梅毒は注射で即日治療が可能です!予防もできます!
以前までの梅毒の治療といえば「飲み薬」のみで数週間の治療期間が必要でしたが、2021年~2022年にかけて日本でも注射薬の「ステルイズ(ベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤)」が承認されました。
ステルイズ治療の利点は即日治療が完了する点です。
ここでは梅毒の治療の流れや飲み薬、注射薬の違い、予防薬について説明します。
当院では、ステルイズ治療は自由診療のみ行っております。
この記事で言いたい事
・梅毒の治療は、即日で治療が完了する「注射薬」があり、当院では9割以上の方が即日治療を希望している。
・梅毒は、治療終了後に2~4週間後に確認検査を行い、治癒確認を行ってから性行為を再開する必要があるため、従来のお薬による治療だと、最低4~8週間程度は性行為を控える必要がある。
・梅毒には予防薬があり、72時間以内にお薬を飲むことで88%の予防効果がある。
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梅毒ってどんな病気?
梅毒は感染者数が2021年以降大きく増加している性感染症です。
主に性的接触により口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。オーラルセックスやアナルセックスなどでも感染し、一度治療しても陽性者との性的接触で再感染を起こします。
梅毒は無症状で経過する場合もあり、感染しているとHIVにも感染しやすくなる為早期発見、早期治療がとても大切です。
診断から治癒までの流れ
梅毒の診断から治療には次の3ステップが必要です。
確定診断
梅毒の検査を行い、診断を確定します。
検査を行う場合は、即日検査(当日30分程度で分かる検査)と定量検査(4-5日後に分かる検査)の2種類があります。
採血+治療(注射)
必ず、治療開始時に採血を行います。開始時の検査結果と治療後の検査結果を比較して、治療が成功しているかを判断するためです。
「注射薬」であれば採血と同時に治療し受診日当日に治療が終了となります。
治癒確認
治療終了後2~4週間空けて再度血液検査を行います。
治療開始時の血液検査と比較する必要があり、詳しくは医師にお尋ねください。
治癒確認終了後から、性行為を再開しましょう。治癒が確認できる前に性行為をしてしまうと、万が一血液検査を比較して数値がさらに上昇していた場合、治療失敗なのか、梅毒に再感染したのかわからなくなってしまいます。
注射薬「ステルイズ」について
当院では、梅毒を治療される方の9割以上が、注射薬であるステルイズを希望されます。
梅毒の治療は、飲み薬もありますが、世界的には一般的ではありません。(一部のペニシリンアレルギーの方のみ飲み薬を処方することが一般的です)
飲み薬と比較したメリット
・飲み薬より早く梅毒の治癒完了まで持ち込める。
・薬の飲み忘れなどを気にする必要がなく、当日治療が完了することで精神的にも楽である。
梅毒の治療には、治癒確認が必要であるため、治療終了後から2~4週間後に採血を行うまでは性行為を控える必要があります。
お薬を飲む場合、2~4週間程度飲むのが一般的なので、性行為の再開は、4~8週間後と非常に時間がかかることが問題です。
また、お薬で一般的に使われる治療薬(アモキシシリン)は、錠剤が大きく1日3回計6錠を長期間服用する必要があり、飲み忘れや飲み続けられないことがあるため注意が必要です。
注射の方法と副作用
お尻の筋肉に注射1回注射することで治療が終了します。(後期潜伏梅毒は1週間おき3回だが、頻度はまれ)
梅毒治療の一般的な副作用として、治療開始後24時間以内に約3人に1人の割合で全身の倦怠感や発熱、頭痛など(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応)が起こりますが正常な反応の為ご安心ください。
倦怠感や発熱などは、自然に軽快しますが、症状がお辛い場合は解熱鎮痛剤を使用されても問題ありません。
また、注射後1日~数日にかけて投与部位に痛みや違和感をもつことがありますが自然に軽快します。
料金
当院では、ステルイズ治療は自由診療のみ行っております。
ステルイズ注射
料金:19,000円*(税込)
・料金には、治療に必要な採血代金も含みます。
*別途診察料がかかります。(初診料は2,500円、再診料は1,000円、すべて税込)
また、当院では、梅毒の診断や確認検査も受けることが可能です。
梅毒に感染したことのある方は、定量検査を受けていただく必要がございます。
費用:7,000円(税込)
検査可能時期:感染機会から6週間以降
検査の方法:採血
検査結果:30分後(院内でご説明)
備考:過去に梅毒に感染経験のある方は受けられません。
費用:5,000円(税込)
検査可能時期:感染機会から4週間以降
検査の方法:採血
検査結果:4~5営業日後(メールで確認)
備考:過去に梅毒に感染経験のある方も受けられます。
梅毒には予防薬があります!
近年、梅毒・淋病・クラミジアは飲み薬であるDoxy PEPを使用することで予防が可能な事が知られています。
これは、性行為後72時間以内にドキシサイクリン(ビブラマイシン)を200mg内服することで梅毒を87%、クラミジアを88%、淋病を55%予防する方法です。
当院ではDoxy PEPに関して、医師の診察時にリスクとベネフィットについて十分に説明を行い、患者様ごとに適応を検討しています。
電話診療での処方も可能ですのでお気軽にご相談下さい!
▶日本性感染症学会「性感染症診断・治療ガイドライン 2020」
<医師 塩尻 大輔> パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。 日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。 当院でも非常勤医師として診療いただいております。