性感染症について

陰茎にできたイボの原因・種類・治療法を解説

陰茎にイボのようなものができていると気づいたとき、「これは性病なのだろうか」「受診すべきなのか」と不安になる方は少なくないでしょう。

実は、陰茎にできるイボ状の隆起には、性感染症によるものと生理的な良性の変化があり、見た目だけでは判断が難しい場合があります

この記事では、陰茎のイボの原因・種類・症状の見分け方から、診断・治療法・予防まで詳しく解説します。

陰茎にイボができる原因は?

陰茎にみられるイボ状の隆起のうち、この記事で扱う代表的なものは「性感染症である尖圭コンジローマ」と「生理的な良性の変化」です。見た目が似ていても、原因が異なれば対処法は変わります。

性感染症が原因の場合は、病変が増えたり、性的接触によってパートナーへ感染したりする可能性があります。一方、生理的な変化であれば、通常は感染性がなく、治療を必要としません。

ただし、陰茎には本記事で扱うもの以外の皮膚疾患や腫瘍性病変が生じることもあります。自己判断には限界があるため、急に増えた、出血する、潰瘍になった、硬い、色が不均一などの変化がある場合は、早めに医療機関で診察を受けてください。

性感染症(尖圭コンジローマ)が原因の場合

尖圭コンジローマは、human papillomavirus(ヒトパピローマウイルス:HPV)の感染によって生じる性感染症です。主な原因はHPV6型・11型で、性的接触によって皮膚や粘膜が触れることで感染します。

陰茎の亀頭・冠状溝(カリ首)・包皮・陰茎体部・尿道口周囲や、陰嚢・肛門周囲などに、乳頭状・鶏冠状・カリフラワー状の隆起がみられます。肌色、白色、薄いピンク色、褐色などで、痛みやかゆみがないことも少なくありません。病変が増えたり、集まって大きくなったりすることがあります。

国内では若年層からの報告が多いとされていますが、年齢にかかわらず感染する可能性があります。感染していても目に見えるイボがないことがあり、感染した時期や相手を病変の出現時期だけから特定することはできません。(出典:国立健康危機管理研究機構「尖圭コンジローマ」厚生労働省「尖圭コンジローマ」

尖圭コンジローマについて、症状・治療・HPVワクチンを詳しく解説した記事もあわせてご確認ください。

生理的な良性の変化|真珠様陰茎小丘疹

pearly penile papules(真珠様陰茎小丘疹:PPP)は、亀頭の冠状溝に沿って、白色から肌色の小さな粒が一列または複数列に規則的に並ぶ正常変異です。表面がなめらかで、大きさが比較的そろっており、通常は痛みやかゆみを伴いません。

性感染症ではなく、パートナーへ感染することもないため、通常は治療を必要としません。ただし、初期の尖圭コンジローマなどとの鑑別が難しいことがあるため、増えてきた場合や見た目に不安がある場合は医療機関で確認しましょう。真珠様陰茎小丘疹からHPVの遺伝子が検出されなかったことも報告されています。(出典:Pearly penile papules: absence of human papillomavirus DNA by the polymerase chain reaction

生理的な良性の変化|Fordyce spots(フォアダイス)

Fordyce spots(フォアダイス)は、毛包を伴わない皮脂腺が皮膚や粘膜の表面近くにみえる正常変異です。陰茎体部・亀頭・包皮などに、黄白色から白色の小さな粒として現れます。

感染性はなく、通常は治療を必要としません。無理に潰したり削ったりすると、出血や炎症、瘢痕の原因になるため避けてください。尖圭コンジローマとの区別がつかない場合は診察を受けましょう。(出典:Micro-punch technique for treatment of Fordyce spots: a surgical approach for an unpleasant condition of the male genital

生理的な良性の変化|包皮小帯付近の皮脂腺

亀頭と包皮をつなぐ包皮小帯(いわゆる裏スジ)の周囲にみられる黄白色の小さな丘疹は、一般に「包皮腺」「タイソン腺」と呼ばれることがあります。実際には、異所性皮脂腺などの正常変異として説明されることがあります。

感染性はなく、通常は治療を必要としません。なお、「タイソン腺」という名称が指す解剖学的構造については議論があるため、名称だけで病変を判断せず、変化がある場合は診察を受けてください。(出典:Linear ectopic sebaceous hyperplasia of the penis: the last memory of Tyson’s glands

尖圭コンジローマの症状と特徴

陰茎にできた隆起が尖圭コンジローマかどうかを判断するには、形や増え方、発生部位などを確認します。ただし、初期には小さく表面がなめらかな病変として現れることもあり、見た目だけでの自己診断はできません

診断は主に医師による視診で行います。色が濃い、硬い、下の組織に固定されている、出血する、潰瘍を伴う、治療に反応しないなど、典型的でない病変では、ほかの疾患との鑑別が必要です。HPV検査は、尖圭コンジローマの診断を確定したり治療方針を決めたりする目的では一般に推奨されていません。(出典:米国疾病予防管理センター「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021」

陰茎における主な症状

尖圭コンジローマでは、次のような特徴がみられます。

尖圭コンジローマにみられる特徴

・形:小さな丘疹、乳頭状、鶏冠状、カリフラワー状など

・色:肌色、白色、薄いピンク色、灰色、褐色など

・発生部位:亀頭、冠状溝、包皮、陰茎体部、尿道口周囲、陰嚢、肛門周囲など

・自覚症状:多くは無症状ですが、違和感、かゆみ、痛みを伴うことがあります

・経過:数が増えたり、複数の病変が融合して大きくなったりすることがあります

感染してから症状が現れるまで

国立健康危機管理研究機構は、尖圭コンジローマの潜伏期間を数週間から3か月程度としています。一方、HPVに感染してから数か月以上たってイボが目立つこともあり、病変が現れた時期から感染時期や感染相手を特定することはできません。(出典:国立健康危機管理研究機構「尖圭コンジローマ」米国疾病予防管理センター「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021」

尖圭コンジローマは主に視診で診断するため、血液検査や尿検査のように「感染から一定期間待てば正確に判定できる」という一律のウィンドウ期間はありません。気になる隆起がある場合は、検査時期を待つのではなく、病変が確認できるうちに対面で診察を受けてください。

ほかの性感染症の潜伏期間と検査可能な時期については、以下の記事で解説しています。

陰茎のイボ|尖圭コンジローマとの見分け方チェック

陰茎にできた隆起が尖圭コンジローマか、生理的な良性の変化かを判断するための目安をまとめます。

ただし、これは受診を検討するための参考であり、医師による診察に代わるものではありません。初期の尖圭コンジローマが表の特徴に当てはまらない場合や、良性の隆起が不規則にみえる場合もあります。

確認する点 尖圭コンジローマで
みられることがある特徴
生理的な良性の変化で
みられることが多い特徴
形・表面 表面がざらつく
乳頭状・鶏冠状・カリフラワー状など
粒の大きさが比較的均一で
表面がなめらか
並び方 不規則に散在する
集まって融合する
冠状溝に沿って規則的に並ぶ
左右対称にみえる
時間による変化 数が増える、大きくなる
別の部位にも現れることがある
長期間ほとんど
変化しないことが多い
自覚症状 多くは無症状
違和感・かゆみ・痛みを伴うこともある
通常は痛みや
かゆみがない

最近現れた、数や大きさが変化している、出血・潰瘍・硬さがある、または自己判断できない場合は、早めに医療機関を受診してください

当院での性感染症の検査・治療については、以下のページで詳しくご案内しています。

尖圭コンジローマの感染経路と感染リスク

尖圭コンジローマの原因となるHPVは、主に性的接触によって皮膚や粘膜が触れることで感染します。腟性交やアナルセックスだけでなく、性器同士の接触やオーラルセックスなどでも感染する可能性があります。

コンドームを一貫して正しく使用することで感染リスクを下げられますが、コンドームで覆われていない皮膚にもHPVが存在する可能性があるため、完全には予防できません。目に見えるイボがない人から感染することもあります。(出典:米国疾病予防管理センター「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021」

また、まれに分娩時の垂直感染など、性行為以外の経路も報告されています。感染しても全員にイボが現れるわけではありません。

2024年の感染症発生動向調査では、全国の定点医療機関から尖圭コンジローマ6,387件が報告されました。この数は定点医療機関からの報告数であり、国内の全患者数を示すものではありません。(出典:国立健康危機管理研究機構「感染症発生動向調査年別一覧(定点把握)-2024-」

陰茎のイボの治療法

尖圭コンジローマと診断された場合は、病変の大きさ・数・部位、患者様の希望、通院のしやすさ、副作用などを踏まえて治療法を選びます。すべての患者様や病変に一律に最適な治療法はありません。(出典:米国疾病予防管理センター「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021」

治療は目に見えるイボを取り除くことを目的とします。治療後も再発する可能性があるため、経過観察が必要です。

液体窒素による冷凍凝固療法

液体窒素で病変を凍結し、組織を壊死させて取り除く治療です。病変の大きさや数によっては、間隔をあけて複数回の処置が必要になります。

処置中や処置後に痛みが生じ、腫れや水疱、色素変化などが起こることがあります。当院では麻酔クリームを使用してから処置しますが、痛みや冷感の程度には個人差があります。

イミキモドクリーム(ベセルナクリーム)による治療

イミキモド5%クリーム(商品名:ベセルナクリーム)は、外性器または肛門周囲の尖圭コンジローマに使用する処方薬です。局所の免疫反応を介して、病変の消退を促します。

通常は1日1回、週3回、就寝前に病変へ薄く塗り、6〜10時間後に石けんと水または温水で洗い流します。使用期間は原則16週間までです。尿道内、肛門内などには使用できません。

塗布部位に赤み、びらん、痛み、刺激感、かゆみなどが生じることがあります。症状が強い場合は、自己判断で塗り続けず、処方した医師へ相談してください。(出典:医薬品医療機器総合機構「ベセルナクリーム5% 添付文書」

当院では、病変の状態や患者様のご希望を踏まえ、外用薬または液体窒素療法をご提案しています。

外科的切除・炭酸ガスレーザー療法

病変が大きい、多発している、ほかの治療で改善しない場合などには、外科的切除や炭酸ガスレーザーによる治療が選択されることがあります。1回の処置で目に見える病変の多くを取り除ける場合がありますが、治療後も再発する可能性があります。

当院では、外科的切除・炭酸ガスレーザー療法は行っていません。これらの治療が適していると考えられる場合は、対応可能な医療機関での診療をご案内します。

陰茎のイボを放置するとどうなる?尖圭コンジローマの経過と注意点

尖圭コンジローマを治療せずに経過をみた場合、自然に消退することもありますが、変わらないまま続くことや、数・大きさが増えることもあります。どの経過をたどるかを事前に正確に予測することはできません。

また、イボがみえない時期を含め、HPVがパートナーへ感染する可能性があります。治療によって目に見えるイボがなくなっても、HPV感染が直ちに消失したことを意味するわけではなく、再発することがあります。(出典:米国疾病予防管理センター「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021」

尖圭コンジローマの主な原因であるHPV6型・11型は、一般に発がんリスクの低い型です。陰茎がんなどに関連する高リスク型HPVとは主な型が異なるため、尖圭コンジローマがあること自体が、がんを意味するわけではありません。ただし、異なる型へ同時に感染する可能性はあります。

主な注意点は次のとおりです。

放置した場合に考えられること

・病変が増えたり、大きくなったりすることがある

・パートナーへ感染する可能性がある

・自然に消退しても、再び病変が現れることがある

・別の皮膚疾患や腫瘍性病変だった場合、診断が遅れる可能性がある

症状がなくても検査を受けた方がよい性感染症については、以下の記事で解説しています。

HPVワクチンによる予防

9価HPVワクチン(シルガード9)は、尖圭コンジローマの主な原因であるHPV6型・11型を含む9種類の型を対象としています。接種によって、対象となる型への新たな感染に起因する尖圭コンジローマを予防することが期待できます。

ワクチンは、接種時点ですでに成立しているHPV感染を排除したり、現在みられるイボを治療したりするものではありません。接種歴、年齢、これまでの感染機会などによって期待できる効果が異なるため、接種については医師と相談してください。(出典:医薬品医療機器総合機構「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ 添付文書」

当院では9価HPVワクチンを取り扱っており、診察のうえ当日接種に対応しています。接種費用・対象・スケジュールは、以下のページをご確認ください。

HPVワクチンの世界的な予防効果については、以下の記事で詳しく解説しています。

いだてんクリニックでの陰茎のイボの診察・治療

いだてんクリニックでは、陰茎のイボや尖圭コンジローマの診察・治療に対応しています。尖圭コンジローマは病変を直接確認する必要があるため、診察は対面で行います。

主に医師が視診し、病変の状態に応じて外用薬または液体窒素療法をご提案します。必要に応じて、ほかの性感染症の検査や、対応可能な医療機関への紹介をご案内します。診察当日に治療を開始できる場合もあります。

当院での診療の流れについては、以下のページからご確認ください。

まとめ

陰茎にできたイボ状の隆起には、尖圭コンジローマのような性感染症と、真珠様陰茎小丘疹・Fordyce spotsなどの生理的な良性の変化があります。典型的な特徴はありますが、見た目だけでは判断が難しい場合があります

重要なポイントは次のとおりです。

この記事のまとめ

・尖圭コンジローマはHPVによる性感染症で、病変が増大・多発することがある

・真珠様陰茎小丘疹やFordyce spotsは正常変異で、感染性はなく、通常は治療を必要としない

・尖圭コンジローマは主に視診で診断し、HPV検査は通常、診断や治療方針の決定には用いない

・治療には液体窒素療法、イミキモドクリーム、外科的治療などがある

・9価HPVワクチンは尖圭コンジローマの予防に役立つが、現在の病変を治療するものではない

少しでも不安がある場合は、無理に潰したり市販薬を使ったりせず、対面で診察を受けてください。

よくある質問

陰茎にできたイボはすべて性病ですか?

いいえ、すべてが性感染症とは限りません。真珠様陰茎小丘疹やFordyce spotsなど、感染性がなく、通常は治療を必要としない正常変異もあります。

ただし、初期の尖圭コンジローマは小さく、良性の隆起と見分けにくい場合があります。最近現れた、増えている、大きくなっている、出血・潰瘍・硬さがある場合は、医療機関で確認してください。

尖圭コンジローマは自然に治りますか?

自然に消退することはありますが、変わらないまま続く場合や、数・大きさが増える場合もあります。どの経過をたどるかを事前に予測することはできません。

尖圭コンジローマ以外の病変との鑑別も必要なため、自己判断で放置せず、まず診察を受けることをおすすめします。

尖圭コンジローマの治療は痛いですか?

液体窒素療法では、処置中や処置後に痛み、冷感、腫れ、水疱などが生じることがあります。当院では麻酔クリームを使用してから処置しますが、感じ方には個人差があります。

イミキモドクリームは塗り薬ですが、赤み、びらん、痛み、刺激感、かゆみなどが現れることがあります。症状が強い場合は、使用方法の調整や治療法の変更が必要になることがあるため、医師へ相談してください。

コンドームを使えば尖圭コンジローマを防げますか?

コンドームを一貫して正しく使用することで感染リスクを下げられますが、完全には予防できません。コンドームで覆われていない皮膚にもHPVが存在する可能性があるためです。

コンドームの使用に加え、9価HPVワクチンの接種を検討することが予防につながります。

尖圭コンジローマが治っても再発しますか?

はい、再発する可能性があります。治療は目に見えるイボを取り除くことを目的としており、HPV感染が直ちに消失するとは限りません。特に治療後しばらくは、病変が再び現れることがあります。

再発が疑われる場合は、早めに治療を受けた医療機関へ相談してください。

いだてんクリニックでは陰茎のイボを診てもらえますか?

はい、対面診療で対応しています。医師が病変を視診し、状態に応じて外用薬または液体窒素療法をご提案します。必要に応じて、ほかの性感染症の検査や、対応可能な医療機関への紹介をご案内します。

尖圭コンジローマは病変を直接確認する必要があるため、郵送検査や電話診療のみでは診断できません。以下の予約フォームまたはLINEからお申し込みください。