口内炎は性病のサイン?原因と検査・受診の目安
口の中や喉に口内炎のような症状が出て、「ただの口内炎かな?」と放置していませんか?
口内炎の多くは、アフタ性口内炎や噛み傷など、性感染症とは関係のない原因で起こります。一方、梅毒では口の中に痛みの少ないしこりや潰瘍ができることがあります。また、淋菌やクラミジアはオーラルセックスによって喉に感染し、喉の痛みや違和感の原因になることがあります。
ただし、咽頭淋菌や咽頭クラミジアは無症状のことが多く、一般的な口内炎のような潰瘍を作る病気ではありません。口や喉の見た目・痛みの有無だけで、一般的な口内炎と性感染症を正確に見分けることはできません。
梅毒の口腔病変は自然に消えることがあり、咽頭淋菌・咽頭クラミジアは症状がほとんど出ないこともあります。この記事では、一般的な口内炎との違い、口や喉に症状を起こす性感染症、検査の時期、受診の目安を解説します。
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口腔・喉に症状を起こす性感染症の種類
口や喉に関連する性感染症には、梅毒、咽頭淋菌、咽頭クラミジア、単純ヘルペスウイルス感染症などがあります。原因となる病原体、現れやすい症状、検査方法、治療法はそれぞれ異なります。
また、「口内炎のような潰瘍」を起こしやすいのは主に梅毒や口腔ヘルペスです。咽頭淋菌・咽頭クラミジアは、無症状または喉の痛み・違和感として見つかることが多く、典型的な口内炎とは異なります。
梅毒による口腔症状
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌が原因の性感染症です。感染性のある病変に口の粘膜が直接触れることで感染するため、オーラルセックスでも感染します。口唇や口の中に梅毒の病変がある場合は、病変との直接接触を伴うキスでも感染する可能性があります。
感染から数週間後、病原体が侵入した場所に、硬く触れる円形のしこりや潰瘍ができることがあります。梅毒の初期病変は、痛みがない、または痛みが弱いことが多い点が特徴です。ただし、痛みがある梅毒病変もあるため、痛みの有無だけでは判断できません。
この病変は治療をしなくても3〜6週間ほどで消えることがありますが、治癒したわけではありません。感染が続いたまま次の段階へ進み、数週間から数か月後に口腔粘膜の白っぽい斑やびらん、全身の発疹、リンパ節の腫れなどが現れることがあります。
梅毒の症状・検査・治療については、以下の記事もご覧ください。
(参考:Centers for Disease Control and Prevention「About Syphilis」)
淋菌感染症(咽頭淋菌)による症状
淋菌感染症は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)が原因の性感染症です。オーラルセックスによって咽頭に感染することがあります。
咽頭淋菌は無症状のことが多く、症状があっても喉の軽い痛み・違和感・発赤などにとどまることがあります。これらは風邪や一般的な咽頭炎と似ているため、症状だけでは見分けられません。一般的なアフタ性口内炎のような潰瘍は、咽頭淋菌の典型的な症状ではありません。
咽頭に感染した淋菌は、性器や直腸の感染よりも除菌しにくいことが知られています。また、咽頭淋菌がある人からオーラルセックスを受けたパートナーの性器へ感染が広がることがあります。心当たりのある性行為があった場合は、症状の有無にかかわらず、感染した可能性のある部位を検査することが重要です。
咽頭淋菌は治療後の確認検査も重要です。詳しい症状・検査・治療については、以下の記事をご覧ください。
(参考:Centers for Disease Control and Prevention「Gonococcal Infections Among Adolescents and Adults」)
咽頭クラミジア感染症による症状
クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)も、オーラルセックスを通じて咽頭に感染することがあります。
咽頭クラミジアは無症状のことが多く、症状が出ても喉の軽い痛みや違和感など、一般的な咽頭炎と区別しにくい症状にとどまります。咽頭淋菌と同様に、典型的なアフタ性口内炎のような潰瘍は一般的ではありません。
性器の検査が陰性でも咽頭だけに感染していることがあるため、検査部位は性行為の内容に合わせて選ぶ必要があります。感染を放置すると、オーラルセックスを通じてパートナーへ感染させる可能性があります。「症状がないから感染していない」とは判断できません。
(参考:Centers for Disease Control and Prevention「Chlamydial Infections」)
口腔ヘルペスによる症状
単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus:HSV)は、口唇や口の中に痛みを伴う水疱、びらん、潰瘍を起こすことがあります。初めて症状が出たときには、発熱、喉の痛み、リンパ節の腫れを伴うこともあります。
口腔ヘルペスの多くはHSV-1によるもので、キスなどの口腔接触でも感染します。幼少期など性行為とは関係のない時期に感染することも多いため、口腔ヘルペスがあることだけで性感染症と判断することはできません。一方、口腔から性器へのオーラルセックスによって性器ヘルペスを起こすことがあります。
(参考:World Health Organization「Herpes simplex virus」)
梅毒は全国で高い報告数が続いています
日本では梅毒の報告数が2011年頃から増加し、2022年以降は年間1万例を超える状況が続いています。梅毒は性器だけでなく、口の中や口唇にも病変を起こすことがあり、オーラルセックスでも感染します。
一方、全国や大阪府の梅毒報告数は、感染部位別には集計されていません。そのため、梅毒全体の増加だけを根拠に「口腔・咽頭への感染が増えている」と断定することはできません。
重要なのは、性感染症は性器だけに起こるものではなく、性行為の内容によって口・喉・肛門などにも感染しうることです。口や喉の症状があり、感染の可能性がある行為に心当たりがある場合は、症状だけで判断せず検査をご検討ください。
(出典:厚生労働省「梅毒」)
口内炎と性感染症を考える7つのチェックポイント
口の中や喉の症状だけで、一般的な口内炎と性感染症を確実に見分けることはできません。以下は診断基準ではなく、受診や検査を考えるための目安です。
・直近にオーラルセックスを含む性行為があった
・口のしこりや潰瘍に痛みがほとんどない、または硬く触れる
・痛みのある小さな水疱や潰瘍がまとまって現れた、または同じ場所で繰り返す
・口の症状が2週間以上続いている、または何度も繰り返す
・口の症状が消えた後に、手のひらや足の裏を含む発疹、リンパ節の腫れ、発熱、倦怠感などが出た
・喉の違和感や痛みが続いており、一般的な風邪として説明しにくい
・パートナーが性感染症と診断された、検査を勧められた、または口・性器・肛門など複数部位に症状がある
上記に当てはまっても、性感染症とは限りません。一方、どれにも当てはまらなくても、無症状の性感染症は否定できません。特に痛みの少ない潰瘍や硬いしこりがある場合は、梅毒を含む複数の病気を鑑別する必要があります。
症状がない場合に検査を受けるべきか迷う方は、以下の記事もご覧ください。
口腔・咽頭の性感染症検査はどのように行う?
いだてんクリニックでは、咽頭淋菌・咽頭クラミジアの検査は、うがい液を採取して行います。通常検査では、polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応:PCR)法によって病原体の遺伝子を調べます。うがい液の採取は短時間で終わり、針を刺す検査ではありません。
梅毒は、血液を採取して抗体を調べます。感染部位が口であっても、基本となる検査は血液検査です。
当院では、咽頭、性器、肛門など複数部位の検査に対応しています。検査する部位は、症状がある場所だけでなく、性行為で接触した部位をもとに選びます。
また、自由診療では、梅毒、咽頭淋菌、咽頭クラミジアの即日検査にも対応しています。項目によっては約30分で結果を確認できますが、即日検査は通常のPCR検査と検査方法や精度が異なります。どちらの検査が適しているかは、感染機会からの期間や症状に応じてご相談ください。
| 病名 | 当院での検体・検査 | 受検時期の目安 |
|---|---|---|
| 梅毒 | 血液検査 (抗体検査) |
感染機会から4週間以降 |
| 咽頭淋菌 | うがい液 (PCR法など) |
当院では感染機会から24時間後以降に検査可能 |
| 咽頭クラミジア | うがい液 (PCR法など) |
当院では感染機会から24時間後以降に検査可能 |
感染直後は病原体や抗体を十分に検出できず、感染していても陰性になる可能性があります。特に感染機会から間もない時期の陰性結果は、感染を完全に否定するものではありません。症状、相手の診断、検査時期によっては再検査をご案内します。症状がある場合や、パートナーが陽性と診断された場合は、上記の時期を待たずに受診してください。
当院での性感染症検査・治療については、以下のページをご覧ください。
口腔・咽頭の性感染症が見つかった場合の治療
梅毒・淋菌・クラミジアは、診断に合った抗菌薬で治癒が期待できます。一方、単純ヘルペスウイルスを体内から完全に排除する治療はありませんが、抗ウイルス薬によって症状の軽減や治るまでの期間の短縮が期待できます。
梅毒:ペニシリン系抗菌薬を中心に、病期、アレルギー、治療歴などに応じて、筋肉注射や内服薬などを選択します。
咽頭淋菌:セフトリアキソンの点滴などで治療します。咽頭は除菌しにくいため、治療後に確認検査を行います。
咽頭クラミジア:ドキシサイクリンなどの内服薬で治療します。処方された期間、指示どおりに服用することが重要です。
口腔ヘルペス:必要に応じて抗ウイルス薬を使用します。発症早期に治療を始めることで、症状の軽減が期待できます。
市販薬だけで様子を見続けたり、手元に残っている抗菌薬を自己判断で使用したりすると、診断が遅れることがあります。検査結果に基づいて治療を受けてください。
性感染症と診断された場合は、再感染や感染拡大を防ぐため、性行為を再開できる時期、パートナーの検査・治療の必要性について医師に確認してください。
治療後の確認検査については、以下の記事で詳しく解説しています。
大阪・博多駅前院のいだてんクリニックでの性感染症検査
大阪院は扇町駅1番出口・天満駅から徒歩1分、博多駅前院はJR博多駅筑紫口から徒歩2分です。口や喉を含む複数部位の性感染症検査に対応します。
通常のPCR検査に加え、自由診療では梅毒・咽頭淋菌・咽頭クラミジアの即日検査も選択できます。土日・祝日や平日夜間にも診療しています。検査項目が決まっている場合は、医師の診察を受けずに検査のみを受けることもできます。
来院が難しい方には、電話診療や郵送検査にも対応しています。
まとめ
口の中のしこりや潰瘍は梅毒や口腔ヘルペスでみられることがあります。一方、咽頭淋菌・咽頭クラミジアは、一般的な口内炎のような病変を起こすことは通常なく、無症状または喉の痛み・違和感として見つかることが多い感染症です。
口や喉の症状だけで性感染症かどうかを判断することはできません。感染の可能性がある行為に心当たりがある場合は、接触した部位に合わせた検査を受けてください。
よくある質問
喉が痛い・喉に違和感があるだけで性感染症検査を受けるべきですか?
直近にオーラルセックスがあり、喉の痛みや違和感が続いている場合は、咽頭淋菌・咽頭クラミジアの検査をご検討ください。これらの感染症は無症状のことも多いため、症状の強さだけでは感染の有無を判断できません。
ただし、喉の痛みの多くは風邪など性感染症以外の原因です。高熱、呼吸困難、唾液も飲み込めない状態、急速に悪化する腫れなどがある場合は、早急に医療機関を受診してください。
キスだけで梅毒や性感染症に感染することはありますか?
梅毒は、口唇や口の中にある感染性の病変へ直接触れた場合、キスでも感染する可能性があります。口腔ヘルペスもキスなどの口腔接触で感染します。
一方、淋菌・クラミジアはオーラルセックスによる感染が明らかですが、キスだけを通常の感染経路として一括して説明することはできません。相手の感染部位、自分の粘膜が接触した部位、行為の内容に応じて、必要な検査をご相談ください。
口の症状が消えた後も検査は必要ですか?
感染の可能性がある行為に心当たりがある場合は、症状が消えても検査をご検討ください。梅毒の初期病変は、治療をしなくても3〜6週間ほどで自然に消えることがありますが、感染が治ったわけではありません。
また、咽頭淋菌・咽頭クラミジアは、もともと症状が出ないことも多い感染症です。症状の有無ではなく、性行為の内容と検査時期をもとに判断します。
口腔・咽頭の検査は痛いですか?どのくらい時間がかかりますか?
当院の咽頭淋菌・咽頭クラミジア検査は、うがい液を採取して行うため、針を刺す痛みはありません。採取自体は短時間で終わります。梅毒の検査は採血で行います。
通常検査の結果は後日となります。自由診療の即日検査では、項目によっては約30分で結果を確認できます。検査方法によって精度や適した受検時期が異なるため、感染機会からの期間に応じてご案内します。
性感染症検査に健康保険は使えますか?
症状があり、医師が診療上必要と判断した検査には、健康保険が適用される場合があります。一方、症状がない方のスクリーニング検査、複数部位の同時検査、即日検査などは、原則として自由診療です。
保険適用の可否は、症状、診察所見、検査部位などによって異なります。費用と検査内容は、受診時にご確認いただけます。