咽頭クラミジアを放っておくとどうなる?放置リスクと正しい治療法
「喉に違和感があるけど、放っておけば治るだろう」咽頭クラミジアに感染していても、多くの方がこのように感じてしまいます。実際、咽頭クラミジアは自覚症状が出にくく、気づかないまま日常生活を続けているケースが非常に多い感染症です。
しかし、放っておくとどうなるのかを正しく理解しておくことは、自分とパートナーの健康を守るうえでとても大切です。
この記事では、咽頭クラミジアを放置した場合のリスク・症状・治療法をわかりやすく解説します。
咽頭クラミジアとは?まず基本を理解しよう
咽頭クラミジアとは、性感染症の原因菌であるクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)が咽頭(のど)に感染した状態のことです。
一般的に「クラミジア」というと性器への感染をイメージする方が多いですが、オーラルセックスを介して咽頭にも感染します。
感染しても症状が出ないことが多く、のどの軽い違和感や痰のからみ程度しか現れないため、普通の風邪や疲れと混同してしまい、受診が遅れるケースが少なくありません。
また、咽頭に感染した状態でオーラルセックスを行うと、相手の性器にクラミジアをうつしてしまう可能性があります。
東京都健康安全研究センターによると、クラミジアは主に性交や性交類似行為により感染部位の粘膜への接触を通じてヒトからヒトに感染するとされています。(出典:東京都健康安全研究センター「性器クラミジア感染症」)
クラミジア感染症の全体像(性器・咽頭・肛門への感染)について、以下の詳しい解説記事もあわせてご確認ください。
咽頭クラミジアを放っておくとどうなる?放置した場合のリスク
咽頭クラミジアを放置したとき何が起こるのか、この章では以下の3つのリスクに分けて詳しく解説します。症状がないからといって安心せず、放置のリスクを正しく把握しておくことが大切です。
パートナーの性器への感染と、性器感染の見逃し
咽頭にクラミジアが感染した状態でオーラルセックスを行うと、パートナーの性器へ感染させる可能性があります。一方、本人の咽頭から体内を通って、本人の性器や肛門へ直接感染が広がるわけではありません。性器や肛門にも感染がある場合は、それぞれの部位への性的接触によって同時に感染していると考えます。
性器にもクラミジアが同時に感染している場合、男性では尿道炎による排尿時の違和感・かゆみ、女性では子宮頸管炎が起こることがあります。さらに、女性の性器感染が上行性に広がると、骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)や卵管炎などに進行する可能性があります。
国立健康危機管理研究機構の資料でも、性器クラミジア感染症は女性に子宮頸管炎やPIDを起こし、不妊などの原因になり得ることが示されています。これらは咽頭感染そのものから直接起こる合併症ではなく、性器にも感染している場合に注意が必要な合併症です。(出典:国立健康危機管理研究機構「性器クラミジア感染症」、米国疾病予防管理センター「Chlamydial Infections」)
パートナーへの無自覚な感染拡大
咽頭クラミジアを放置したまま性行為やオーラルセックスを続けると、自覚症状がなくてもパートナーに感染させる可能性があります。これが「無症状キャリア」による感染連鎖です。クラミジア感染症は治癒しても免疫を獲得できないため、一度治っても何度でも再感染します。
パートナーが感染したまま治療を受けず、お互いに検査・治療をしないと「ピンポン感染」(お互いがうつし合う状態)が繰り返されます。自分だけでなくパートナーの健康を守るためにも、早期の検査と相互治療が不可欠です。
クラミジアと同様、無症状のまま感染が広がる性感染症は他にも存在します。「症状なし=感染なし」ではない事例について、以下の記事もあわせてご確認ください。
無症状のまま感染が続くこと・他の性感染症との重複感染リスク
咽頭クラミジアは症状が出にくいため、感染に気づかないまま経過し、パートナーへの感染源となる可能性があります。のどの不快感や痰などが長引く場合も、症状だけで原因を判断せず、必要な検査を受けることが大切です。
また、クラミジアに感染した方では、同じ性的接触によって淋菌感染症や梅毒、HIV感染症などに重複感染している可能性があります。重複感染がある場合は、感染症ごとに必要な検査や治療が異なります。
性感染症は単独ではなく複数同時に感染していることも少なくないため、一つの感染が疑われる場合は幅広く検査を受けることをおすすめします。クラミジアと診断された方には、淋菌・梅毒・HIVなどの検査も推奨されています。(出典:米国疾病予防管理センター「Chlamydial Infections」)
咽頭には淋菌感染症も同様に感染します。クラミジアと淋菌は同時に感染しているケースも多いため、以下の記事を読んで理解しておくことが重要です。
咽頭クラミジアの症状に気づきにくい理由
咽頭クラミジアが発見されにくい最大の理由は、症状がほとんど出ない点にあります。感染しても多くの方が無症状か、あっても以下のような軽微な症状にとどまります。
・のどの軽い痛み・違和感・イガイガ感
・痰がからむ・咳が続く
・首のリンパ節の軽い腫れ
・発熱(まれ)
これらは一般的な風邪や喉の不調と非常に似ているため、「たぶん疲れているだけ」「少し乾燥しているだけ」と判断して放置されがちです。また、症状がないために「感染していないはずだ」と思い込んでしまうこともあります。
しかし、症状がなくても他者への感染力は十分にあります。オーラルセックスの経験がある方、複数のパートナーがいる方、パートナーが性感染症の陽性だった方は、症状がなくても定期的な検査を受けることが感染拡大の防止につながります。
咽頭クラミジアの感染経路
咽頭クラミジアの主な感染経路はオーラルセックスです。感染した性器の粘膜や分泌液が咽頭の粘膜に触れることで感染します。
また、咽頭に感染した人からオーラルセックスを受けた相手の性器にも感染が広がります。
コンドームは性器感染には有効ですが、オーラルセックス時にコンドームを使用しない場合は咽頭への感染リスクを防ぎきれません。特にオーラルセックスを行う頻度が高い方は、定期的な咽頭検査が重要です。
また、自分が感染していても相手に症状が出ない場合があるため、パートナーが「症状なし」でも油断しないことが大切です。
クラミジアは、医師と相談のうえ、ドキシペップなどの予防薬でリスクを下げることもできます。予防薬については以下の記事で詳しく解説しています。(出典:米国疾病予防管理センター「ドキシサイクリン曝露後予防の臨床ガイドライン」)
咽頭クラミジアの検査方法
咽頭クラミジアの診断は、うがい液で採取した検体を用いて行います。
検査は性行為から24時間以降であれば受けることができます。また、治療後の確認検査は、治療終了から2週間以上あけて受けることが推奨されます。
感染から検査が有効になるまでの「ウィンドウ期間」については、以下の記事で性感染症ごとに詳しくまとめています。
咽頭クラミジアの治療法
咽頭クラミジアは抗生剤(抗菌薬)の内服で治療します。性器クラミジアと比較して咽頭は薬が届きにくい部位であるため、しっかりとした抗菌薬の選択と服薬完了が重要です。主に使用される抗生剤は以下のとおりです。
| 薬剤の種類 | 代表的な薬名 | 特徴 |
|---|---|---|
| テトラサイクリン系 | ドキシサイクリン (ビブラマイシン) |
7日間の内服。 咽頭感染にも有効とされる |
| マクロライド系 | アジスロマイシン (ジスロマック) |
1回の内服で完了できるが、 咽頭・肛門クラミジアへの効果は ドキシサイクリンに劣る |
(出典:米国疾病予防管理センター「Chlamydial Infections」)
いだてんクリニックでは、治療中は性行為を控え、治療終了から2週間以上あけて確認検査を受け、陰性を確認してから性行為を再開していただいています。また、パートナーも同時に検査・治療を受けることが再感染防止のために重要です。
服薬を自己判断で途中でやめると、十分な治療効果が得られない可能性があるため、医師の指示どおりに最後まで飲み切ることが大切です。
「症状がないから大丈夫」は危険|受診すべきタイミング
咽頭クラミジアの放置が特に問題なのは、無症状でも感染力を持ち続ける点です。「症状がないから大丈夫」という判断は、自分だけでなくパートナーへの感染拡大につながります。
以下のいずれかに当てはまる方は、症状の有無に関わらず検査を受けることをおすすめします。
・オーラルセックスの経験がある
・複数の性的パートナーがいる・あった
・パートナーがクラミジア陽性だと告げられた
・のどの違和感・痰・咳が2週間以上続いている
・最後に性感染症の検査を受けたのが半年以上前
性感染症は早期発見・早期治療が最も重要です。検査は数分で採取でき、結果も最短30分で出るため、「受診のハードルが高い」と感じている方も安心してください。
「症状がないのに検査する必要があるの?」と迷っている方へ。その疑問に以下の記事でお答えします。
まとめ
咽頭クラミジアを放っておくとどうなるのか、本記事の要点をまとめます。
・自然治癒は基本的に期待できず、抗菌薬による治療が必要
・無症状でも感染力を持ち続け、パートナーに気づかずうつしてしまう
・放置するとパートナーへ感染させる可能性があり、性器など別の部位の同時感染を見逃すことがある
・性器にも感染している女性では、骨盤内炎症性疾患・不妊・子宮外妊娠などの合併症につながることがある
・治療終了から2週間以上あけて確認検査を受け、陰性を確認してから性行為を再開する
・パートナーと同時に検査・治療を受けることで再感染を防ぐことができる
「症状がないから」「気のせいかも」と放置するのが最も危険です。少しでも心当たりがある方は、早めに専門の医療機関を受診することをおすすめします。
よくある質問
咽頭クラミジアを放っておくと自然に治りますか?
自然治癒することは基本的にありません。クラミジアは細菌感染症であり、抗菌薬による治療が必要です。症状が軽くなったり、なくなったりしても、感染が消えたとは判断できません。
放置するとパートナーへ感染させる可能性があり、性器など別の部位の同時感染を見逃すこともあります。医師の指示どおりに抗菌薬を服用し、確認検査で陰性を確認することが重要です。
咽頭クラミジアに感染していても症状がないことはありますか?
はい、あります。咽頭クラミジアは多くの方が無症状か、症状が出ても風邪と見分けがつかない程度の軽微なものにとどまります。
このため多くの場合、感染に気づかないまま日常生活を続けてしまいます。オーラルセックスの経験がある方は、症状がなくても定期的な咽頭の検査を受けることをおすすめします。
キスで咽頭クラミジアはうつりますか?
咽頭クラミジアの主な感染経路はオーラルセックスであり、キスや回し飲みだけで感染することは通常想定されていません。
ただし、行為の内容だけで感染の有無を判断することはできません。感染が疑われる場合は、パートナーにも検査を促すことが大切です。
咽頭クラミジアの治療中は性行為を控えるべきですか?
はい。薬を飲み始めてすぐは体内の菌が完全に除菌されていない状態のため、パートナーに感染させてしまうリスクがあります。
治療中は性行為を控え、治療終了から2週間以上あけて確認検査を受け、陰性を確認してから性行為を再開してください。
咽頭クラミジアの検査はどこで受けられますか?
泌尿器科・婦人科・性感染症専門クリニックで受けられます。ただし、「のどのクラミジア検査」に対応しているかどうかは医療機関によって異なります。
受診前に「咽頭クラミジアの検査を希望している」と確認することをおすすめします。いだてんクリニックでは咽頭・性器・肛門の3カ所に対応した検査が可能です。
咽頭クラミジアの治療後に再発することはありますか?
クラミジアは治癒しても免疫が獲得されません。そのため、治療後に再びオーラルセックスを介して感染すれば、何度でも再感染します。
パートナーが同時に治療を受けていない場合は「ピンポン感染」が起こり、治療してもすぐに再感染するケースがあります。完治後もパートナーと同時に確認検査を受けること、定期的なスクリーニングを続けることが再発予防の基本です。
治療後に確認検査が必要な理由については、以下の記事でわかりやすく解説しています。
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