性感染症について

扁桃炎が治らないのはクラミジアが原因?症状と検査・治療を解説

「また扁桃炎になってしまった」「薬を飲んでも喉の痛みがなかなか治らない」と感じながらも、原因がわからずに困っている方は多いのではないでしょうか。

扁桃炎や咽頭炎が繰り返す・長引く原因はさまざまです。その中で、オーラルセックスなどの性的接触歴がある場合は、咽頭クラミジアや咽頭淋菌などの性感染症も検査の対象になります。

ただし、咽頭クラミジアは無症状のことが多く、「治らない扁桃炎」の代表的な原因というわけではありません。何度も繰り返したり長引いたりするのどの症状があり、性感染症の感染機会にも心当たりがある場合は、咽頭の性感染症も含めて原因を調べることが大切です。

この記事では、扁桃炎が治らないときに咽頭クラミジアなどの性感染症を考える場面と、症状の特徴・検査・治療法について詳しく解説します。

そもそも扁桃炎とは?なぜ治らないことがあるのか

扁桃炎とは、のど(咽頭)の両側にある口蓋扁桃に炎症が起きた状態です。急性扁桃炎では、発熱・のどの痛み・全身の倦怠感・首のリンパ節の腫れなどがみられ、口蓋扁桃の発赤・腫脹・白苔などがみられることがあります。

順天堂大学医学部附属順天堂医院によると、急性扁桃炎は細菌性とウイルス性があり、細菌性の場合は抗菌薬、ウイルス性の場合は解熱鎮痛薬などによる対症療法が行われます。(出典:順天堂大学医学部附属順天堂医院「急性扁桃炎」

それでも症状が改善しない、または何度も繰り返す場合は、原因をあらためて確認する必要があります。たとえば、次のようなケースがあります。

扁桃炎が治りにくい・繰り返す主な原因

・ウイルス性など、抗菌薬では改善しない原因だった

・原因となる病原体に対して、使用している抗菌薬が適していなかった

・扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍や、伝染性単核球症など別の疾患が隠れていた

・オーラルセックスなどの感染機会があり、咽頭クラミジアや咽頭淋菌などの性感染症が関係していた

症状が長引く場合は、「扁桃炎だから同じ治療を続ける」のではなく、原因を再評価することが重要です。性的接触歴がある場合は、性感染症も鑑別の一つになります

扁桃炎が治らない原因にクラミジアが関係するケース

この章では、咽頭クラミジアがのどの症状と関係する理由を、以下の3点に分けて解説します。

クラミジアは咽頭(のど)にも感染する

クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)は性器だけでなく、咽頭(のど)の粘膜にも感染します。主な感染経路はオーラルセックスなどの性的接触です。

厚生労働省は、オーラルセックスによってクラミジアがのどに感染することがあり、咽頭感染では通常は無症状であるとしています。症状が出る場合も、のどの違和感など一般的な咽頭炎と区別しにくい症状にとどまることがあります。(出典:厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」

咽頭クラミジアは無症状のことが多く、症状があっても一般的なのどの炎症と見分けにくいため、症状だけで感染の有無を判断することはできません

一般的なのどの診察だけでは診断できないことがある

一般的な扁桃炎・咽頭炎の診療では、症状や診察所見に応じて、A群溶血性レンサ球菌などの検査や咽頭培養が行われます。一方、咽頭クラミジアや咽頭淋菌を調べるには、それぞれの病原体を対象とした検査が必要です。

そのため、性的接触歴がわからない場合や、医療機関が咽頭の性感染症検査に対応していない場合には、検査が行われないことがあります。

オーラルセックスなどの感染機会があり、のどの症状が続いている場合は、そのことを医師に伝えたうえで、咽頭クラミジア・咽頭淋菌の検査が必要か相談してください

クラミジアには適切な抗菌薬による治療が必要

一般的な細菌性扁桃炎に使用されることのあるペニシリン系やセフェム系の抗菌薬は、クラミジア感染症の標準治療ではありません。

クラミジア感染症では、ドキシサイクリンなど、クラミジアに有効な抗菌薬を使用します。米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、成人のクラミジア感染症に対してドキシサイクリン7日間を推奨治療とし、アジスロマイシン単回投与などを代替治療として示しています。(出典:CDC「Chlamydial Infections」

「抗菌薬を飲んでいるのに治らない」という状況が続く場合は、薬を自己判断で変更するのではなく、そもそもの原因が何かを医療機関で再評価することが大切です

のどの感染症で性感染症検査を考える目安

咽頭クラミジアや咽頭淋菌は、感染しても症状が出ないことが多く、のどの痛み・発赤・腫れだけから性感染症かどうかを判断することはできません。

性感染症を考えるときは、のどの症状だけではなく、オーラルセックスなどの感染機会があったかどうかが重要です。

性感染症検査を考える目安

症状・経過に関する目安

・のどの痛み・違和感が続いている

・治療を受けても症状が改善しない、または短期間で繰り返す

・首のリンパ節の腫れなど、のど以外の症状も続いている

行動・経歴に関する目安

・オーラルセックスの経験がある

・最近、新しい性的パートナーができた

・パートナーからクラミジアや淋菌が陽性だったと伝えられた

・過去に性感染症の診断を受けたことがある、または最近感染の可能性がある性行為があった

症状に当てはまる項目が多いほど性感染症である、という意味ではありません。のどの症状は非特異的であるため、性的接触の内容に応じて、感染した可能性のある部位を適切に検査することが重要です

性病検査・治療メニューについては、以下のページをご確認ください。

咽頭クラミジアの検査方法と受診の流れ

いだてんクリニックでは、咽頭クラミジアの検査にうがい液を用います。当院では感染機会の翌日から検査を受けることができ、即日検査にも対応しています。

ただし、当院の即日検査は通常の核酸増幅検査より感度が低いため、感染機会から間もない時期の陰性結果だけで感染を完全に否定できるとは限りません。症状や感染機会に応じて、医師が通常検査や再検査をご案内することがあります。

性感染症の検査タイミングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

治療後の確認検査は、いだてんクリニックでは治療終了から2週間以上あけて受けていただいています。治療内容や症状の経過によって確認時期が異なる場合があるため、医師の案内に従って受けてください。

咽頭クラミジアの治療後の確認検査については、以下の記事も参考にしてください。

扁桃炎の原因がクラミジアだった場合の治療法

クラミジア感染症と診断された場合は、クラミジアに有効な抗菌薬を内服して治療します。主に使用される治療薬は以下のとおりです。

治療薬 位置づけ・特徴
ドキシサイクリン
(ビブラマイシン)
成人では通常7日間内服します。
CDCの推奨治療です。
アジスロマイシン
(ジスロマック)
単回投与の代替治療があります。
咽頭を含む性器外クラミジアでは、
ドキシサイクリンより治療効果が低い可能性があるため、
状況に応じて医師が選択します。

(出典:CDC「Chlamydial Infections」

治療中の性行為についてCDCは、アジスロマイシンなどの単回治療では治療後7日間、ドキシサイクリンなどの7日間治療では服薬を完了し、症状がある場合は症状が改善するまで性行為を控えるよう案内しています。また、再感染を防ぐため、パートナーの検査・治療が必要な場合は、パートナーの治療も完了するまで性行為を控えることが大切です。

「扁桃炎の薬を飲んでもなかなか改善しない」という場合は、原因がクラミジアなどの性感染症である可能性も含め、医療機関で適切な検査を受けることが大切です。

まとめ

扁桃炎が治らない・繰り返すからといって、クラミジアが原因とは限りません。一方、オーラルセックスなどの感染機会がある場合は、咽頭クラミジアや咽頭淋菌も検査の対象になります

重要なポイントをまとめます。

重要なポイント

・咽頭クラミジアはオーラルセックスなどで感染し、無症状のことが多い

・のどの痛みや扁桃の見た目だけでは、一般的な扁桃炎と咽頭クラミジアを区別できない

・咽頭には淋菌も感染するため、感染機会に応じて必要な部位・感染症の検査を検討する

・クラミジアと診断された場合は、適切な抗菌薬で治療する

・のどの症状が長引く場合は原因を再評価し、性的接触歴があれば性感染症の可能性も医師に相談する

「扁桃炎が何度も治らない」と感じていて、オーラルセックスなどの感染機会に心当たりがある場合は、咽頭クラミジア・咽頭淋菌の検査について医療機関へご相談ください。

よくある質問

扁桃炎が治らないとき、何科を受診すればよいですか?

のどの痛みや扁桃の腫れが続く場合は、まず耳鼻咽喉科や内科で原因を再評価してもらうことが大切です。

オーラルセックスなどの感染機会がある場合は、咽頭クラミジアや咽頭淋菌の検査についても相談してください。咽頭の性感染症検査に対応しているかどうかは医療機関によって異なります。

クラミジアによるのどの感染は、通常の扁桃炎と見た目が違いますか?

見た目だけで区別することはできません。咽頭クラミジアは無症状のことが多く、症状がある場合も、のどの痛みや違和感など一般的な咽頭炎と似ています。

感染の有無を確認するには、核酸増幅検査など、クラミジアを対象とした検査が必要です。

咽頭クラミジアは自然に治りますか?

咽頭クラミジアが自然に陰性化することは基本的にありません。感染が続いている間は、パートナーへ感染させる可能性があります。

クラミジアと診断された場合は、自然経過を待つのではなく、医師の指示に従って抗菌薬で治療することが大切です。

咽頭クラミジアの検査は痛いですか?

いだてんクリニックでは、うがい液を用いて検体を採取します。のどを綿棒でこする必要はなく、強い痛みを伴う採取ではありません。

扁桃炎を繰り返すのはクラミジアが原因ですか?

必ずしもそうではありません。扁桃炎を繰り返す原因には、ウイルスや一般的な細菌による感染、扁桃そのものの慢性的な問題など、さまざまなものがあります。

ただし、オーラルセックスなどの感染機会がある場合は、咽頭クラミジアや咽頭淋菌も検査の対象になるため、医師に性的接触歴を伝えて相談してください。

パートナーが無症状でも感染している可能性がありますか?

あります。咽頭クラミジアや咽頭淋菌は、感染していても症状が出ないことが多いため、症状の有無だけで感染していないとは判断できません。

自分がクラミジアや淋菌と診断された場合は、パートナーにも検査・治療が必要か医療機関へ相談してもらうことが、再感染を防ぐうえで重要です。