海外旅行で寝込まないために~出発前のトラベルセットと体調不良対策~
海外旅行、留学、出張などで海外へ行くとき、「現地で体調を崩したらどうしよう」「薬は何を持って行けばいいの?」と不安になる方は少なくありません。
海外では、時差、気候、食事、水、長時間移動などの影響で、のどの痛み、下痢、発熱などの体調不良が起こることがあります。楽しい旅行を安心して過ごすためには、出発前の準備が大切です。
この記事では、海外旅行前に確認したいこと、旅先で体調を崩したときの基本対応、当院で処方しているトラベルセットについてまとめます。
この記事で言いたいこと
・渡航先の感染症情報を確認し、必要な予防接種・予防薬は早めに相談しましょう。
・風邪薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬、下痢止めなどは、日本から使い慣れたものを持参すると安心です。
・海外では、水・氷・生ものに注意し、十分に火の通った料理を選びましょう。
・38℃以上の発熱、血便、強い腹痛、息苦しさ、意識がぼんやりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
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海外旅行の体調不良対策は出発前の準備が大切
海外旅行では、日本とは異なる気候、時差、食事、水、衛生環境などにより、体調を崩すことがあります。渡航先によっては、日本ではあまり見られない感染症にも注意が必要です。
出発前には、渡航先、滞在期間、旅行の目的、現地での活動内容を確認し、必要な予防接種、予防薬、常備薬について相談しておくと安心です。また、気候に合わせて調整できるカーディガン等を持っていくと便利です。
持病がある方、妊娠中の方、高齢の方、お子さん連れの方、長期滞在を予定している方は、特に余裕を持って準備しましょう。
普段飲んでいる薬やお薬手帳、ワクチン接種歴がわかるものも持参すると相談がスムーズです。
長時間フライトではエコノミークラス症候群を予防
飛行機やバスなどで長時間座ったままでいると、足の血流が悪くなり、血のかたまりができることがあります。その結果、血のかたまりが血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。 いわゆる「エコノミークラス症候群」と呼ばれる状態です。
予防のためには、移動中にこまめに足首を動かす、ふくらはぎを伸ばす、可能であれば立ち上がって歩く、水分をとることが大切です。
片足の腫れや痛み、胸の痛み、息苦しさ、失神しそうな感覚がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
海外旅行の食中毒対策は「水・氷・生もの」に注意
海外旅行中の下痢や食中毒は、食べ物や水が原因で起こることがあります。食べ物により感染する注意すべき病気は、E型肝炎、A型肝炎、アメーバ赤痢、腸チフス、コレラなどです。食事はできるだけ十分に火が通ったものを選び、温かい料理は温かいうちに食べましょう。
注意したいのは、生水、氷、生野菜、カットフルーツ、生の魚介類、作り置きの料理です。
選ぶと安心
- 十分に火が通った料理
- できたての温かい料理
- 未開封のペットボトルの水
- 自分で皮をむいた果物
- その場で加熱された焼き物・揚げ物
避けたいもの
- 生水
- 氷入りの飲み物
- 生野菜
- カットフルーツ
- 生の魚介類
- 作り置きの料理
水道水は衛生上の問題から飲むことは避け、ペットボトルのミネラルウォーターを飲用するようにしましょう。ボトル入りの飲み物を選ぶときも、ふたが未開封であることを確認しましょう。また、信頼できるレストランで飲み物を注文する際でも、「氷抜き(No ice, please) 」と伝えるようにしましょう。
カットフルーツや野菜類は生水を用いて処理されている可能性があります。 カットされているものを選ぶのではなく丸ごと買い、自分で皮をむき、切ることでリスクを減らすことが可能です。
屋台で食事をする場合は、作り置きではなく、その場でしっかり加熱された揚げ物や焼き物を選ぶとよいでしょう。
A型肝炎や腸チフスは、渡航前にワクチン接種を行うことで感染率を下げることができます。接種歴のない方はこれらのワクチン接種を頂くことも感染予防策の1つです。
海外旅行中に風邪・下痢・発熱が出たときの対応
旅先で体調を崩したときは、まず休息と水分補給を心がけましょう。次のような症状がある場合は、無理をせず現地の医療機関に相談してください。
| 症状 | まずすること | 受診の目安 |
|---|---|---|
| のどの痛み・咳・鼻水 | 休息、水分補給、持参した薬を 用法・用量どおり使用 | 息苦しさ、強い咳、高熱、 意識がぼんやりする、 症状が悪化する |
| 下痢・腹痛 | 経口補水液や スポーツドリンクを 少量ずつ飲む | 血便、強い腹痛、 発熱、水分がとれない、 ぐったりしている、数日続く |
| 38℃以上の発熱 | 無理に移動せず、 休息と水分補給。 渡航先の感染症も考える | 発熱が続く、発疹、 強い頭痛・関節痛、 息苦しさ、嘔吐や下痢を伴う |
マラリア流行地域に滞在した方の発熱は、急に悪化することがあります。受診時には、渡航先、滞在期間、現地で食べたもの、蚊に刺されたか、動物との接触があったか、予防接種歴を伝えましょう。
マラリアの予防については、下記ブログを参照ください。
現地で薬を買うときは信頼できる薬局で相談
海外では、日本と同じ名前の薬が手に入らないことがあります。また、同じように見える薬でも、成分や量が異なる場合があります。
現地で薬を購入する場合は、できるだけ信頼できる薬局で、薬剤師に相談しましょう。薬の名前だけで選ぶのではなく、成分、1回量、1日の服用回数、副作用、他の薬との飲み合わせを確認することが大切です。
普段飲んでいる薬は、元のラベルやパッケージのまま、必要量より少し多めに持参し、機内持ち込みに入れておくと安心です。
海外旅行のトラベルセットは日本で準備
海外旅行では、「現地で薬を買えばいい」と思っていても、言葉の問題、成分の違い、薬局の場所がわからないことなどで困ることがあります。体調を崩したときにすぐ対応できるよう、日本から常備薬を持っていくと安心です。
当院では、旅行・渡航に便利な常備薬の処方を行っています。トラベルセットは、旅行先で起こりやすい発熱、頭痛、胃腸の不調、下痢、乗り物酔い、便秘、虫刺されなどに備えたセットです。処方には医師の診察(初診料2500円、再診料1,000円)が必要となります。
常用薬がある場合は、飲み合わせを確認いたしますので診察時にお申し付けください。
トラベルセット
- 解熱鎮痛薬 5回分
- 胃腸薬・整腸薬・抗アレルギー薬 各5日分
- 下痢止め・酔い止め・便秘薬 各5回分
- 軟膏・虫刺され用薬 1本
ワクチン接種をご希望の方は、こちらのブログをご参照下さい。
緊急時のために救急番号・保険・領事館を確認
旅先で急に体調が悪くなったときは、慌てずに受診できる準備が必要です。出発前に、現地の救急番号、宿泊先近くの医療機関、海外旅行保険の連絡先、日本大使館・総領事館の連絡先を控えておきましょう。
短期の海外渡航では、外務省の「たびレジ」に登録しておくと、渡航先の安全情報を日本語で受け取ることができます。事件・事故・災害などが起きたときの連絡にも役立ちます。
医療機関を受診するときに備えて、パスポート、海外旅行保険証、常用薬、薬の情報、アレルギー、持病、緊急連絡先をまとめておくと安心です。
帰国後の体調不良は専門の医療機関へ
海外旅行中は元気でも、帰国後に発熱、咳、下痢、発疹、だるさなどが出ることがあります。感染症には潜伏期間があり、帰国後しばらくしてから症状が出ることもあります。
帰国後の体調不良では、「海外旅行から帰ってきたばかりです」と最初に伝え、渡航先、滞在期間、現地での飲食状況、活動内容、動物との接触、ワクチン接種歴などを医師に伝えましょう。
帰国後に体調不良がある方は、帰国後診療を行っている病院の受診や最寄りの保健所にお問い合わせください。帰国後診療を行っている病院については日本渡航医学会のホームページより、お探しください。
帰国時に体調が悪くなった際は、空港や港に設置されている検疫所に相談ください。帰国時に発熱、咳、発疹、下痢などの症状があったり、具合が悪かったり、体調に不安がある場合や動物に咬まれた、蚊に刺されたなど渡航者の方を対象に健康相談の実施が可能です。
予約
予防薬の処方や予防接種は予約なしでも可能です。
予約の方を優先にご案内しておりますので、予定が決まっている場合は下記よりご予約をお願いいたします。
<医師 忽那 賢志>
感染症内科専門医、医学博士。
日本最大のトラベルクリニックを擁する国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)にて、約10年間渡航医学・輸入感染症診療に携わり、現在も診療・研究などを行っておられます。
他の専門領域は新興再興感染症、新型コロナウイルス感染症で、メディアやインターネットなど様々な媒体で感染症の啓発に取り組んでおられます。
当院でも非常勤医師として診療いただいている他、トラベル外来の監修も行っていただいております。
