男性の悩み

男性更年期障害って何?〜症状は?検査から治療の流れは?料金はどのくらいかかる?〜

男性更年期障害って何?〜症状は?検査から治療の流れは?料金はどのくらいかかる?〜

当院では、男性更年期障害(LOH症候群:Late Onset Hypogonadism、読み方は「ロー」症候群)に関する専門的な診察を行っております。

男性更年期障害は、近年世界的に注目されていますが、国内では言葉自体があまり認知されておらず、治療が必要な方が満足な治療を受けることができていない状況です。また、最近は20〜30代の方も男性更年期障害の診断で治療を行っているケースもあります。

この記事では、男性更年期障害について、症状や検査、治療などをわかりやすくまとめています。

当院では、男性更年期(LOH)外来に関する検査や治療は原則自由診療で行っております。

男性更年期(LOH)外来に関するご質問がありましたら、当院の公式LINEからお問い合わせください。

目次の各項目をクリックすると、記事の途中までジャンプすることができます。

男性更年期障害の症状

男性更年期障害は、日本では約600万人もの方がいると言われており、2000年代初めより世界的に指摘されるようになった病気です(現在ではLOH症候群と表現されることもあります)。

男性更年期障害は「加齢やストレスに伴う男性ホルモン(テストステロン)低下による症候群」と定義され、近年若年(20〜30代など)の方でも男性ホルモンが低下しているケースが見受けられます。

男性ホルモンは、精子形成や筋力増強だけでなく、筋肉や骨、中枢神経系や前立腺、性機能や排尿機能など様々な機能を持っていますが、男性更年期障害になると、これらに支障をきたし、下記のような様々な症状が現れます。

男性更年期障害の症状

・性欲の低下がある(★)

・勃起力が弱くなってきた(★)

・元気がなくなってきた

・体力あるいは持続力の低下がある

・身長が低くなってきた

・「日々の楽しみ」が少なくなったと感じる

・もの悲しい、または怒りっぽい

・勃起力が弱くなった

・運動する能力が低下した

・夕食後、うたた寝をすることがある

・作業の能力が低下した

上の質問のうち、(★)の2つ両方に該当するか、3つ以上思い当たる場合、男性更年期障害の可能性があります。

男性ホルモン、というと「性欲」と結びつきやすいかもしれませんが、実は男性ホルモンは精神面などにも強く作用しており、「性欲はあるが、よく眠れない」「性格が変わったと言われ、なんとも言えない不安な気持ちが常にある」などの症状もよく聞きます。

男性更年期の症状の重症度を詳しく判定するためには、AMSスコア(男性更年期障害質問票)を使用すると、客観的に点数でご自身の状態がわかるため、下記の質問に対して、1点(症状:なし)から5点(症状:きわめて重度)で点数をつけて合計点を出してみましょう。

AMSスコアは、ホルモン治療における効果を測定する上でも非常に有用な質問票であることが知られています。

【AMSスコア】

それぞれの答えについて、症状の重さに合わせて、1〜5点の点数をつけていきましょう。17項目の合計点で症状の程度を把握します。

症状なし軽度中程度重度きわめて
重度
肉体的にも精神的にも調子が悪い12345
関節や筋肉に痛みがある
(腰痛・関節痛など)
12345
発汗・のぼせがある12345
眠れない、眠りが浅い12345
よく眠くなる
しばしば疲れを感じる
12345
いらいらする、不機嫌になる12345
神経質になった12345
不安になりやすい12345
やる気がない、無気力である
疲労感がとれない
12345
筋力の低下を感じる12345
憂鬱な気分や無力感を感じる12345
自分のピークは過ぎたと感じる12345
燃え尽きたと感じる
どん底の状態だと感じる
12345
ヒゲの伸びが遅くなった12345
性的能力のおとろえを感じる12345
朝立ちの回数が減少した12345
性欲の低下を感じる12345

出典:日本泌尿器科学会/日本 Men’s Health 医学会 「LOH 症候群診療ガイドライン」、ワーキング委員会「加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き」

重症度の評価

17〜26点:問題なし

27〜36点:軽度

37〜49点:中程度

50点以上:重度

スコアが軽度以上の方で、気になる症状があれば、お気軽に当院をご受診ください。

男性更年期障害の検査

男性更年期障害は、女性の更年期と異なり、発症時期が決まっておらず、ホルモン低下をきたすと生涯にわたって症状が続くこともあります

そのため、気になる症状があるようであれば、まずは検査を受けることをおすすめします。

分類男性女性
原因男性ホルモンの低下女性ホルモンの低下
時期特に決まっていない
(40歳代以降いつまでも)
閉経の前後5年
(50歳前後)
期間終わりがない閉経後5年ほどで症状が落ち着く

当院では、初回は10,000円(税込)で男性更年期障害の診断に必要な様々な検査を包括的に調べることが可能です。

また、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAは、ホルモン療法を行う際に、検査が推奨されています。

これは、前立腺がんにすでにかかってしまっている人が、男性ホルモン療法を始めてしまうと、症状を進行させてしまうからです。(男性ホルモンが前立腺がんの原因になるという事実はありません。すでにかかっている人がホルモン療法を始めた場合、危険です。)

当院では、前立腺がんが気になる方や年代に応じてPSAの検査を推奨しております。追加費用は 2,000円(税込)のみです。

また、当院では性感染症のスクリーニング検査についても、男性更年期障害の検査時は特別価格(10,000円、税込。通常は24,000円)で提供していますので、ぜひご活用ください。

初回採血セット

検査内容:血算、肝機能、腎機能、電解質、尿酸、CK、TG、LDL、HDL、血糖、HbA1c、亜鉛、マグネシウム、ビタミンD、甲状腺機能検査、テストステロン、遊離テストステロン(10,000円)

希望の方:PSA(2,000円、税込)

性感染症検査(希望の方):HIV、B型肝炎、梅毒、淋菌、クラミジア(性器・のど・肛門3か所)(10,000円、税込)【通常24,000円相当】

男性更年期障害の診断

男性更年期障害の診断には、上記の初回採血セットの結果を総合して判断します。

特に、男性更年期障害では、「遊離テストステロン」「テストステロン」の値が基準値を満たしているかをまずはチェックします。(特に「遊離テストステロン」の値が重要です)

これら2つの値の低下が認められた場合、他に治療可能な疾患がないかを、採血上で確認を行って、治療を行うことが一般的です。

現在のガイドラインでは、遊離テストステロン・テストステロンが正常値であっても、患者様に症状があり、治療希望があれば、治療を行うことが推奨されているため、治療開始は絶対的な基準ではないことも理解しておくと良いでしょう。

男性更年期障害は、糖尿病などの生活習慣病と強く関係しており、採血セットの検査に異常があれば、並行して治療を開始することも可能です。

当院では、テストステロン認定治療医が、患者様の症状に合わせた最適な検査・治療のご提案をいたします。

男性更年期障害の治療

男性更年期障害の治療は、大きく分けると「生活習慣の改善」「男性ホルモン療法」「ED治療薬」の3つがあります。

生活習慣の改善

生活習慣の改善とは、食事や運動習慣、職場環境や人間関係の改善などを含みますが、すぐに改善できないものなども多いと思います。

また、男性更年期障害の多くの方は、体力に衰えを感じていたり、生活習慣を変えようとする意欲(やる気)が出てこなかったりすることも多い(これこそが男性更年期障害の症状と言えます)ことから、男性ホルモン療法を開始することも検討すると良いと思います。

男性ホルモン療法

男性ホルモンを補充する方法は、「注射薬」「飲み薬」「塗り薬」の3つがあり、当院ではすべての剤形を取り扱っています。

男性ホルモン療法

薬の選択肢:

注射:短期持続型男性ホルモン(エナルモンデポー125mg、250mg)、長期持続型男性ホルモン(ネビドジェネリック)

塗り薬:グローミン、1UPフォーミュラ

飲み薬:長期持続型男性ホルモン(ネビドジェネリックカプセル)

このうち、特におすすめなのが、「飲み薬」であるネビドジェネリックカプセルです。

飲み薬であるネビドジェネリックは、1日1回1錠からの服用を行うことで、効果的に、かつ安全に男性ホルモンを補充することができ、手間もかからず、安価で、継続しやすいことが特徴です。

また、患者様の症状に合わせて、少しずつ容量を増やしたり減らしたりすることができるため、ホルモン値を見ながら、少しずつ無理なく治療を進めることができます。

ネビドジェネリックの内服薬(ウンデカン酸テストステロン内服薬)は、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)で承認されており(元ページはこちら)、男性ホルモン向上・維持に有効で重大な副作用リスクの増加はみられなかった、と学術的に報告されています(元ページはこちら)。

ネビドジェネリック
内服薬

1箱:5,000円/30錠

3箱:14,000円/90錠

6箱:27,000円/180錠

・初回は1日1錠の内服を行うことが一般的です。症状に合わせて、錠数を変更することもできます。

男性ホルモン療法は、安全性の高い治療ですが、下記のような副作用があることが報告されています。

当院では、こうした副作用のチェックだけでなく、ホルモン値に基づき、ホルモン投与量を最適化することで、副作用をできるだけ少なくした治療を提供することが可能です。

ホルモン療法の副作用

・肝機能障害

・多血症

・体毛、ニキビが増える

・精巣機能低下 など

当院では、3ヶ月ごとに継続採血セット(3,000円、税込)を行うことで、ホルモン療法の効果を判定しながら、ホルモン値に合わせた最適な治療を提案いたします。

ご希望の方は、生活習慣病などの採血も行うことができます。

継続採血セット

ホルモン値の計測:テストステロン、遊離テストステロン(3,000円、税込)

生活習慣病検査(希望の方):血算、肝機能、腎機能、電解質、尿酸、CK、TG、LDL、HDL、血糖、HbA1c(3,000円、税込)

各ホルモン療法の料金は下記となっております。

特にネビドジェネリックの内服薬は、1か月あたりおよそ5,000円程度からの治療が可能で、副作用も少なく、お薬も1日1回飲むのみなので、抵抗なく治療が開始、継続できます。

種類製剤費用(税込)
長期持続型
男性ホルモン
ネビドジェネリック内服薬
(Cernos capsule)
1箱:5,000円/30錠
3箱:14,000円/90錠
6箱:27,000円/180錠
ネビドジェネリック
(Cernos injection)
18,000円*
男性ホルモン
クリーム
グローミン
(1%テストステロン皮膚外用剤)
4,100円
1UPフォーミュラ
(5%テストステロン皮膚外用剤)
自費処方箋費用:2,200円
(+薬剤費用)**
短期持続型
男性ホルモン
エナルモンデポー125mg
テスチノンデポー125mg
テストビロン100mg
2,500円
エナルモンデポー250mg
テストビロン250mg
3,500円

*ホルモン測定の費用が含まれています。

**1UPフォーミュラは、当院で自費処方箋費用2,200円(税込)をお支払いいただき、専門の薬局にて、薬剤費用を別途お支払いいただきます(約12,100円)。

ED治療薬

ED治療薬は、勃起障害などのある男性更年期障害の方に対して、効果が非常に高いことがわかっています。

また、近年の研究で、ED治療薬の服用は、EDの改善だけでなく、血中テストステロン値を上げることがわかっており、勃起障害のない男性更年期障害の方にも適応があると考えられます。

当院は、開院当初から、様々なED治療薬を患者様のニーズに合わせて提供しておりますので、安心してご相談ください。

ED治療薬の選び方は、下記のブログで詳細に解説しております。

治療はいつまで続くの?

男性更年期障害は、「生涯治らないのではないか?」という質問を患者様からよく聞きます。

男性ホルモンの値を上げる方法として、前述した「男性ホルモン療法」や「ED治療薬」が学術的に信頼性や効果のある方法ですが、その他にも男性ホルモンを上げる効果が期待できる方法があります。

まず、有酸素運動は血中テストステロン濃度の増加に重要であることが、様々な研究でわかっています。

血中テストステロン濃度を上げることを目的とした運動療法は、1回40〜60分程度の有酸素性運動である必要があり、週に3日以上実施することが有効とされています。運動は、勃起力の改善にも有効です。

また、肥満の方の場合、カロリー制限を実施した食事療法は、テストステロン値を上げると報告されています。一方、健康食品(亜鉛など)のテストステロン値の影響は、有効性の根拠が低く、学術的に認められた食品は現在のところありません。

漢方治療という方法もありますが、ガイドライン上明確に「男性ホルモン療法が何らかの理由で行うことができない患者に対して検討する」という記述があり、第一選択とはなりえず、学術的根拠も男性ホルモン療法に劣ることが知られています。

このように考えると、やや強度の高い有酸素運動や(必要な方は)食事療法を行う生活を開始、維持することができれば、ご自身の生活サイクルの中で血中テストステロン値を保つことができるようになる可能性があると考えられます。

一方、有酸素運動や食事療法などを開始するには、精神的な意味でも肉体的な意味でも、男性更年期障害の方にいきなり開始することが難しいことが多いです。

そこで、「男性ホルモン療法」により、生活改善のために必要な体力や筋力、精神的な安定を獲得してもらい、徐々に有酸素運動や食事療法を行っていくことで、最終的には「男性ホルモン療法」を漸減、あるいは中止することができるようになると考えます。

男性更年期障害の方にとっての「男性ホルモン療法」は、ゴールではなく、血中テストステロン値を維持できる生活を獲得するための補助輪と考えると良いと思います。

当院では、生活習慣や「性の健康」なども含めて、あらゆるフォローをさせていただきます。

男性更年期外来の受診方法

男性更年期(LOH)外来は、当院の他の科と同様、予約優先制とさせていただきます。

直接のご来院は、待ち時間が長くなることが想定されますので、事前にご予約および問診票のご記入をお願い致します。

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予約

当院の公式ホームページの「対面診療」からご予約をお願いします。

step2

問診票の記入

予約完了後、公式LINEまたは予約完了メールの下に記載されているリンクをクリックし、問診票の記入を行なってください。

step3

当日にご来院

当日、ご予約の時間にご来院ください。受付で番号をお渡しし、検査や会計などを含めて番号でお呼びいたします。

step4

医師の問診・診察

問診票に基づき、適切なアドバイスや検査、治療を行います。

この記事を監修した医師

<医師 塩尻 大輔>
パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。
国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。
日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。
当院でも非常勤医師として診療いただいております。