性感染症について

性病で性器が痒い?男女別に考えられる原因と受診の目安

「陰部がずっとかゆい」「かゆみが続くけれど、もしかして性病?」デリケートな場所だけに人に相談しにくく、ひとりで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

性器のかゆみは、性感染症が原因のこともあれば、かぶれやカンジダのように性行為と関係なく起こるものが原因のこともあります。

また、男性と女性では考えられる原因が大きく異なります。かゆみだけで原因を見分けることは難しく、正確に知るには診察や検査が必要です。

この記事では、性器のかゆみの原因を男女別に整理し、受診の目安を解説します。

性器のかゆみは性病のサイン?

性器のかゆみは、性感染症の症状として現れることがあります。たとえば、性器ヘルペスや腟トリコモナス症、毛じらみ(ケジラミ症)などは、かゆみを伴うことが知られています。

一方で、性器のかゆみの原因は性病だけではありません。下着や洗浄剤によるかぶれ、汗や蒸れによる湿疹、体の抵抗力が落ちたときに起こりやすいカンジダなど、性行為と関係なく起こるものも多くあります。カンジダは性行為でうつることもありますが、もともと体にいる真菌(カビ)が増えることで起こる場合も多く、「かゆい=性病」と決めつけることはできません。

さらに、男性と女性では性器の構造が違うため、かゆみの原因となる病気も異なります。男性では亀頭や包皮の炎症、女性では腟や外陰部の炎症が中心になります。この記事では、男性・女性それぞれで考えられる原因と、男女共通で起こる性病を分けて解説します。

男性の性器のかゆみで考えられる主な原因

男性の性器のかゆみは、亀頭や包皮の炎症によるものと、尿道の炎症によるものに大きく分けられます。この章では、男性に多い原因について解説します。

亀頭包皮炎(カンジダ・細菌など)

亀頭包皮炎は、亀頭や包皮に炎症が起こる状態で、男性の性器のかゆみの原因として多いものです。原因には、カンジダなどの真菌や、細菌などがあります。亀頭包皮炎そのものは性感染症ではなく、自分の皮膚にいる菌やカビが増えることで起こる炎症で、性行為の経験の有無にかかわらず起こります。

カンジダによる亀頭包皮炎では、かゆみや違和感とともに、亀頭や冠状溝(亀頭のくびれ部分)の赤み、小さなぶつぶつ、白っぽいカスのようなものがみられることがあります。

亀頭包皮炎のポイント

・気づかれにくい理由:かゆみや赤みが軽く、洗えば治ると思って放置されやすい

・放置した場合のリスク:炎症が続き、カンジダ性の場合はパートナーとの間でうつし合い、再発を繰り返すことがある

・対処法:原因を確認したうえで、抗真菌薬や抗菌薬などで治療する

カンジダによるものか細菌によるものかで治療が異なるため、自己判断で市販薬を使わず、医療機関で原因を確認することが大切です。

(出典:日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン2008 性器カンジダ症」)

尿道炎(クラミジア・淋菌など)

尿道にクラミジアや淋菌などが感染して起こる尿道炎では、尿道のむずがゆさや違和感が出ることがあります。淋菌では排尿時の痛みや膿のような分泌物が目立つことが多い一方、クラミジアでは症状が軽く、尿道の軽いかゆみや違和感だけのこともあります。

尿道炎のポイント

・気づかれにくい理由:クラミジアでは症状が軽く、かゆみ程度で済んでしまうことがある

・放置した場合のリスク:精巣上体炎などにつながり、パートナーにうつす可能性がある

・対処法:尿などの検査で原因を確認し、抗菌薬で治療する

腟トリコモナス症の原因となるトリコモナスも、男性では尿道炎を起こすことがありますが、多くは症状が出ないとされています。尿道のかゆみや違和感が続く場合は、性感染症の可能性も含めて検査を受けることをおすすめします。

女性の性器のかゆみで考えられる主な原因

女性の性器のかゆみは、腟や外陰部の炎症(腟炎・外陰炎)によるものが中心です。原因によって、かゆみの強さやおりものの状態が異なります。この章では、女性に多い原因について3点に分けて解説します。

外陰腟カンジダ症

外陰腟カンジダ症は、カンジダという真菌が腟や外陰部で増えて炎症を起こす状態で、女性の性器のかゆみの原因として日常的によくみられるものです。強いかゆみが特徴で、白くポロポロした酒かす状・ヨーグルト状のおりものが増えることがあります。

発症には何らかのきっかけがあることが多く、抗菌薬の服用、体調不良、妊娠、糖尿病などが関係するとされています。性行為でうつることもありますが、性行為がなくても起こるため、性感染症と日和見感染症(体の抵抗力が落ちたときに起こる感染症)の両方の側面をもつ病気です。

外陰腟カンジダ症のポイント

・気づかれにくい理由:体調の変化でも起こるため、性病と結びつけにくい

・放置した場合のリスク:かゆみが続き、かき傷からさらに炎症が悪化することがある

・対処法:腟錠や塗り薬などの抗真菌薬で治療する

再発を繰り返す場合は、きっかけとなっている要因がないか医師と一緒に確認することが大切です。

(出典:日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン2008 性器カンジダ症」)

腟トリコモナス症

腟トリコモナス症は、トリコモナスという原虫が腟に感染して起こる性感染症です。症状がある場合は、泡状で悪臭の強いおりものが増え、外陰部や腟の刺激感や強いかゆみを伴うことがあります。

日本性感染症学会のガイドラインによると、女性では症状の出方がさまざまで、無症状の人もいる一方、症状が強く出ることもあります。男性では症状が出ないことが多いため、パートナーが気づかないまま感染が続き、再び感染し合う「ピンポン感染」が起こることもあります。

腟トリコモナス症のポイント

・気づかれにくい理由:男性は無症状のことが多く、パートナー間で感染が続きやすい

・放置した場合のリスク:腟炎が続き、再発を繰り返すことがある

・対処法:内服薬などで治療し、パートナーも同時に治療することが重要

性行為以外にも、下着やタオルなどを介して感染することがあるとされています。

(出典:日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン2008 腟トリコモナス症」)

細菌性腟症

細菌性腟症は、腟内の細菌のバランスが崩れて起こる状態です。腟を清潔に保つ乳酸桿菌が減り、ほかの細菌が増えることで、灰色っぽいおりものや魚のようなにおいが出ることがあります。

細菌性腟症は性感染症そのものではなく、かゆみは強くないことが多いとされています。そのため、「かゆみよりも、おりもののにおいが気になる」という場合に考えられる原因の一つです。ただし、カンジダやトリコモナスと症状が重なることもあり、自分で見分けることは困難です。

おりものの色やにおい、かゆみの強さはあくまで受診の目安として、気になる変化がある場合は医療機関で確認してください。

腟炎を繰り返す方への予防については、下記のページも参考にしてください。

男女共通で性器のかゆみを起こす性病

男女どちらにも起こり、かゆみを伴うことがある性感染症もあります。この章では、男女共通の原因について解説します。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって、性器やその周辺に痛みを伴う水ぶくれや潰瘍ができる性感染症です。初めて感染したときは、外陰部の不快感やかゆみが先に出て、その後に発熱や痛みを伴う小さな水ぶくれ・潰瘍が現れることがあります。

性器ヘルペスのポイント

・気づかれにくい理由:水ぶくれが出る前は、かゆみや違和感だけのことがある

・放置した場合のリスク:ウイルスが体内に残り、再発を繰り返すことがある

・対処法:抗ウイルス薬で治療する

再発時の症状は初めての感染より軽く、1週間以内に治まることが多いとされています。「かゆみのあとにピリピリした痛みや水ぶくれが出てきた」という場合は、早めに受診してください。 (出典:国立健康危機管理研究機構「性器ヘルペスウイルス感染症」)

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスの6型・11型などが原因で、性器や肛門のまわりにいぼができる性感染症です。自覚症状に乏しいことが多いものの、違和感やかゆみ、痛みが初めの症状になることもあるとされています。

いぼは淡いピンク色から褐色で、表面がギザギザした形をしており、ニワトリのとさかやカリフラワーのように見えることがあります。感染してからいぼが出るまでに数週間から3か月程度かかるとされ、いつ感染したのか特定しにくいのが特徴です。

尖圭コンジローマのポイント

・気づかれにくい理由:見えにくい場所にでき、かゆみ以外の症状が乏しい

・放置した場合のリスク:いぼが増えたり大きくなったりし、パートナーに感染させる可能性がある

・対処法:切除やレーザー、塗り薬などで治療し、治療後も再発に注意して経過をみる

(出典:国立健康危機管理研究機構「尖圭コンジローマ(詳細版)」)

亀頭にできるぶつぶつの原因と、性病との見分け方については、下記のページも参考にしてください。

性病以外で性器がかゆくなる原因

性器のかゆみは、性感染症以外の原因でもよく起こります。以下のような原因も考えられます。

性病以外で性器がかゆくなる主な原因

・下着・生理用品・洗浄剤・コンドームなどによるかぶれ(接触皮膚炎)

・汗や蒸れによる湿疹・あせも

・洗いすぎや乾燥による皮膚のバリア機能の低下

・毛の処理によるかみそり負け・毛の生えかけの刺激

・体の抵抗力の低下によるカンジダの増殖

かぶれや湿疹が原因の場合は、原因となるものを避けることで改善することもあります。ただし、性感染症によるかゆみと見た目が似ていることもあり、自分で見分けるのは困難です。

原因を確認しないまま自己判断で市販薬を使用することはおすすめしません。たとえば、カンジダ用の薬を細菌による炎症やかぶれに使っても効果は期待できず、症状が変化してかえって診断が難しくなることもあります。医療機関で原因を確認したうえで、適切な治療を受けることが大切です。

受診・検査を検討したほうがよいサイン

性器のかゆみがあるとき、どのタイミングで受診すればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。以下のいずれかに当てはまる場合は、早めの受診を検討してください。

受診を検討したほうがよいサイン

・かゆみが1週間以上続いている、または繰り返している

・おりものの色・量・においがいつもと違う

・亀頭や包皮に赤み・白いカス・ただれがある

・排尿時の痛みや、尿道からの分泌物がある

・水ぶくれ・潰瘍・いぼができている

・陰毛のあたりに小さな虫や白い粒が見える

・パートナーが性感染症と診断された

・心当たりのある性行為のあとにかゆみが出た

また、性感染症の中には、クラミジアのように症状がほとんど出ないものもあります。かゆみの原因がかぶれや湿疹だったとしても、心当たりのある性行為があった場合は、ほかの性感染症が隠れていないかあわせて検査しておくと安心です。

パートナーがいる場合、原因によってはパートナーも一緒に検査・治療を受けないと、再び感染し合うことがあります。原因がわかったら、パートナーへの対応についても医師に確認してください。

症状がなくても検査を受けるべき理由については、下記のページも参考にしてください。

いだてんクリニックでの診察・検査

いだてんクリニックでは、性器のかゆみの原因を調べるための検査に対応しています。医師が症状の部位や経過を確認し、原因として考えられるものに応じて必要な検査を判断します。「何を検査すればいいかわからない」という段階でも問題ありません。

男性の亀頭や包皮のかゆみ・赤みには、顕微鏡による検査を行っています。医師が亀頭や包皮を拭って調べることで、原因が細菌なのかカンジダなどの真菌なのかを判断でき、結果まで30分程度で確認できます。原因に合わせた塗り薬を当日お渡しできるため、薬局に行く必要はありません。なお、この検査は自費診療となります。

女性のおりものの異常やかゆみには、おりもの検査で腟カンジダ・トリコモナス・細菌性腟症を調べることができます。おりものはご自身で採取していただくため、陰部の診察や痛みを伴うことはなく、結果まで30分程度で確認できます。

かゆみの原因とは別に、クラミジアや淋菌など症状の出にくい性感染症が隠れていることもあるため、状況に応じて複数の検査をまとめて受けることも可能です。大阪院は天満駅・扇町駅から、博多駅前院は博多駅からアクセスしやすい場所にあります。診療時間は院によって異なりますので、ご希望の院を選択して予約画面からご確認ください。

性感染症の検査内容や治療については、下記のページも参考にしてください。

検査ごとの費用については、下記のページも参考にしてください。

まとめ

重要なポイント

・性器のかゆみは、性感染症が原因のこともあれば、かぶれやカンジダなど性行為と関係ない原因のこともある

・男性は亀頭包皮炎や尿道炎、女性は外陰腟カンジダ症や腟トリコモナス症などが主な原因になる

・亀頭包皮炎そのものは性感染症ではないが、カンジダ性の場合はパートナーとの間でうつし合うことがある

・性器ヘルペス・毛じらみ・尖圭コンジローマは、男女どちらにもかゆみを起こすことがある

・かゆみの特徴だけで原因を判断することはできず、診察や検査が必要

・自己判断で市販薬を使わず、原因を確認してから治療することが大切

性器のかゆみは人に相談しにくい症状ですが、原因がわかれば適切な治療で改善が期待できます。不安を抱えたままかゆみを我慢するより、一度医療機関で原因を確認してみてはいかがでしょうか。いだてんクリニックでは、性器のかゆみを含む性感染症の診察・検査に対応しています。

よくある質問

性器がかゆいだけでも受診したほうがよいですか?

かゆみが1週間以上続いている、繰り返している、おりものや皮膚に変化があるといった場合は、受診をおすすめします。かゆみの原因は性感染症からかぶれまでさまざまで、かゆみだけで判断することはできません。心当たりのある性行為のあとにかゆみが出た場合も、早めに確認しておくと安心です。

市販のかゆみ止めや塗り薬で様子を見てもよいですか?

原因を確認しないまま市販薬を使うことはおすすめしません。性器のかゆみの原因は真菌・細菌・ウイルス・かぶれなどさまざまで、原因によって必要な治療が異なります。合わない薬を使うと症状が変化し、診断が難しくなることもあります。まずは医療機関で原因を確認したうえで、適切な治療を受けることが大切です。

パートナーも検査を受けたほうがよいですか?

原因によっては、パートナーも一緒に検査・治療を受ける必要があります。たとえば腟トリコモナス症は、男性では症状が出ないことが多く、パートナーが治療を受けないと再び感染し合うことがあります。カンジダによる亀頭包皮炎や腟カンジダ症を繰り返す場合も、パートナーとの間でうつし合っていることがあります。原因がわかったら、パートナーへの対応についても医師に確認してください。

かゆみがあるときに性行為をしてもよいですか?

原因がわかり治療が終わるまでは、性行為を控えることをおすすめします。性感染症が原因の場合はパートナーにうつす可能性があり、炎症があるところに刺激が加わると症状が悪化することもあります。性行為を再開するタイミングは、医師に確認してください。

男性・女性どちらでも受診できますか?

いだてんクリニックでは、男性・女性どちらの性器の症状についてもご相談いただけます。

亀頭包皮炎の症状や原因、検査・治療については、下記のページも参考にしてください。