月経移動ってなに?~大事なイベントと生理のタイミングをずらす方法~
皆さんは大事なイベントに月経が重なって憂鬱な気持ちになったことはありませんか。
そんな時は、経口避妊薬を内服することで大切なイベントと月経をずらすことができます。
経口避妊薬は避妊を目的としたイメージが強いですが、PMS(月経前症候群)や月経痛などの月経トラブルや肌荒れの改善といった女性に嬉しい効果もあります。
今回は「月経移動について」まとめて解説いたします。
・経口避妊薬を用いて月経移動を行うことができます。
・月経を早める方法、遅くする方法の2種類あります。
・計画的に始める必要があるため、早めの受診が大切です。
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月経移動について
月経はエストロゲン・プロゲステロンのふたつの女性ホルモンによって調節されています。
経口避妊薬を内服してホルモン量を調節することで月経移動を行うことができます。
出展:周産期医学; 41増刊号: 3, 2011
・スポーツやイベントを楽しみたい
・重要なイベントと生理を重ねたくない
・安心して旅行に行きたい など
薬の飲み方
月経移動は、2種類の方法があり、中容量ピルを使用することによりいずれの方法でも可能です。
月経を早める方法
月経開始を予定日より早めたい場合は、早めたい月経のひとつ前の月経がはじまった時点(遅くとも月経5日目以内)から飲み始めます。
7日~14日以上服用した後に服用を中止すると、おおよそ2~3日あとに月経がきます。
大切な用事の時にピルを内服する必要がないため、副作用や飲み忘れの心配がありません。
月経を遅らせるよりも成功率が低いです。ひとつ前の月経から内服する必要があるため、計画的には始める必要があります。
月経を遅らせる方法
調節したい月経予定日の5日前から月経を避けたい日まで毎日内服を行います。
服用中は月経は始まりません。服用を中止すると、おおよそ2~3日程度で月経がきます。
イベント期間中も正しく内服をすればほぼ確実に月経をさけることができます。予定が急に決まった場合も対応可能です。
イベント中もピルを内服し続ける必要があり、副作用が起こる可能性があります。
ピルを服用中の場合
低用量ピル服用中は普段服用しているピルを使って、月経をずらすことができます。
低用量のピルの種類によっての内服方法が異なるため、現在内服中の方は医師にご相談ください。
副作用
経口避妊薬はホルモンバランスの変化の影響で頭痛・嘔気・嘔吐・胸の張りなどの副作用が現れることがあります。
症状には個人差があり、自然に治ることが多いです。
注意する副作用
血栓症に注意が必要です。
下記の症状があるときはすぐに内服を注意し、病院を受診ください。
・ふくらはぎの痛み、むくみ、しびれ
・突然の息切れ、胸の痛み
・激しい頭痛、めまい、失神
ピルを服用中は、下記の注意しながら服用を行いましょう。
長時間の移動で同じ姿勢が続くときは定期的に立ち上がる、足の運動をするように心掛けてください。
旅行中や大切なイベント時は「トイレに行くから」と控えがちになる人がいますが、水分をとるようにしてください。
薬の種類・値段
当院では、中容量ピルであるプラノバールを扱っております。
・料金:1,700円/シート
・初回は初診料2,500円(税込)、再診料1,000円(税込)が別途かかります。
ピル採血(血液凝固採血、初回・半年後を目安):2,500円(税込)
※25歳以下の学生様の場合、割引がございますので学生証をご持参ください。
普段低用量ピルを使用している方は、低用量ピルで月経をずらすこともできます。
中用量ピルは低用量ピルに比べて、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの含有量が多くなっているため、効果が高い一方で副作用の頻度も上がります。
ご不明な点は、医師と直接ご相談ください。
低用量ピルの値段については、下記をご参照ください。
内服前に確認すること
ピルの服用を開始する前に、月経は不規則ではないか、最後の月経はいつだったか、次の月経はいつの予定か、など普段の月経周期を確認をすることで正しい月経移動を行えます。
下記の方は経口避妊薬が服用できない場合があります。当てはまる場合、必ず医師に相談してください。
服用に注意が必要な方
・初経前、50歳以上または閉経後
・35歳以上で、1日15本以上の喫煙者
・前兆のある片頭痛み
・高血圧
・妊娠または妊娠している可能性がある
・授乳中
・乳がんを患っている、治療中の方
・血栓症の既往がある場合
・心血管疾患の既往がある場合
<医師 塩尻 大輔> パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。 日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。 当院でも非常勤医師として診療いただいております。