トラベル外来

「中央アジア・西アジア」に留学・渡航される方へ

「中央アジア・西アジア」に留学・渡航される方へ

対象地域

アフガニスタン・カザフスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタン・タジキスタン・キルギス・イラン・イラク・アラブ首長国連邦・トルコ・サウジアラビアなど

この記事で言いたい事

中央アジア・西アジアでは基本的なワクチンの接種が推奨されます。

インフラが十分でない地域があるため、A型肝炎の接種をおこなうことは大切です。

サウジアラビアのメッカ巡礼に参加する場合は、髄膜炎菌ワクチン(ACWY)の接種証明書の提出が義務付けられています。事前に必ず接種しておきましょう。

また、アフガニスタンではポリオの発生がみられます。ワクチンの接種歴を確認しておくと安心です。

目次の各項目をクリックすると、記事の途中までジャンプすることができます。

オススメのワクチン

ワクチン推奨程度取り扱いワクチン接種回数費用
(すべて税込)
麻疹MMR
(PriorixまたはMMRⅡ)
1~2回10,000円
風疹
破傷風※1※3破傷風トキソイド1or3回4,000円
A型肝炎※2エイムゲン3回8,000円
Havrix2回15,000円
B型肝炎※2
長期滞在は推奨
ビームゲン3回7,000円
狂犬病
動物に触れあう場合推奨
ChiroRab3回13,000円
腸チフスTypbar TCV1回10,000円
ポリオ※3
アフガニスタンなどの
発生地域の場合推奨
DPT-IPV
(テトラビック)
1or3回13,000円
インフルエンザ
流行時期の場合推奨
インフルエンザ
HAワクチン
原則1回4,000円
髄膜炎菌ACWY
メッカ巡礼に際して
サウジアラビアへ
渡航する場合は必須
Nimenrix1回17,000円

★ 幼少期に基礎接種完了している場合は1回

※1 Tdap(破傷風・百日咳・ジフテリア)9,000円(税込)の取り扱いもございます。

※2 A型肝炎B型肝炎混合ワクチン(Twinrix)13,000円(税込)の取り扱いもございます。

※3 DPT-IPV(破傷風・百日咳・ジフテリア・ポリオ)13,000円(税込)の取り扱いもございます。ポリオワクチン単体の取り扱いはございません。

渡航先で注意すべき疾患は、下記のページで詳しく解説しております。

滞在先での注意事項

宗教行事・集会に伴うリスク

西アジアでは、宗教行事や大規模集会により感染症のリスクが高まることがあります。

麻疹や風疹などの基本的なワクチン接種は必ず確認しておきましょう。

サウジアラビアのメッカ巡礼(ハッジ・ウムラ)に参加する場合は、髄膜炎菌ワクチン(ACWY)の接種証明が義務付けられています。渡航前に必ず接種を行いましょう。

飲食による感染症の予防

中央アジアの一部地域ではインフラが十分でないことがあります。

飲食による感染症に注意が必要です。

生水や氷、生野菜、カットフルーツは避け、果物は自分で皮をむいて食べましょう。

食べ物や水を介して感染するA型肝炎や腸チフスは、事前のワクチン接種で予防可能です。

高山病への備え

標高2,400メートル以上の高地や山岳地帯では、高山病のリスクがあります。

徐々に高度に慣れるよう行動し、十分な水分補給を心がけましょう。

熱中症対策

西アジア・中央アジアともに、夏季は極端に高温になる地域があります。

熱中症対策として、日焼け止め、帽子、サングラスを活用し、水分をこまめに補給してください。

狂犬病など野生動物との接触リスク

野生動物との接触を避けることも重要です。

犬、コウモリなどから感染する狂犬病のリスクがあるため、動物に近づかないよう注意し、必要に応じて狂犬病ワクチンの接種も検討しましょう。

ポリオのワクチン接種歴の確認

アフガニスタンではポリオの発生がみられます。

また、昭和50年~52年生まれの方は、ポリオの免疫を保有している方の割合が他の年齢層に比べて低いことがわかっています。

該当の年代に生まれた方は、必ずワクチンの接種歴を確認するようにしましょう。

予約

予防接種は予約なしでも接種が可能です。

予約の方を優先にご案内しておりますので、予定が決まっている場合は下記よりご予約をお願いいたします。

来院時の持ち物

・母子手帳(コピーや写真でも可)

・書類(所定の書式の診断書やワクチン接種証明書の発行を希望の場合は書類をお持ちください)

この記事を監修した医師

<医師 忽那 賢志>
感染症内科専門医、医学博士。
日本最大のトラベルクリニックを擁する国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)にて、約10年間渡航医学・輸入感染症診療に携わり、現在も診療・研究などを行っておられます。
他の専門領域は新興再興感染症、新型コロナウイルス感染症で、メディアやインターネットなど様々な媒体で感染症の啓発に取り組んでおられます。
当院でも非常勤医師として診療いただいている他、トラベル外来の監修も行っていただいております。