男性の性病の症状とは?尿道・皮膚・のど・肛門の変化と受診目安
「排尿のときにしみる」「陰茎にできものがある」「性病かもしれないけれど、どんな症状が出るのかわからない」心当たりのある性行為のあとに体の変化に気づき、不安になっている方もいるのではないでしょうか。
男性の性病の症状は、尿道の違和感だけでなく、性器の皮膚や粘膜、のど、肛門、さらには全身に現れることがあります。一方で、同じ症状でも原因はひとつとは限らず、症状がまったく出ないまま感染していることもあります。
この記事では、男性に起こりうる性病の症状を部位ごとに整理し、症状だけで判断できない理由と、検査の受け方を解説します。
男性の性病の症状は「出る場所」がさまざま
男性の性病の症状というと、排尿時の痛みや尿道から膿が出るといった、尿道の症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。たしかに尿道の症状は男性に多くみられますが、性感染症の症状が出る場所はそれだけではありません。 性感染症は、性器同士の性行為だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染します。そのため、性器の皮膚や粘膜にしこり・水ぶくれ・いぼができたり、のどや肛門に感染したりすることもあります。病気によっては、発熱や発疹など全身に症状が出ることもあります。 また、同じような症状でも、原因となる病気はひとつとは限りません。たとえば排尿時の痛みは複数の性感染症で起こり、性器のできものも性感染症とそれ以外のものが見た目でよく似ています。いだてんクリニックにも「この症状は何の病気ですか」というお問い合わせが寄せられますが、症状から病名を決めることはできず、確認には検査が必要です。
(出典:厚生労働省「性感染症」)
尿道・性器に出る症状
男性の性感染症で最もよくみられるのが、尿道や性器の症状です。この章では、尿道・性器に出る症状について3点に分けて解説します。
排尿時の痛み・尿道のかゆみ
尿道に病原体が感染して炎症が起こると、排尿時のしみるような痛みや、尿道のむずがゆさ、違和感が出ることがあります。こうした尿道炎は、淋菌やクラミジアのほか、マイコプラズマ・ジェニタリウムやトリコモナスなど、複数の病原体で起こります。 症状の強さはさまざまです。淋菌では強い痛みが出ることが多い一方、クラミジアでは「少ししみる」「なんとなく違和感がある」程度で済むこともあります。痛みが軽いからといって、性感染症ではないとは言えません。 また、症状が軽いと数日で気にならなくなることもありますが、感染が治ったわけではありません。症状が落ち着いたあとも病原体が残り、パートナーにうつしてしまうことがあります。
尿道からの分泌物
尿道の先から膿のような分泌物が出たり、下着にしみがついたりすることも、尿道炎でよくみられる症状です。淋菌感染症の潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は2〜9日程度です。男性では膿のような分泌物や排尿時の痛みを伴う尿道炎を起こします。 一方、クラミジアによる尿道炎は淋菌に比べて潜伏期間が長く、症状も軽いことが多いとされています。ただし、分泌物の色や量で病原体を見分けることはできず、淋菌とクラミジアに同時に感染していることも少なくありません。 分泌物に気づいたときは、自分で判断せず、尿などの検査で原因を確認することが大切です。
(出典:国立健康危機管理研究機構「淋菌感染症」)
(出典:国立健康危機管理研究機構「性器クラミジア感染症(詳細版)」)
陰嚢の腫れや痛み
尿道の感染がそのまま続くと、炎症が奥へ広がり、精巣の横にある精巣上体に炎症が起こることがあります。精巣上体炎になると、陰嚢の腫れや痛み、発熱などが起こり、歩くのもつらくなることがあります。 クラミジアは若い世代の精巣上体炎の原因のひとつとされています。尿道の症状が軽くて放置していたところ、陰嚢の痛みで初めて受診するというケースもあります。 陰嚢の腫れや強い痛みは、性感染症以外の病気でも起こり、なかには急いで治療が必要なものもあります。陰嚢に急な痛みや腫れが出た場合は、早めに医療機関を受診してください。
(出典:国立健康危機管理研究機構「性器クラミジア感染症(詳細版)」)
性器の皮膚・粘膜に出る変化
性感染症の中には、陰茎や陰嚢、その周りの皮膚・粘膜に変化が出るものがあります。この章では、皮膚・粘膜の変化について3点に分けて解説します。
しこり・潰瘍
陰茎や亀頭に、硬いしこりや、皮膚がえぐれたような潰瘍ができることがあります。代表的なのは梅毒で、感染から数週間で、感染した部位に痛みの少ないしこりや潰瘍ができることがあります。 梅毒のしこりや潰瘍は、治療をしなくても数週間で自然に消えます。しかし、これは治ったわけではなく、その後に手のひらや体に発疹が出るなど、体の中で病気が進んでいきます。痛みがなく、自然に消えるため、見過ごされやすいのが特徴です。
・気づかれにくい理由:しこりや潰瘍に痛みが少なく、自然に消えてしまう
・放置した場合のリスク:症状が消えても感染は続き、パートナーにうつす可能性がある
・対処法:血液検査で診断でき、抗菌薬で治療する
(出典:厚生労働省「梅毒に関するQ&A」)
水ぶくれ・ただれ
亀頭や陰茎に小さな水ぶくれがいくつか集まってでき、破れてただれになる場合は、性器ヘルペスが原因のことがあります。性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染症で、水ぶくれやただれには強い痛みを伴うことが多いとされています。 初めて感染したときは、発熱や足の付け根のリンパ節の腫れを伴うこともあります。症状は数週間で治まりますが、ウイルスは体内に残り、疲れや体調不良をきっかけに再発を繰り返すことがあります。
・気づかれにくい理由:症状がない時期もウイルスを排出し、パートナーにうつすことがある
・放置した場合のリスク:再発を繰り返すことがある
・対処法:抗ウイルス薬で症状を抑える
(出典:国立健康危機管理研究機構「性器ヘルペスウイルス感染症」)
性器ヘルペスの感染や再発については、下記のページも参考にしてください。
いぼ・ぶつぶつ・赤み
亀頭や陰茎、肛門のまわりに、ギザギザした形のいぼができる場合は、尖圭コンジローマが原因のことがあります。尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスの6型・11型などによる感染症で、痛みやかゆみがほとんどないため、気づくのが遅れやすい病気です。感染してからいぼが出るまでに数週間から3か月程度かかるとされています。 一方で、亀頭のふちに並ぶ小さなぶつぶつのように、病気ではないものも少なくありません。また、亀頭や包皮の赤み・かゆみ・白いカスは、性感染症ではない亀頭包皮炎でよくみられる症状です。見た目だけでは区別がつかないことも多いため、気になる変化があれば医療機関で確認してください。
・気づかれにくい理由:痛みやかゆみがほとんどなく、ほかのできものと見分けにくい
・放置した場合のリスク:いぼが増えたり大きくなったりし、パートナーに感染させる可能性がある
・対処法:切除や塗り薬などで治療し、治療後も再発に注意して経過をみる
(出典:国立健康危機管理研究機構「尖圭コンジローマ(詳細版)」)
亀頭にできるぶつぶつの原因と、性病との見分け方については、下記のページも参考にしてください。
のど・肛門に出る症状
オーラルセックスやアナルセックスの機会があった場合、性感染症はのどや肛門にも感染することがあります。この章では、のど・肛門の症状について2点に分けて解説します。
のどの症状
オーラルセックスによって、淋菌やクラミジアがのどに感染することがあります。のどに感染した淋菌やクラミジアは通常は症状が出ないとされています。症状が出る場合も、のどの違和感や軽い痛み程度で、かぜや扁桃炎などと区別はつきません。 また、梅毒では、のどや口の中にしこりや潰瘍、粘膜斑と呼ばれる白っぽい変化が出ることがあります。のどの不調が続く場合、原因としては内科的な病気のほか、性感染症も可能性のひとつとして考えられます。 のどに感染していても気づかないまま、オーラルセックスを通じてパートナーの性器にうつしてしまうことがあります。のどに症状がないことは、感染していないことの証明にはなりません。
(出典:厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」)
のどの痛みと性病の関係については、下記のページも参考にしてください。
肛門の症状
アナルセックスによって、肛門や直腸に淋菌やクラミジアが感染することがあります。症状が出る場合は、肛門の違和感や痛み、分泌物、排便時の出血などがみられますが、のどや直腸の淋菌感染は症状が自覚されないことが多いとされています。 肛門のまわりには、性器ヘルペスの水ぶくれや、尖圭コンジローマのいぼができることもあります。ただし、肛門の痛みや出血は痔などでも起こるため、症状だけで原因を判断することはできません。 アナルセックスの機会があった場合は、症状がなくても肛門の検査を検討してください。性器の検査だけでは、肛門の感染を見つけることはできません。
(出典:国立健康危機管理研究機構「淋菌感染症」)
全身に出る症状
性感染症の中には、性器などの局所だけでなく、全身に症状が出るものがあります。代表的なのは梅毒とHIVです。 梅毒では、しこりや潰瘍が消えたあと、手のひらや足の裏、体などに、痛みやかゆみの少ない赤い発疹が出ることがあります。発熱やだるさ、リンパ節の腫れを伴うこともあります。これらの症状も自然に消えますが、治療をしなければ感染は続きます。 HIVに感染すると、2〜3週間後に発熱、のどの痛み、筋肉痛、発疹、リンパ節の腫れなど、インフルエンザに似た症状が出ることがあります。症状は数日から10週間程度で自然に治まることが多く、まったく症状が出ない人もいるため、性感染症と気づかれにくい傾向があります。 全身の症状は風邪やほかの病気と似ているため、症状だけで性感染症と判断することはできません。心当たりのある性行為のあとに体調の変化があった場合は、血液検査で確認することをおすすめします。
(出典:国立健康危機管理研究機構「HIV感染症/AIDS(後天性免疫不全症候群)(詳細版)」)
梅毒の症状が気づかれにくい理由については、下記のページも参考にしてください。
症状がなくても感染していることがある
ここまで部位ごとの症状を紹介してきましたが、性感染症は症状が出ないまま感染していることも少なくありません。症状の有無や内容だけで判断できない理由は、次のとおりです。
・のどや肛門への感染は、症状が出ないことが多い
・クラミジアの尿道炎のように、症状が軽く気づきにくいものがある
・梅毒やHIVのように、症状が出ても自然に消えるものがある
・同じ症状でも原因となる病気はひとつではなく、同時に感染していることもある
症状がない間も、病原体は体内に残り、パートナーにうつしたり、炎症が進んだりすることがあります。「症状がないから大丈夫」「症状が消えたから治った」とは考えないでください。 逆に、症状があっても、それが性感染症によるものとは限りません。かぶれや湿疹、痔など、性行為と関係のない原因で似た症状が出ることもあります。自己診断はあくまで受診の目安としていただき、心当たりのある性行為があった場合は、症状の有無にかかわらず検査で確認することが大切です。 症状がなくても検査を受けるべき理由については、下記のページも参考にしてください。
検査を受けたほうがよいときと検査の受け方
男性の性病検査は、症状の有無だけでなく、心当たりのある行為や部位をもとに受ける検査を決めます。この章では、検査を受けるときに知っておきたいことを3点に分けて解説します。
検査を検討したほうがよいとき
以下のいずれかに当てはまる場合は、検査を検討してください。
・排尿時の痛みや、尿道からの分泌物がある
・性器や肛門のまわりに、しこり・潰瘍・水ぶくれ・いぼがある
・手のひらや体に発疹が出ている、原因のわからない発熱が続いている
・パートナーが性感染症と診断された
・コンドームを使わない性行為やオーラルセックス、アナルセックスがあった
・症状はないが、心当たりのある性行為があった
症状がある場合は、検査の時期を待たずに受診してください。また、HIVの感染リスクが高い行為から72時間以内であれば、PEP(Post-Exposure Prophylaxis:曝露後予防)という選択肢があります。感染の成立を防ぐために抗HIV薬を服用する方法で、時間がたつほど効果が期待できなくなるため、早めにご相談ください。
HIVの感染後の緊急予防薬であるPEPについては、下記のページも参考にしてください。
また、梅毒・クラミジア・淋菌の感染を予防する方法として、性行為後72時間以内にドキシサイクリン200mgを服用するDoxycycline Post-Exposure Prophylaxis(Doxy-PEP:ドキシサイクリンによる曝露後予防)があります。HIVの予防には使用できず、服用の適応は医師が判断します。
Doxy-PEPについては、下記のページも参考にしてください。
部位ごとの検査方法
検査は、感染の可能性がある部位に応じて行います。性器の淋菌・クラミジアは尿、のどはうがい液、肛門は綿棒での拭い取りで調べます。いだてんクリニックののどの検査は、検査用の液体で30秒ほどうがいをして容器に出すだけなので、痛みはありません。肛門の検査も、綿棒を数センチ入れて回すだけで、奥まで入れる必要はありません。 梅毒やHIVは血液検査で調べます。皮膚や粘膜に症状がある場合は、医師が症状を確認し、必要な検査を判断します。 通常検査はPCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)検査で、結果を早く知りたい場合は自費の即日検査(抗原検査)があり、結果まで30分です。なお、即日検査は肛門には対応していません。
検査を受けられる時期
当院では、淋菌・クラミジアは感染の可能性がある行為から24時間以降、梅毒は4週間以降に検査が可能です。HIVは、HIV-RNA検査は2週間以降、第4世代抗原・抗体検査は4週間以降を検査時期の目安としています。 検査時期が早すぎる場合は、適切な時期まで待って検査するか、医師の判断で再検査をご案内する場合があります。複数の病気を調べる場合も、すべての時期がそろうまで待つ必要はなく、早く調べられるものから受けることができます。 男性の性病検査の時期については、下記のページも参考にしてください。
いだてんクリニックでの検査・診察
いだてんクリニックでは、男性の性感染症の検査・治療に対応しています。性器だけでなく、のどや肛門など複数の部位、梅毒やHIVなどの血液検査をまとめて受けることができます。 「どの部位を検査すればいいかわからない」「この症状が性病なのか知りたい」という段階でも問題ありません。医師が症状や心当たりのある行為、経過をお聞きしたうえで、必要な検査をご提案します。 いだてんクリニックは大阪院・博多駅前院の2院で診療しています。大阪院は天満駅・扇町駅から、博多駅前院は博多駅からアクセスしやすい場所にあります。診療時間は院によって異なりますので、ご希望の院を選択して予約画面からご確認ください。 性感染症の検査内容や治療については、下記のページも参考にしてください。
検査ごとの費用については、下記のページも参考にしてください。
まとめ
・男性の性病の症状は、尿道だけでなく、性器の皮膚・粘膜、のど、肛門、全身に出ることがある
・同じ症状でも原因はひとつとは限らず、症状から病名を決めることはできない
・のどや肛門の感染、クラミジアの尿道炎などは、症状が出ないか軽いことが多い
・性病の症状が消えてしまう病気であっても、感染が続いている
・症状の有無にかかわらず、心当たりのある部位を検査で確認することが大切
性器や体の変化に気づいたときも、症状がないまま不安を抱えているときも、原因を確かめる方法は検査です。いだてんクリニックでは、男性の性器・のど・肛門を含む複数の部位の検査に対応していますので、気になることがあればご予約ください。
よくある質問
排尿時に痛みがあれば性病ですか?
リスク行為があれば、性感染症による尿道炎の可能性を考える必要があります。排尿時の痛みは性感染症以外の原因でも起こるため、症状だけでは判断できません。心当たりがある場合は、医療機関で診察と検査を受けてください。
症状がないのに性病に感染していることはありますか?
あります。のどや肛門への感染は症状が出ないことが多く、クラミジアの尿道炎も症状が軽く気づかないことがあります。症状がない間もパートナーにうつすことがあるため、心当たりのある性行為があった場合は、症状の有無にかかわらず検査を受けることをおすすめします。
陰茎のできものは性病ですか?
性感染症によるものもあれば、病気ではないものもあります。梅毒のしこり、性器ヘルペスの水ぶくれ、尖圭コンジローマのいぼなどは性感染症ですが、亀頭のふちに並ぶぶつぶつのように、生まれつきのものもあります。見た目だけでは区別がつかないことが多いため、気になる場合は医療機関で確認してください。
症状が消えたら治ったと考えてよいですか?
いいえ、そうとは限りません。梅毒のしこりや発疹、HIVの感染初期の症状などは、治療をしなくても自然に消えることがありますが、感染は続いています。症状が消えたあとも、検査で感染の有無を確認することが大切です。
性器の検査だけ受ければ十分ですか?
心当たりのある行為によります。オーラルセックスの機会があった場合はのど、アナルセックスの機会があった場合は肛門にも感染している可能性があります。のどや肛門の感染は性器の検査では見つからないため、心当たりのある部位もあわせて検査することをおすすめします。
市販薬で様子を見てもよいですか?
原因を確認しないまま市販薬を使うことはおすすめしません。性感染症は原因となる病原体によって必要な薬が異なり、合わない薬では効果が期待できないうえ、症状だけが変化して診断が難しくなることもあります。まずは医療機関で原因を確認したうえで、適切な治療を受けてください。