女性の悩み

経口避妊薬(ピル・OC)ってなに?

経口避妊薬(ピル・OC)ってなに?

ピルやOCと呼ばれる経口避妊薬は、主に避妊を目的に内服する薬ですが、避妊以外にも女性にうれしい効果がたくさんあります。

間違った内服方法や個人輸入のお薬の場合、副作用の増加や期待する効果が得られない可能性があるため、経口避妊薬についてしっかり理解し医療機関で購入することを推奨しています。

ここでは、経口避妊薬のメリットや注意点、種類や内服方法についてまとめて説明します。

この記事で言いたいこと

・経口避妊薬は高い避妊効果が期待できる。

・避妊効果だけでなく、ホルモンや生理に関するトラブルの改善も期待できる。

・喫煙者はより副作用に注意が必要である。

・経口避妊薬は性病予防効果がないため、コンドームの使用が望ましい。

目次の各項目をクリックすると、記事の途中までジャンプすることができます。

経口避妊薬とは

経口避妊薬とはOC(Oral Contraceptives)やピルとも呼ばれており、避妊を目的とした錠剤です。

毎日決まった時間に1錠内服することで避妊効果があり、一般的には妊娠する確率は9%といわれていますが、のみ忘れ以外での妊娠例は少なく、のみ忘れがない場合の妊娠する確率は0~0.59%といわれています。

2種類の女性ホルモン(黄体ホルモン、卵胞ホルモン)のはたらきで、服用中は排卵がおこらない状態となり、妊娠を防ぐことができます。また、受精卵の着床を防ぐ、子宮内に精子が入りにくくするはたらきもあります。

経口避妊薬は日ごろから毎日内服することで避妊効果があります。避妊に失敗してから内服を開始しても効果が期待できないため、避妊に失敗した場合は緊急避妊薬の内服を検討してください。

緊急避妊薬については下記のサイトで詳しい記事を読むことができます。

経口避妊薬のメリット

経口避妊薬については、高い避妊効果だけでなく他にもメリットがたくさんあります。

生理に関するメリット

生理痛の軽減や、出血量が減少することによる貧血の改善、子宮内膜症の予防や改善が期待できます。生理周期が安定し、出血日を把握しやすくなります。また生理の移動も可能です。

がんに関するメリット

卵巣がん、子宮体がんなどのがんのリスクを低減することが期待できます。

ホルモンバランスに関するメリット

ホルモンバランスが改善されることにより、PMS(月経前症候群)の改善やニキビ・多毛の改善が期待できます。

経口避妊薬の注意点

経口避妊薬の副作用として、主に吐き気、頭痛、おう吐、乳房の張り・痛み、不正出血などが挙げられます。

また、かなり稀な副作用ではありますが血栓症のリスクがあります。当院では安全に経口避妊薬を内服いただくために、1年に1回は血液凝固検査(血液が固まりやすくなっていないかを確認する検査)を行っています。

健康診断の検査には基本的に含まれない検査のため、当院や婦人科で検査を受けてください。また、喫煙は血栓症のリスクを高めるため注意が必要です。

下記の方は経口避妊薬が服用できない場合があります。当てはまる場合は、必ず医師に相談してください。

服用に注意が必要な方

・初経前、50歳以上または閉経後

・35歳以上で1日15本以上の喫煙

・前兆のある偏頭痛を持っている人

・高血圧

・妊娠または妊娠している可能性がある

・授乳中

・乳がんを患っている、治療中の方

・血栓症の既往がある場合

・心血管疾患の既往がある場合

内服方法

生理開始日から錠剤を開始し、その後毎日決まった時間に内服します。

当院で処方している1シート28錠の経口避妊薬については、1シート全部の錠剤を服用し終えたら、服用を休まず続けて次の新しいシートの錠剤の服用を始めます。

通常、シートの最後7日間の間に出血があります。出血が続いていても服用は続けてください。

頭痛や吐き気等の副作用は、内服を継続することで改善することがほとんどです

1シート飲み終わっても副作用が軽減されない場合は、ご相談ください。また副作用出現時は市販の痛み止めや吐き気止めの併用は問題ございません。服用時間を寝る前にすることで副作用が気にならない場合もあります。

検査・処方の料金

当院で初回処方の場合は、まず医師の診察を受けていただきます。

その後、ピル採血(血液凝固採血)を実施し処方となります。2回目以降の処方の場合は、診察が必須ではないですが、安全に内服いただくため1年に1回はピル採血を受けていただきます。検査結果で異常が出た場合は、経口避妊薬を中止する可能性があるため必ず診察を受けてください。

料金

初診料2,500円(税込)、再診料1,000円(税込)

ピル採血(血液凝固採血、初回・半年後を目安):2,500円(税込)

検査結果は3~4日後を目安にメールでお送りします。

※25歳以下の学生様の場合、割引がございますので学生証をご持参ください。

経口避妊薬にはいくつかの種類があり、副作用の出やすさやニキビ改善の効果など少しずつ異なります。当院で取り扱っている経口避妊薬は下記の3種類となります。

処方の希望がある場合や悩まれている場合は、診察の際にお気軽に医師や看護師にお申し付けください。

                 
トリキュラーマーベロンファボワール
世代2世代3世代3世代
相性3相性1相性1相性
特徴1錠に含まれる女性ホルモンの量が
数日ごとに少しずつ変わる。
ホルモンの量が3段階に分かれており
生理周期のホルモンバランスに近くなるので、
副作用が出にくい特徴がある。
1錠に含まれる女性ホルモンの量はすべて一定。
どの錠剤にもホルモンの量が一定に入っており、
男性ホルモン化作用が少なくニキビや
多毛症への効果があるのが特徴。
マーベロンのジェネリック医薬品(後発品)。
特徴はマーベロンと同じで、後発品のため
価格が安い。
費用
(学生料金)
2,300円/1シート
(2,100円/1シート)
2,300円/1シート
(2,100円/1シート)
2,000円/1シート
(1,800円/1シート)
こんな人に
おすすめ
不正出血が起きやすい
ピル服用中に不正出血が起こりやすい
ファボワールが安価で効果は同等なので、
ファボワールの処方が多い
生理をずらすことが多い
生理が来てほしくない
連続で飲み続けたい
ニキビやPMSに困っている

コンドームの使用について

経口避妊薬は避妊の効果があります。しかし、性病の予防効果はありません。

性病は性行為などの粘膜接触により感染し、コンドームの使用により感染率を大幅に下げることができます。

「経口避妊薬を内服しているから妊娠のリスクは限りなく低いし、コンドームはつけない!」という方もいらっしゃいますが、経口避妊薬では性病の予防効果がないため、コンドームを使用しないことにより性病の感染リスクを大幅に上げてしまうことになります。

そのため、経口避妊薬を内服している場合でもコンドームの使用は推奨されています。

詳しい性病については下のボタンより確認することができます。

よくある質問

ピルに関するよくある質問を以下にまとめています。

経口避妊薬を飲むと太るってホント?

最近の研究では、経口避妊薬の服用と体重増加の因果関係はないといわれています。   

将来妊娠できにくくなることはある?

経口避妊薬の服用を止めれば、1ヵ月後には約50%、2ヵ月後には約95%の方で自然な月経が回復するといわれています。正常な月経周期が回復すれば、妊娠は可能です。

避妊目的での使用は保険適応になる?

月経困難症などの治療で内服するLEPは保険適応になりますが、避妊目的で内服する経口避妊薬(OC)は保険適応外です。
当院での処方は、保険適応外のみとなります。

飲み始めたら一生飲まないといけない?

いつでも中止できます。中止後は避妊効果がありませんのでご注意ください。

飲み忘れたらどうしたらいい?

飲み忘れに気付いた時にすぐ1錠内服してください。
丸1日飲み忘れてしまった場合でも、2錠内服することはなく1錠のみ内服してください。
飲み忘れが続いてしまうと避妊効果が下がってしまうため、飲み忘れが怖い場合はアプリや携帯のアラーム機能を使用して確実に飲み忘れないようにしましょう。
飲み忘れ後の対応を迷う場合はお問い合わせください。

この記事を監修した医師

<医師 塩尻 大輔>
パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。
国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。
日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。
当院でも非常勤医師として診療いただいております。