ミニピル(セラゼッタ)ってなに?〜副作用の少ない体への影響が少ないピル〜
ミニピル(セラゼッタ)は卵胞ホルモン(エストロゲン)を含まない経口避妊薬です。
喫煙中や授乳中など低用量ピルの内服が推奨されない方でも内服できる薬です。
副作用が少なく、毎日決まった時間に内服が可能な方にはオススメのピルです。
ここでは、セラゼッタのメリットや注意点、内服方法についてまとめて説明します。
この記事で言いたいこと
・ミニピルは正しく内服できれば高い避妊効果が期待できる。
・ミニピルは毎日同じ時間の内服が大切。
・低用量ピルの副作用リスクが高い方でも、ミニピルであれば内服できる可能性がある。
・経口避妊薬は性病予防効果がないため、コンドームの使用や予防薬の併用が望ましい。
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ミニピルとは
低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンが一緒に配合されているのですが、ミニピルは黄体ホルモンでのみで作用するピルです。
毎日決まった時間に1錠内服することで避妊効果があり、飲み忘れがない場合は低用量ピルと同等の避妊効果があります。
当院で処方しているセラゼッタはOrganon社が開発した、毎日内服することで効果が得られる第三世代・一相性の避妊薬です。
日本では未承認の薬ですが、海外では一般的に使われている薬であり安全性が確認されています。
ミニピルのメリット
低用量ピルやミニピルは高い避妊効果だけでなく、生理に関するメリットやホルモンバランスに関するメリットがあります。
特に、ミニピルは副作用が少なく長期的に内服する方にオススメされています。
休薬期間がなく内服ができる
低用量ピルは休薬期間(偽薬)がありますが、ミニピルは休薬期間がないため忘れることなく内服ができ長期的に内服する方にオススメです。
また内服中は生理がこないため、月経困難症や経血量の多い方にオススメです。
血栓症のリスクがほとんどない
血栓症とは、血液中でできた血の塊が血管を閉塞することで、障害を引き起こす病気のことを言います。
低用量ピルでは、頻度は高くないものの卵胞ホルモンが含まれている影響で血栓症のリスクが上がるといわれています。
ミニピルは卵胞ホルモンが含まれていないため、血栓症のリスクがほとんどないといわれています。
片頭痛がある方や、喫煙者、高齢の方でも内服できる
上記のように低用量ピルの内服は血栓症のリスクの増加が指摘されているため、もともと血栓症のリスクが高い方は内服が推奨されていませんでした。
しかし、ミニピルはそのような方でも内服ができることがあります。
ミニピルは授乳中でも内服できる
授乳中でも内服は可能です。
授乳中に7か月間内服し2歳半までの子どもへの影響を調べた研究では、影響がなかったことが報告されています。
ミニピルの注意点
ミニピルを使用する際は、下記の2点に注意が必要です。
毎日同じ時間に内服する
3時間程度のずれであれば大丈夫ですが、時間がずれるほど不正出血しやすくなり避妊効果も下がります。また頻繁に飲み忘れることで、効果が下がる可能性があります。
いつもの内服時間から12時間以上経ってから錠剤を服用した場合は、完全に妊娠を避けられない可能性があるため、7日間はコンドーム等の避妊具の併用が推奨されます。
不正出血が起きやすい
ミニピルは少量の出血が続くことがあります。
特に内服開始時が多いといわれていますが、内服中も起こる可能性があります。
また、おりものシートも必要としない程度の軽い出血から少量の月経に似た出血まで出血の程度は様々です。
出血があっても避妊効果はあるため、内服を中断することなく毎日飲む必要があります。
出血が長期化する場合や量が多い場合は、医師に相談してください。
また、下記の方は経口避妊薬が服用できない場合があります。医師とご相談ください。
経口避妊薬の服用に注意が必要な方
・妊娠または妊娠している可能性がある
・乳がんまたは乳がんの可能性がある
・血栓症の既往がある
・心血管疾患の既往がある
・乳糖不耐症、乳糖アレルギーがある
・ポルフィリン症
・肥満手術歴がある
・特定の抗てんかん薬を服用している
内服方法
生理開始日から内服を開始し、その後決まった時間に内服します。
1シートすべて飲み終えると、休まず次のシートの内服を開始します。出血が続いていても服用は続けてください。
低用量ピルからミニピルに変更する場合は、現在内服している低用量ピルの最後の実薬 (ホルモンの入っている薬)を服用した翌日にミニピルの内服を開始してください。
吐き気等の副作用は、内服を継続することで改善することがほとんどです。
1シート飲み終わっても副作用が軽減されない場合は、ご相談ください。
副作用が出現した時は市販の痛み止めや吐き気止めの併用は問題ございません。服用時間を寝る前にすることで副作用が気にならない場合もあります。
検査・処方の料金
当院で初回処方の場合は、まず医師の診察を受けていただきます。
必要に応じて、ピル採血(血液凝固採血)を実施し処方となります。
2回目以降の処方の場合は、診察は必須ではございません。副作用が気になる際や相談がある際は診察を受けてください。
ミニピル(セラゼッタ):1箱:3,000円、3箱:8,000円、6箱:15,000円(すべて税込)
・ピル採血(必要に応じて実施):2,500円(税込)
・初回処方時は診察料(初診料:2,500円、再診料1,000円(いずれも税込))が別途必要となります。
・検査結果は3〜4日後を目安にメールでお送りします。
・25歳以下の学生様の場合、割引がございますので学生証をご持参ください。
性病の予防について
ミニピルは低用量ピルと同様、避妊の効果はありますが性病の予防効果はありません。
性病は性行為などの粘膜接触により感染するためするため、コンドームの使用により感染率を大幅に下げることができます。
また、感染リスクが高い場合はミニピルと一緒に性病予防薬を内服することで感染率を下げることができます。
よくある質問
ピルに関するよくある質問を以下にまとめています。
将来妊娠できにくくなることはある?
ミニピルを止めれば、3ヵ月後に自然な生理周期に戻ることがほとんどです。正常な月経周期が回復すれば妊娠は可能であり、ミニピルを内服していたことにより妊娠できにくくなることはありません。
ミニピルは保険適応になる?
ミニピルは国内未承認の薬であり、保険適応外です。
飲み忘れたらどうしたらいい?
飲み忘れに気付いた時にすぐ1錠内服してください。また、次の錠剤はいつも通りの服用時間に飲んで下さい。24時間以上飲み忘れた場合は気づいた時に2錠内服し、次の錠剤はいつも通りの服用時間に飲んで下さい。※12時間以上内服がずれた場合は、避妊効果がなくなります。1週間はコンドームの使用など他の避妊方法と併用してください。
飲み始めたら一生飲まないといけない?
いつでも中止できます。中止後は避妊効果がありませんのでご注意ください。
出血があるってことは効果がないってこと?
不正出血はミニピルが効いていないことを示すものではありません。通常は特に処置は必要なく、そのままミニピルを服用し続けてください。出血が重い場合や長引く場合は、医師に相談してください。
<医師 塩尻 大輔> パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。 日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。 当院でも非常勤医師として診療いただいております。