ぐ

・心当たりのある性行為があれば、症状の出にくい性感染症もあわせて検査すると安心

性行為のあとのかゆみは、原因がわからないまま不安が大きくなりがちです。原因を決めつけたり、自己判断で対処したりするより、一度医療機関で原因を確認することが安心への近道です。いだてんクリニックでは、かゆみの原因を調べる検査と性感染症の検査に対応しています。

よくある質問

性行為後にかゆいのは性病ですか?

性病が原因のこともありますが、それだけとは限りません。摩擦による刺激、コンドームや潤滑剤によるかぶれ、亀頭包皮炎や腟カンジダなど、性行為と直接関係しない原因でもかゆみは起こります。かゆみだけで原因を判断することはできません。性行為のあとにかゆみが出た場合は、症状が軽くても原因を自己判断せず、医師の診察と必要に応じた性感染症の検査を受けることをおすすめします。

性行為の翌日にかゆくなりました。その相手からうつったのでしょうか?

その性行為が原因とは限りません。かゆみの原因が性感染症ではないこともあり、性感染症だった場合も、以前から感染していたものや、以前の感染が再発したものの可能性があります。原因を決めつけず、まずは検査で今の状態を確認してください。

コンドームを使うとかゆくなるのはなぜですか?

コンドームの素材や、潤滑剤などの成分が合わずに、かぶれを起こしている可能性があります。ただし、性感染症や亀頭包皮炎、腟カンジダなど、ほかの原因と見た目が似ていることもあります。繰り返す場合は、使っているものも含めて医師に相談してください。

市販薬で様子を見てもよいですか?

原因を確認しないまま市販薬を使うことはおすすめしません。性器のかゆみの原因は真菌・細菌・ウイルス・かぶれなどさまざまで、原因によって必要な治療が異なります。合わない薬を使うと症状が変化し、診断が難しくなることもあります。まずは医療機関で原因を確認したうえで、適切な治療を受けてください。

パートナーも受診したほうがよいですか?

原因によっては、パートナーも一緒に検査・治療を受ける必要があります。たとえば腟トリコモナス症は、男性では症状が出ないことが多く、パートナーが治療を受けないと再び感染し合うことがあります。カンジダによる亀頭包皮炎や腟カンジダを繰り返す場合も、パートナーとの間でうつし合っていることがあります。原因がわかったら、パートナーへの対応についても医師に確認してください。

性行為のあと、いつから検査を受けられますか?

当院では、亀頭包皮炎を調べる顕微鏡検査や、腟カンジダ・トリコモナス・細菌性腟症などを調べるおりもの検査は、性行為の直後からでも受けられます。一方、淋菌・クラミジアは感染の可能性がある行為から24時間以降に検査を受けられます。梅毒は4週間以降、HIVはHIV-RNA検査で2週間以降、第4世代抗原・抗体検査で4週間以降が目安です。かゆみなどの症状がある場合は、検査時期を待たずに受診してください。