ジェンダー外来

トランスジェンダーとPrEP・性感染症〜ホルモン療法中でもPrEPは安全に使用できます!〜

トランスジェンダーとPrEP・性感染症〜ホルモン療法中でもPrEPは安全に使用できます!〜

国際エイズ会議(2022、2023)で発表された研究によると、一般成人集団と比較しトランス男性は約7倍、トランス女性は66倍HIV感染リスクが高いことがわかりました。

HIVは一度感染してしまうと生涯治療が必要な性感染症です。その為、予防することが非常に重要となります。

この記事では、HIVの予防方法やホルモン療法中のHIV予防薬(PrEP:曝露前予防内服)について、またHIV以外の性感染症の予防についても解説していきます。

この記事で言いたいこと

・トランスジェンダーはHIVに感染するリスクが高く、事前に予防薬(PrEP)を内服し、自分の意志でHIVを予防することが重要です。また、PrEPはホルモン療法に影響を与えることなく使用できる。

・トランス男性で子宮・卵巣がある場合は男性ホルモン投与療法中で月経が止まっていても任する可能性がある。

・当院では匿名で性感染症の相談・予防・検査・治療が可能です。HIV以外の性感染症に対する予防薬やワクチンなども取り揃えている。

目次の各項目をクリックすると、記事の途中までジャンプすることができます。

HIVの予防について

HIVの予防として最も確実なのはセックスをしないこと、お互い性感染症に感染していないことが分かっている相手とのみセックスをすることです。

予防にはコンドームの使用がありますが、コンドームは相手任せの場合もある為自分自身を守る方法を知っておくことも重要です。

また、トランスジェンダー男性(トランス男性)・トランスジェンダー女性(トランス女性) は腟、または肛門性行為時のコンドーム使用率が非常に低いと言われています。

これは子宮・卵巣があるトランス男性でも、男性ホルモン療法により月経が止まると「妊娠しない」と思う方も多いためだと言われています。

コンドームを使用しないことでHIVやその他の性感染症に感染するリスクが高くなるだけでなく、トランス男性で子宮・卵巣がある場合は男性ホルモン投与療法中で月経が止まっていても妊娠する可能性があります。男性ホルモン療法は避妊薬ではないのです。

当院では性行為後120時間以内に飲む緊急避妊薬(アフターピル)もご用意してあります。詳しくは下記をご参照ください。

コンドームは相手任せの予防方法ですが、HIV予防薬の内服(PrEP)は「相手任せにならず、自分の意思でHIVの予防が出来る」とWHO(世界保健機関)も勧めている予防方法です。

PrEPについて詳しくは下記で解説していますのでご参照ください。

ホルモン療法中のPrEP

PrEPを内服することでホルモン療法中の体に影響がないか心配になる方も多いと思います。

WPATH(世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会)のガイドラインでは、PrEPがホルモン療法に与える影響はなく、トランス男性・トランス女性ともにPrEPは重要なHIVの予防方法であると記載されています。

詳しいPrEPの内容や飲み方などにつきましては診察時にお気軽に医師にお尋ねください。トランスジェンダーの方は、デイリーPrEPでの内服を推奨しております。

5大性病はすべて予防できます

HIV・梅毒・B型肝炎・淋病・クラミジアは5大性感染症と言われていますが、HIV以外にも梅毒・淋病・クラミジアは予防内服(Doxy PEP)、B型肝炎、淋病はワクチンで予防することが可能です。

性感染症は予防する時代となってきており、当院では上記すべての予防内服やワクチンを取り揃えています。

五大性病と予防

・HIV➡HIV予防薬(PrEP・PEP)

・B型肝炎➡肝炎ワクチン

・梅毒・淋病・クラミジア➡ドキシペップ淋菌ワクチン

・「HIV予防薬」「肝炎ワクチン」「ドキシペップ」「淋菌ワクチン」をクリックすると、詳細なページに進むことができます。

ジェンダー外来でできること

性感染症は性器だけでなく咽頭(のど)や肛門に感染する場合もあり、これまでに一度でも性行為(キスやオーラルセックスを含む)の経験があればだれでも感染のリスクはあります。

当院ではあらゆる性感染症の相談・予防・検査・治療が可能です。また、自由診療であれば保険証の提示が不要ですので、匿名での受診が可能です(ジェンダー外来は自由診療のみとなっております)。

また、ホルモン療法を行う方は初回無料で性感染症検査一式をうけることができます(通常24000円相当)。これまでに一度でも性行為の経験がある方はご自身の身体や大切な人を守る為、この機会に検査を受けてみませんか?

この記事を監修した医師

池袋 真(医師、産婦人科専門医、GI学会認定医)

パーソナルヘルスクリニックでジェンダー外来を担当。2年間で約3000名以上のトランスジェンダーの診療を行っており、トランスジェンダーのヘルスケア・セクシュアルヘルスケアを専門的に行っている。

この記事を監修した医師

<医師 塩尻 大輔>
パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。
国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。
日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。
当院でも非常勤医師として診療いただいております。