ジェンダー外来

当院のジェンダー外来でできる9つのこと

当院のジェンダー外来でできる9つのこと

当院では、性別不合(GI:Gender Incongruence)の方に全人的なサポートができるようにジェンダー外来を行っております。

初診に関して、ジェンダー外来専門医師が診察を行い、適切なホルモン治療や今後の方針を患者様と相談することができますのでどうぞご安心ください。

当院のジェンダー外来は、主にトランスジェンダーの方に対してヘルスケア・セクシュアルヘルスケアに特化した専門的な診療を行っています。何かございましたら、いつでもご相談ください。

当院では、ジェンダー外来に関する検査や治療は原則自由診療で行っております。

対面診療・オンライン診療のいずれでも、診察後、専門医の診察により、ホルモン治療が適切と判断した後、当日すぐにホルモン治療や検査などを行うことが可能です。

目次の各項目をクリックすると、記事の途中までジャンプすることができます。

ホルモン補充療法

性別不合の方への治療は、「ホルモンによる治療」と「ジェンダー関連の手術」があります。

当院では、十分な問診・診察を行いながら、安全にホルモン療法を行えるようサポートいたします。

トランスジェンダー男性(FTM)に対しては、男性ホルモン療法を行い、トランスジェンダー女性(MTF)に対しては、女性ホルモン療法を行います。

特に、当院では長期作用型男性ホルモン(ネビド)のジェネリック薬品を取り扱っております

下記のような方は、短期作用型男性ホルモン製剤からネビドへの切り替え、あるいはネビド先発薬品からのネビドジェネリックへの変更をおすすめいたします。

ネビド注射はこんな方におすすめ

・男性ホルモン補充療法のための病院受診の回数を減らしたい方や仕事の関係などで病院に通いづらい方

・短期製剤投与後に、イライラ感や情緒不安定などが起こる方

・男性ホルモン補充療法中のホルモン値を安定させ、生活習慣病や血栓症のリスクを管理したい方

・長期作用型男性ホルモン製剤に興味はあったが、値段の関係で打っていなかった方

さらに、2024年1月よりネビドのジェネリック内服薬(Cernos capsule)を導入いたしました。

ネビドジェネリックの内服薬(ウンデカン酸テストステロン内服薬)は、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)で承認されており(元ページはこちら)、男性ホルモン維持に有効で重大な副作用リスクの増加はみられなかった、と学術的に報告されています(元ページはこちら)。

低用量男性ホルモン投与(Microdosing Testosterone)も行っていますので、ご相談ください。

ネビド内服はこんな方におすすめ

緊急用、あるいは仕事で注射を打てないなどに備えて、予備の男性ホルモン製剤として持っておきたい方

・高容量の男性ホルモン投与はしたくないが、男性ホルモン療法をしたい方(少しだけ男性寄りの変化を望んでいる方や、ゆっくりと男性化することを望んでいる方など)

・注射を定期的に打ちたくない方、あるいは飲み薬を中心にホルモン療法をしたい方

・地方在住など地理的な問題で、定期的に注射を打つことができない方

【ホルモン補充療法の料金】(診察時は、別途診察料がかかります)

種類 製剤 費用(税込)
短期持続型
男性ホルモン
テストビロン100mg 2,500円
エナルモンデポー250mg 3,500円
長期持続型
男性ホルモン
ネビドジェネリック
(Cernos injection)
18,000円*
ネビドジェネリック内服薬
(Cernos capsule)
5,000円/30錠
男性ホルモン
クリーム
グローミン 4,100円
短期持続型
女性ホルモン
プロギノンデポー10mg 2,500円
プロギノンデポー20mg 3,500円
女性ホルモン
ジェル
ル・エストロジェル 1本:4,300円
2本:6,200円
3本:8,100円
抗男性ホルモン製剤
(抗アンドロゲン剤)
スピロノラクトン 50mg:3,000円/30錠
100mg:6,000円/30錠
150mg:9,000円/30錠
200mg:12,000円/30錠

*ホルモン測定の費用が含まれています。

ホルモン見守り診療(血液検査)

ホルモン補充療法を開始すると、肝機能障害・腎機能障害、脂質異常症、糖尿病、多血症、血栓症、骨粗しょう症など様々な疾患を合併しやすくなります。

当院では、ホルモン補充療法に伴う「ホルモン見守り診療」も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

ホルモン見守り診療に関しては、下記(池袋医師のブログ)でも解説されております。

特に、ネビドジェネリック注射を希望の方は、料金の中にテストステロン値(男性ホルモンの値)の測定も含んでいます

体に必要なホルモンの量は生涯一定ではないことや、ちょっとした体調不良もホルモンが関与していることもあります。定期的な血液検査をおすすめしております。

当院でホルモン補充療法を行う方は、初回のホルモン値や生活習慣病検査について、無料で行うことが可能です。ご自身の体について、一度チェックしてみませんか?お気軽にご相談ください。

おりもの、外陰部の異常・治療

あらゆるジェンダーの方に対して、おりものや外陰部の異常・治療相談を受け付けています。

こんな方のご相談も当院で行うことが可能です。まずはご相談ください。

当日に診断、受付からお薬をお渡しするため、薬局に行く必要はありません。

おりもの検査はトイレにてご自身で取っていただくため、内診台に乗っての診察はありません。

よくある相談

・トランスジェンダー男性(FTM)/トランスジェンダー女性(MTF)/ノンバイナリーの方のおりものの異常

・婦人科はちょっと行きにくい…という方のおりものの異常

・何科に行ったらいいの?と思う外陰部の異常

治療相談・カウンセリング

性別不合に関する治療相談など、相談可能です。 小学生〜高校生の方の相談対応もしています。

すでに治療中の方で、今後の治療などについて悩んでいる方の治療相談も承ります。

当院では、治療方針の相談は可能ですが、性別不合の診断はしておりません。

大学生以下の方は、診察料など学生料金が適応されます。25歳以下の学生の方は、学生証をお持ちください。

性病検査・治療・予防

当院ではあらゆる性感染症の検査・治療・予防が可能です。

五大性病である、HIV・B型肝炎・梅毒・淋病・クラミジアは、そのすべてを予防できる時代になっており、性感染症は予防する時代です。HIV予防薬の相談や、各種ワクチン、梅毒・淋病・クラミジアの予防薬などの相談も同時に行うことができます。

治療可能な疾患

HIV・梅毒・B型肝炎・淋病・クラミジア・亀頭包皮炎・細菌性腟炎・マイコプラズマ・ウレアプラズマ・ ヘルペス・コンジローマ・腟カンジタ・細菌性腟炎(症)・腟トリコモナス など

五大性病と予防

・HIV➡HIV予防薬(PrEP/PEP)

・B型肝炎➡肝炎ワクチン

・梅毒・淋病・クラミジア➡Doxy PEP淋菌ワクチン

・「HIV予防薬」「肝炎ワクチン」「Doxy PEP」「淋菌ワクチン」をクリックすると、詳細なページに進むことができます。

当院では、ホルモン補充療法を行う方に対して、無料で性感染症検査一式を受けることができます(通常24,000円相当)。ご自身の体やパートナーの方を守るために、ぜひご利用ください。

HIV予防薬(PrEP/PEP)

HIV/AIDSは、予防薬を飲むことで感染を防ぐことができます。

感染機会の前に飲む方法をPrEP(プレップ)、感染機会の後に飲む方法をPEP(ペップ)と言います。

PrEP(Pre-exposure prophylaxis:暴露前予防内服)とは、性行為等の前から抗HIV薬を内服して、感染リスクを減らすというHIV感染予防策です。

特にHIVに感染するリスクが高い人に推奨される予防方法で、「コンドームは相手任せの予防法ですが、PrEPは自分の意思で内服し、予防ができる」と、今ではWHO(世界保健機関)も勧めている予防法です。

国際エイズ会議(2022、2023)で発表された研究によると、一般成人集団と比較しトランス男性は約7倍、トランス女性は66倍HIV感染リスクが高いことがわかりました。

HIVは一度感染してしまうと生涯治療が必要な性感染症です。そのため、予防することが非常に重要となります。

PrEPはこんな人におすすめ

・コンドームをしないことがある方

・コンドームをしてもらえないことがある方

・HIV陽性のパートナーがいる方

・肛門性交がある方

・セックスする相手が多い方

・性風俗関係のお仕事をしている方

当院では、HIV予防薬に関して電話診療・配送も可能です。遠方の方は、ぜひご利用ください。(ジェンダー外来の電話診療・配送は行っておりません)

AGA(男性型脱毛症)治療

AGA(男性型脱毛症:Androgenetic Alopecia)は、主に額の生え際や頭頂部のつむじ周辺から抜け毛が起こり、時間をかけて少しずつ薄毛が進行していくのが特徴です。

AGAを発症した場合、自然に薄毛の進行を食い止めることができないため、早い段階から治療を始めることが推奨されています。

最近、男性ホルモンを投与している方(特に、トランス男性など)からのAGAに関する質問が増えています。

男性ホルモンを投与することで、毛髪減少などが起こることがあります。

当院では、AGA治療薬としてフィナステリドやデュタステリドに加え、外用薬(塗り薬)であるミノキシジルも導入しました!セット料金など非常にお求めやすくなっていますので、ぜひ下記をご覧ください。

特に、男性ホルモン投与による毛髪減少に対しては、AGA薬の効果があることがWPATH(世界トランスジェンダー健康専門協会)でも認められています。

こちらの動画から、トランスジェンダーとAGA薬について詳しく見ることができます。

ピル・アフターピル(緊急避妊薬)

男性ホルモン投与により月経がなくなったとしても、子宮・卵巣がある場合は、妊娠する可能性があります。

当院では、性交渉後から72時間以内までに飲むアフターピルもご用意があります。

学生料金も設定し、お求めやすい価格に調整しています。

【ピル】(初回のみ、診察料が別途必要です)

薬品名学生料金
(1シート分、税込)
通常料金
(1シート分、税込)
マーベロン282,100円2,300円
トリキュラー282,100円2,300円
ファボワール281,800円2,000円
プラノバール211,500円1,700円

【アフターピル】(診察料が別途必要です)

薬品名学生料金
(1回、税込)
通常料金
(1回、税込)
ノルレボ
(先発品)
12,000円14,000円
レボノルゲストレル
(後発品)
8,000円8,800円

ワクチン

当院では、性病の予防の一環として、肝炎ワクチンHPVワクチン淋菌ワクチンを導入しています。

HPVワクチンは、尖圭コンジローマという性病を予防するだけでなく、下記のようながんを生涯予防する効果があります。

HPV感染で起こるがん

男性器:陰茎がん

女性器:子宮頸がん、外陰がん、膣がん

共通:中咽頭がん、肛門がん

アメリカのCDC(疾病対策予防センター)が発表した内容では、13歳〜19歳の女子の子宮頸がんの発病例が83%も減少し、20歳から24歳でも66%減少しました。

また、10代〜20代の女子の子宮頸がん検診で前癌病変が減少しました。

男女の性器・肛門の尖圭コンジローマもどの年代でも著しく減少しており、男性のHPVワクチン接種も進められています。

男性のHPVワクチン接種

HPVワクチンの接種は、女性だけでなく男性に対しても非常に効果があります

主に、下記2点の効果が期待できます。

・男性本人のHPV感染による病気の予防(コンジローマ、陰茎などの癌)

・自分が感染源とならないことで、パートナーのHPV感染症のリスクを抑える

HPVワクチンを接種することは、ご自身とパートナーを守ることに繋がります!

各ワクチンは、下記のような方に特におすすめです。当日接種可能で、相談だけでも大歓迎です。

対象となる方

A型肝炎/B型肝炎ワクチン:

・複数の性的パートナーを持つ方(オーラルセックスを含む)

・B型肝炎の方のセックスパートナーがいる方、同居家族

・海外への渡航予定がある方

・医療関係者 など

淋菌ワクチン:

・以前に淋病や他の性感染症にかかったことのある方

・淋病治療の第一選択薬(セフトリアキソン)にアレルギーのある方

・複数のセックスパートナーがいる方

・CSW(風俗業界、AV業界等で働く方)の方など、特に感染機会の多い方

HPVワクチン:

・9歳以上の方でHPV感染症のリスクを減らしたい方

(HPVワクチン接種は、陰茎がんや肛門がん等の予防にもなることから、欧米各国では女性だけでなく男性の方の接種も推奨されています)

ワクチンは、数年~数十年にわたり、病気の予防効果があり、非常に経済的な性病予防・がん予防です。ワクチンに関しては、下記をご参照ください。

医師 池袋 真について

医師、産婦人科専門医、日本GI(性別不合)学会認定医。

いだてんクリニック・パーソナルヘルスクリニックでジェンダー外来を担当。2年間で約3000名以上のトランスジェンダーの診療を行っており、トランスジェンダーのヘルスケア・セクシュアルヘルスケアを専門的に行っている。