女性の悩み

おりものがいつもと違う!~誰でも起こる可能性がある細菌性腟症について~ 

おりものがいつもと違う!~誰でも起こる可能性がある細菌性腟症について~ 

細菌性腟症は腟内に細菌(雑菌)が過剰に存在することにより、おりものの異常をきたしてしまう病気です。

性感染症ではなく性行為がなくても起こることがあることがあり、おりものが灰白色になることや魚のようなにおいなどの症状が出ることが特徴です。

ここでは、細菌性腟症の原因や検査方法、治療についてまとめて解説します。

この記事で言いたいこと

・細菌性腟症は性行為の経験がなくても起こる可能性があり、腟症状がある人の最も一般的な原因である。

・30分で程度検査、診断、治療薬の処方が可能。

・治療薬を使用すると、数日で症状が改善する。

・細菌性腟症の方はそうでない方と比較し、淋菌やクラミジア等の性感染症の感染リスクが上がる。

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細菌性腟症とは

「おりものが増えた」「色が灰白色」「においがイカ臭い」これらの症状は細菌性腟症かもしれません。

細菌性腟症とは、腟内に細菌(雑菌)が過剰に存在すると起こる状態のことです。

通常、腟内には良い菌(乳酸菌)がおり腟内の環境を保っていますが、腟内に多く細菌(雑菌)が入ってしまうことにより腟内の正常なバランスが崩れてしまい、上記のような症状が出てきてしまいます。

細菌性腟炎は、女性の腟症状の最も一般的な原因であるといわれています。近年の研究ではおりものの症状がある方の20-30%は細菌性腟症であるという報告があります。

また、性行為の経験がなくても、疲れやストレス、睡眠不足等で免疫力が低下すると細菌性腟炎になる可能性があります。

つまり、細菌性腟症は性感染症ではなく誰にでも起こる可能性のある病気なのです。

性感染症とは

性感染症とは、クラミジア淋病梅毒及び尖圭コンジローマなど、性的接触を介して感染する可能性がある感染症を指します。

細菌性腟症の原因

腟内の良い菌(乳酸菌)と悪い菌(雑菌)のバランスが崩れた状態が細菌性腟症です。

そのため、良い菌が腟内から減ってしまうことや、悪い菌が腟内に入ってきてしまうことが原因となります。

具体的には以下の状況が挙げられます。

細菌性腟炎になりやすい環境

・腟洗浄

・コンドームの不使用

・複数の性行為パートナーがいる

・子宮内避妊具の使用

・性行為による雑菌の侵入

1日に複数人の方と性行為をする方は、性行為ごとに「腟を石鹸でゴシゴシ洗う!」という方もいらっしゃいます。

過度に腟を石鹸で洗うことや、性行為のたびに腟内を洗うことは良い菌(乳酸菌)も一緒に洗い流してしまいます。

そうすると、腟を守ってくれる良い菌が腟からいなくなってしまうため、少しの雑菌が腟内に入るだけでも細菌性腟症になってしまいます。

日常生活で色々なところに触れる「手」や湿った暖かい環境の「口」には雑菌がたくさんいます。

洗っていない手で腟内を触られることや、歯磨きをしていない口で腟内をなめられることで手や口にいた雑菌がたくさん腟内に入ってしまうことになり細菌性腟症の原因になります。

細菌性腟症の検査

おりもの(腟)を綿棒で拭っていただいたのちに、顕微鏡で観察し診断を行います。

おりものはご自身で採っていただくため、陰部の診察や痛みを伴うことはありません。

当院では検査~診断まで30分程度で可能です。

おりもの検査

・細菌性腟症、カンジダ、トリコモナスの診断が可能な検査で、すべて即日で結果がわかります

検査方法:拭っていただいたおりものをその場で特殊な染色を行い、顕微鏡で観察します。

検査可能時期:性行為の有無にかかわらずいつでも可能です。 生理の場合は経血が多い日を避けていただくとより正確な検査結果が出ます。

検査結果:即日

費用:4,500円*(税込)

・おりもの検査は、必ず医師からの説明となりますので、別途診察料**がかかります。

*25歳以下の学生様の場合、割引がございますので学生証をご持参ください。

**初診料は2,500円、再診料は1,000円となります(いずれも税込)。

細菌性腟症の治療

治療は腟錠(腟の中に入れるお薬)を6日間、就寝前に使用します。腟錠を使い始めると、2~3日で症状が改善することが多いです。

治療は必須ではないですが、症状がある場合は治療することが推奨されています。

また、細菌性腟症の場合、淋菌やクラミジア等の性感染症の感染リスクが1.4~2.0倍上がるという研究結果があるため、診断された場合には治療することをお勧めしています。

細菌性腟症であった場合には、当日お薬をクリニックでお渡しします。そのため薬局にお薬を取りに行く必要はございません。

細菌性腟症の治療

治療期間:6日間

費用:4,500円*(税込)

*25歳以下の学生様の場合、割引がございますので学生証をご持参ください。

細菌性腟症の予防

腟内の良い菌(乳酸菌)を保つために過度な腟洗浄をおこなわないこと、性行為時の雑菌の侵入を軽減するために性行為前に手を洗う・歯磨きをすることが予防につながるといわれています。

この記事を監修した医師

<医師 塩尻 大輔>
パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。
国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。
日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。
当院でも非常勤医師として診療いただいております。