HIVに感染したら~知っておきたい4つのこと~

HIV陽性と診断されたとき、多くの方が驚きや不安を感じます。
「これからどうすればいいの?」「恋人や家族にはどう説明したら…?」そんな気持ちを抱えるのは当然のことです。
ですが、今ではHIVは“治療継続によりコントロールできる病気”です。
しっかりと治療を続ければ、健康的な生活を送り、パートナーや周りの人に感染させずに暮らせます。
この記事では、HIV陽性と診断されたときに知っておくと安心できる、大切なポイントを分かりやすくまとめました。
この記事で言いたいこと
・リスク行為後72時間以内なら「PEP(ペップ)」という緊急予防薬がある
・他者への感染リスクは「治療」でゼロにできる(U=U)
医療費の助成など、生活を支えるサポート制度がある
・不安なときは一人で悩まず、医療者やHIV相談窓口に相談を
目次の各項目をクリックすると、記事の途中までジャンプすることができます。
PEP(ペップ)って何?
PEP(ペップ)とは、曝露後予防(Post Exposure Prophylaxis)の略です。
「HIVに感染したかも?」と思ったあとでも、72時間以内に薬を飲み始めることで感染リスクを大幅に下げることができます。
服用は1日1回、28日間 続けます。
PEPがすすめられるケース
・コンドームを使わず性行為をした
・コンドームが途中で外れた・破れた
・不特定多数と性行為をした
・相手がHIV陽性だと分かった
・性暴力被害に遭った
・医療従事者で針刺し事故が起きた
当院でもPEPのご相談が可能です。詳しくは下記のボタンよりご確認ください。
確定診断後の流れ
HIV陽性と診断された後は、基本的に次のようなステップで治療と生活の準備を進めます。
専門医療機関の紹介
HIVの治療は専門的な知識が必要なため、保健所や医療機関を通じてHIV専門外来に紹介されます。
紹介先では、専門医の診察のもと、今後の治療方針が決まります。
医療費を軽くする「自立支援医療制度」
HIVは長期治療になりますが、「自立支援医療(更生医療)」を利用すると、診察・検査・薬代が原則1割負担に軽減されます。
自立支援医療の詳しい内容については下記のボタンより厚労省公式ホームページより確認することができます。
検査と治療のスタート
初診時にはウイルス量(HIV-RNA)や自身の免疫機能(CD4値)を確認する採血を行い、体調もチェックします。
すぐに治療を開始する場合もありますが、基本的には自立支援医療取得後に開始する場合が多いです。
早期治療が基本ですが、医師と相談しながら無理のないペースで進められます。
早期治療の重要性、サポートについて
HIVは「早く見つけて早く治療する」ことで、健康に生活し続けることが可能です。
早期治療のメリット
・免疫細胞(CD4)を守れる。
・合併症のリスクを防げる
・他の人にHIVを感染させない(U=U)
正式には「Undetectable = Untransmittable(検出限界未満=感染させない)」と表現されます。
HIV医療において非常に重要なメッセージです。
治療は通常1日1回の内服から始まります。
最近の薬は副作用も少なく、日常生活をほとんど変えることなく続けられます。
また、HIVの検査結果待ちや、診断直後はとても不安な気持ちでいっぱいになるのは当然のことです。
そのため、様々な相談窓口やサポート体制を事前に知っておくことも重要です。
いだてんクリニックでできること
当院ではHIV診断後のフォロー体制が充実しています。
継続的なHIV治療と定期検査
当院は、自立支援医療(更生医療)の指定機関です。
HIVの継続的な治療、定期検査・診察が可能であり、生活スタイルに合わせたフォローを行っています。
陰性パートナーのPrEP(予防内服)も相談可能
「U=Uでも不安」「妊活前にもっと安全に」など、個別事情に合わせた相談も可能です。
性感染症の定期チェックも可能
当院では、HIV以外の性感染症の検査・治療も同時に実施出来ます。
他の医療機関との連携も可能
HIV以外の疾患で専門的なフォローが必要な場合、様々な医療機関等と連携し最適な医療を受けられるよう支援します。
<医師 塩尻 大輔> パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。 日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。 当院でも非常勤医師として診療いただいております。
