HIV / PrEP・PEP

HIV・エイズの違いと感染予防・治療を正しく知ろう

HIV・エイズの違いと感染予防・治療を正しく知ろう

みなさんはHIVやAIDSという言葉にどのようなイメージを持っていますか?

2020年の日本人男女を対象とした意識調査によると、HIVは「死に至る病」というイメージを持つ人が約8割でした。

今でもメディアや過去の印象によって、HIVは「なんとなく怖い病気」という感覚が根強く残っています。

しかし、現在の医療ではHIV=死の病ではありません。

HIVの治療中であっても平均余命は変わらず、PrEPあるいはPEPというお薬の服用により、性行為前/後で予防することも可能です。

今回の記事では現在のHIV感染症についてお話していきます。

この記事で言いたいこと

・HIVとエイズ(AIDS)は同じではない。

・HIVは通常の生活では感染しない。

・HIVは予防できる時代となっている。

・HIVは適切な治療を行うことで他者に感染させず、通常通りの生活を送ることが出来る。

目次の各項目をクリックすると、記事の途中までジャンプすることができます。

HIVとエイズ(AIDS)の違いについて

HIVとは

ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)というウイルスの名前です。

HIVに感染した状態とは、体の中にHIVが住み着いている状態を指します。

エイズ(AIDS)とは

後天性免疫不全症候群(Acquired Immunodeficiency Syndrome)の略称です。

HIVに感染すると白血球の一種である「ヘルパーTリンパ球(CD4陽性細胞)」が壊され、徐々に体の免疫力が低下していきます。

その結果として通常ではかからないような感染症や合併症(23の指定された日和見感染症のどれか)を発症した状態のことを指します。

HIVに感染すること=エイズ(AIDS)を発症することではありません。

(図)公益財団法人エイズ予防財団から抜粋

HIVの感染経路と感染確率

HIVは血液、精液、膣分泌液、母乳などに多く分泌される為、主な感染経路は「性的接触」、「血液感染(針刺し事故など)」、「母子感染」となります。

以下のような方法では感染しません。

・握手・ハグ

・公共のお風呂やトイレ・プール

・食事の共有、同じ食器の使用

・咳やくしゃみ

HIVの感染確率は性行為の内容などによって異なりますが、コンドームを使用しない性行為を行った場合、約0.1~1%と言われています。

また、別の性感染症(梅毒や淋菌、クラミジアなど)に感染しているとHIVの感染確率は高くなります。

性行為の種類感染リスク
肛門性交受け手、ウケ約1.38%
挿入側、タチ約0.11%
腟性交受け手、女性側約0.08%
挿入側、男性側約0.04%

HIVの検査

HIV感染症を診断する時には「スクリーニング検査」と「確認検査」の2段階の検査が行われています。

スクリーニング検査とは

HIVに感染している可能性があるかを調べる検査です。

できる限り見落としのないような検査方法が選ばれている為、感染していないのに感染しているという結果が出ることがあります(偽陽性)。

その為、陽性でも必ずしも感染しているとは限りません。陽性反応が出た場合、次の段階として必ず確認検査を行います。

当院でも検査可能です。(感染機会から4週間以上空けると検査可能)

・HIV抗原・抗体検査 5,000円(税込) 検査結果…2~3日後

・HIV抗原・抗体即日検査 7,000円(税込) 検査結果…30分程度

確認検査とは

スクリーニング検査よりもより精度の高い方法(核酸増幅検査[NAT])で、HIV感染の有無を最終的に判断します。

当院でも検査可能です。(感染機会から2週間以上空けると検査可能)

・HIVリアルタイムPCR 11,000円(税込) 検査結果…7~10日後

※検査結果は日・祝、休診日を除きます。

HIVの予防(PrEP・PEP)について

HIVは予防薬を飲むことで感染リスクを最大99%以上減らすことが出来ます。

感染機会の前に飲む方法をPrEP(プレップ)、感染機会の後に飲む方法をPEP(ペップ)と言います。

詳しくは下記URLをご参照ください。

PEPは感染機会から72時間以内服用することが重要です。

当院では電話診療での診察・お薬の配送も可能ですので、お気軽に公式LINEでお尋ねください。

HIVの治療

現在のHIV治療では、抗HIV薬(ART:抗レトロウイルス療法)を毎日1〜2錠服用するのが一般的で、副作用も以前に比べて大幅に少なくなっています。

治療を継続することで、体内のHIVウイルス量は検出限界未満にまで抑えられ、健康な生活を維持することが可能になります。さらに、ウイルス量が検出されない状態が続けば、他の人に感染させることもありません。

つまり、HIVに感染していても、適切な治療を受けることで、安心して日常生活を送ることができる時代になっているのです。

当院は自立支援医療の指定医療機関ですので、HIVの継続的な治療を行うことが可能です。

この記事を監修した医師

<医師 塩尻 大輔>
パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。
国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。
日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。
当院でも非常勤医師として診療いただいております。