渡航先で注意すべき疾患
このページでは、渡航先で注意すべき疾患についてワンポイントの解説と、感染経路・症状・治療方法などについて、説明しています。
各ワクチンの推奨者やスケジュールについては、厚生労働省検疫所(FORTH)や各種ガイドラインに準拠しています。
当院では、お取り扱いのあるすべての薬剤を当日接種・処方することが可能です。
トラベル外来に関しては、すべて自費診療(保険外診療)となっております。
マラリア予防薬や、ワクチンスケジュールの詳細などは、下記をご参照ください。
渡航先ごとのワクチンの種類やスケジュールは、下記から調べることが可能です。
ご覧になりたい疾患を選択してください。
A型肝炎
・多くの途上国で流行(特に南アジア・アフリカ)
・食べ物から感染するので予防困難
・予防接種で確実な長期間の予防が可能
ヒトからヒトへの直接的な接触(糞口感染)、または汚染された食品や水の摂取によって感染します。
また、性交渉によって感染することもあります。
ウイルスに感染し、2-7週間の潜伏期間の後に、急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られ、数日後には黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)が現れます。
成人は小児よりも症状が現れやすく、高齢者では重症度と死亡率が高くなります。
特別な治療法はなく、症状を軽くするための治療を行います。
流行地域への滞在者、衛生状態の悪い国や地域への渡航者
A型肝炎に対するワクチンは、エイムゲン(国産)・Havrix(輸入)・Twinrix(輸入)を取り扱っております。
Twinrixについては、至急接種が可能です。詳しくは、医師にお問い合わせください。
抗体の持続期間は、およそ10〜20年です。
費用:1回あたり8,000円(税込)
接種回数:3回
接種スケジュール:初回、2〜4週間後、6〜12か月後
費用:1回あたり15,000円(税込)
接種回数:2回
接種スケジュール:初回、6〜12か月後
A型肝炎・B型肝炎の混合ワクチンです。
費用:1回あたり13,000円(税込)
接種回数:3回(至急接種の場合、4回)
接種スケジュール(通常):初回、4週間後、6か月後
接種スケジュール(至急):初回、1週間後、4週間後、1年後
A型肝炎やA型肝炎ワクチンについては、下記のブログもご参照ください。
B型肝炎
・持続感染により慢性感染、肝硬変、肝がんなどの原因となる
・感染者の体液との接触等で感染
・3回接種での抗体獲得は約90%
患者との性行為やウイルスに汚染された医療器具の使用により感染します。
患者から生まれた新生児は生まれた時点で感染していることがあります。
感染して90-150日の症状のない期間があった後、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)が起こります。
皮膚発疹や関節の痛みが生じることがあります。大人での死亡率は約1%です。
一部の人で慢性化し、肝硬変になることや、がん化することがあります。
急性のB型肝炎に対して、症状を和らげるための治療を行います。
慢性化した場合は、抗ウイルス剤による治療が行われます。
流行地域への長期滞在者、血液や体液に触れるリスクがある場合
B型肝炎に対するワクチンは、ビームゲン(国産)・Twinrix(輸入)を取り扱っております。
Twinrixについては、至急接種が可能です。詳しくは、医師にお問い合わせください。
抗体の持続期間は、およそ10〜20年です。
費用:1回あたり7,000円(税込)
接種回数:3回
接種スケジュール:初回、2-4週間後、6-12か月後
A型肝炎・B型肝炎の混合ワクチンです。
費用:1回あたり13,000円(税込)
接種回数:3回(至急接種の場合、4回)
接種スケジュール(通常):初回、4週間後、6か月後
接種スケジュール(至急):初回、1週間後、4週間後、1年後
B型肝炎やB型肝炎ワクチンについては、下記のブログもご参照ください。
麻疹
・アジアやアフリカに多いが、海外旅行の際にかかる可能性が高い
・感染力が強く成人で重症化しやすい
・妊娠中の感染で早産や流産のリスク
ウイルスに感染したヒトに直接触れる、感染者の咳やくしゃみなどにより麻しんウイルスを含んだしぶきが空気中に飛び散ることで感染が広がります。
感染して10〜12日の症状のない期間があった後、高熱、咳、鼻水が数日間持続し、口の中に小さな白い発疹ができます。
熱は一度下がりますが、半日程で再び上昇し、その後体中に赤い発疹ができます。
特別な治療法はなく、症状を軽くするための治療を行います。
感染歴がなく2回接種が終了していない1歳以上の方、抗体価が不足している方
麻疹に対するワクチンは、Priorix(輸入)を取り扱っております。
原則、Priorix(他のMMRワクチンも同様)を2回接種した後、追加接種は必要ありません。
麻疹・風疹・おたふくの混合ワクチン(MMRワクチン)です。
費用:1回あたり10,000円(税込)
接種回数:2回
接種スケジュール:初回、4週間後
麻疹・風疹・おたふくやPriorixについては、下記のブログもご参照ください。
風疹
・世界の多くの地域で一般的に存在する
・妊娠中の感染で流産や先天異常のリスク
ウイルスに感染したヒトに直接触ったり、感染者の咳やくしゃみなどによって飛び散ったウイルスを直接吸いこんだりすることによってうつります。
症状は、発熱、リンパ節の腫れを伴う発疹などですが、感染者の約25%から50%は無症状です。
妊娠初期に風疹に感染すると、死産のリスクがあるほか、先天性風疹症候群(白内障、心臓異常、聴覚障害など)の赤ちゃんが生まれることがあります。
特別な治療法はなく、症状を軽くするための治療を行います。
感染歴がなく2回接種が終了していない1歳以上の方、抗体価が不足している方
風疹に対するワクチンは、Priorix(輸入)を取り扱っております。
原則、Priorix(他のMMRワクチンも同様)を2回接種した後、追加接種は必要ありません。
麻疹・風疹・おたふくの混合ワクチン(MMRワクチン)です。
費用:1回あたり10,000円(税込)
接種回数:2回
接種スケジュール:初回、4週間後
麻疹・風疹・おたふくやPriorixについては、下記のブログもご参照ください。
おたふく
・特効薬がなく、対処療法
・大人は重症化しやすい
咳やくしゃみの飛沫を介して感染します。ムンプスウイルスが付着したドアや手すりに触れた手で粘膜を触ることでも感染します。
耳下腺の腫れが特徴の感染症です。2〜3週間の潜伏期間を経て発熱、頭痛、両側の耳下腺の腫れや痛みが出現します。
大人は子どもよりも重症化しやすく、脳炎や卵巣炎、精巣炎、難聴などの合併症のリスクがあります。
特別な治療法はなく、症状を軽くするための治療を行います。
感染歴がなく2回接種が終了していない1歳以上の方、抗体価が不足している方
おたふくに対するワクチンは、Priorix(輸入)を取り扱っております。
原則、Priorix(他のMMRワクチンも同様)を2回接種した後、追加接種は必要ありません。
麻疹・風疹・おたふくの混合ワクチン(MMRワクチン)です。
費用:1回あたり10,000円(税込)
接種回数:2回
接種スケジュール:初回、4週間後
麻疹・風疹・おたふくやPriorixについては、下記のブログもご参照ください。
破傷風
・発症すると集中治療が必要となる重症感染症
・全世界の土壌に破傷風菌が存在
・毎年約50万人が破傷風で亡くなっている
けがをしたときに傷口から破傷風菌が体の中に入ります。特に、動物の糞便で汚染された土壌が危険です。
感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれます。
その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡します。
発病した患者には、治療のための血清や抗菌剤を投与しますが致死率は10~20%と高く、非常に危険な病気です。
発展途上国への滞在者・野外活動(登山など)が多く外傷を負いやすい渡航者
破傷風に対するワクチンは、破傷風トキソイド(国産)・Boostrix(輸入)・テトラビック(国産)を取り扱っております。
抗体の持続期間は、およそ10年以上と考えられています。
費用:1回あたり4,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
破傷風・ジフテリア・百日咳の混合ワクチンです。
費用:1回あたり9,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
破傷風・ジフテリア・百日咳・ポリオの混合ワクチンです。
費用:1回あたり13,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
*幼少期に基礎接種を完了している場合は1回接種、完了していない場合は3回接種となります。
ジフテリア
・2010年以降、ナイジェリア、インド、インドネシア、ハイチ、ベネズエラ、イエメン、バングラデシュアなどでアウトブレイク
咳やくしゃみなどに含まれる唾液が口に入るとうつります。濃厚な身体接触によってもうつります。
唾液等がついた物品をさわることによってうつる場合もまれにあります。
1〜10日間の症状のない期間のあと、発熱、のどの痛み、倦怠感が起こります。
のどや鼻の粘膜上に膜のようなものができ、無理にはがすことにより出血します。重症になると、この膜がのどにつまって窒息することがあります。
抗生物質の投与による治療が行われます。
幼少期に基礎接種を終えていない方、流行地域への渡航(アフリカ、中南米、アジア、中東および東ヨーロッパ)
ジフテリアに対するワクチンは、Boostrix(輸入)・テトラビック(国産)を取り扱っております。
抗体の持続期間は、およそ10年以上と考えられています。
破傷風・ジフテリア・百日咳の混合ワクチンです。
費用:1回あたり9,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
破傷風・ジフテリア・百日咳・ポリオの混合ワクチンです。
費用:1回あたり13,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
*幼少期に基礎接種を完了している場合は1回接種、完了していない場合は3回接種となります。
百日咳
・ワクチン接種を行っていない人や接種後年数が経過し、免疫が減衰した人での発病は国内でも見られており、世界各国でいまだ多くの流行が発生している
・大人は軽症のことが多いが、子どもは重症化しやすい
咳やくしゃみの飛沫や接触により感染します。
特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症として発症します。
抗生物質の投与による治療が行われます。
幼少期に基礎接種を終えていない方、流行地域への渡航
百日咳に対するワクチンは、Boostrix(輸入)・テトラビック(国産)を取り扱っております。
抗体の持続期間は、およそ10年以上と考えられています。
破傷風・ジフテリア・百日咳の混合ワクチンです。
費用:1回あたり9,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
破傷風・ジフテリア・百日咳・ポリオの混合ワクチンです。
費用:1回あたり13,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
*幼少期に基礎接種を完了している場合は1回接種、完了していない場合は3回接種となります。
ポリオ
・流行のある国(アフガニスタン・パキスタン)に4週間以上滞在する方が出入国の際に接種証明書を求められる場合があり、最新の流行状況や出入国要件の確認が必要
・2019年にフィリピンでアウトブレイクあり
・昭和50〜52年生まれの方は獲得免疫が低い傾向
ポリオウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。
増えたポリオウイルスは、再び便の中に排泄され、この便を介してさらに他の人に感染します。
感染しても90%から95%の人は症状が現れずに、知らない間に免疫ができます。
しかし、感染してから3日から35日後に、発熱、頭痛、のどの痛み、吐き気、嘔吐などのかぜに似た症状が現れることがあります。
さらに、腸管に入ったウイルスが脊髄の一部に入り込み、主に手や足に弛緩性麻痺(だらんとした麻痺)が現れ、その麻痺が一生残ってしまうことや、呼吸困難で死亡することもあります。
特効薬などの確実な治療法はありません。
幼少期に基礎接種を終えていない方、ポリオ発生国への滞在
百日咳に対するワクチンは、テトラビック(国産)を取り扱っております。
抗体の持続期間は、およそ10年以上と考えられています。
破傷風・ジフテリア・百日咳・ポリオの混合ワクチンです。
費用:1回あたり13,000円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回のみ、または初回、3〜8週間、4〜6か月後
*幼少期に基礎接種を完了している場合は1回接種、完了していない場合は3回接種となります。
日本脳炎
・発症者の約20%が死亡、生存者の約40%に後遺症
・豚や野鳥を吸血した蚊の刺咬により感染
・日本では1954年から予防接種の勧奨あり
蚊によってブタからブタにウイルスが伝播します(ブタ→蚊→ブタの流行)。
ウイルスの媒介蚊は、主にコガタアカイエカ(コガタイエカ)で、日本をはじめ多くのアジア諸国に生息しています。
感染した人のうち、100人から1,000人に1人の割合で発病するといわれています。
通常6〜16日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔気、嘔吐がみられます。
次いで、意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の硬直などが現れます。
重症例のうち50%が死亡するといわれ、生存者の30-50%に精神障害や運動障害などの後遺症が残るといわれています。
特別な治療法はなく、症状を軽くするための治療を行います。
東南アジアの郊外、農村部への滞在者
日本脳炎に対するワクチンは、ジェービックV(国産)を取り扱っております。
抗体の持続期間は、およそ3〜4年以上と考えられています。
費用:1回あたり7,500円(税込)
接種回数:1回または3回*
接種スケジュール:初回、1〜4週間、6か月〜1年後
*幼少期に基礎接種を完了している場合は1回接種、完了していない場合は3回接種となります。
狂犬病
・多くの国が感染リスク国
・発症後の致死率はほぼ100%
・事前の予防接種で、動物にかまれた後の免疫グロブリン療法が不要
ウイルスは感染動物の唾液に含まれます。哺乳動物に咬まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで神経系の細胞に感染します。
動物は前足をなめるので、ウイルスの付いたツメで引っかかれても感染する可能性があります。
ウイルスが直接中枢神経を侵した場合、10日目あたりから、発熱、頭痛、全身倦怠や嘔吐などを起こします。
一方、末梢の神経線維に感染した場合には、ウイルスは非常にゆっくりと脳へ向かうので、発症まで一般的に1~3カ月程度の期間を要します。
極めてまれに発症までに数年の年月を要することもあります。
発症後は、ものを飲み込みづらくなり、液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするため、水を恐れるようになり、やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し死亡します。
哺乳動物に咬まれたときには、できるだけ早く病院を受診してください。
同時に、狂犬病のおそれのある動物に咬まれたら、傷口を石鹸と水(できれば流水)でよく洗い、消毒液で消毒します。
粘膜から感染する可能性があるので、決して傷口を口で吸いださないでください。
流行地域(ほとんどの国)への滞在者、衛生状態の悪い国や地域への渡航者
破傷風に対するワクチンは、ChiroRab(輸入)を取り扱っております。
破傷風ワクチンは、一般にすべてのスケジュールを終えれば、追加接種は不要とされています。
費用:1回あたり13,000円(税込)
接種回数:3回
接種スケジュール:初回、1週間後、3〜4週間後
腸チフス
・食べ物から感染するため予防困難
・南アジアで最多であり注意必要
・60-70%の腸チフスが予防可能、パラチフスは予防不可
火の通っていない生野菜、水・氷、海産物の接種
感染して1〜3週間は症状がなく、その後、高熱、頭痛、全身のだるさ、高熱時に数時間現れる胸や背中、腹の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が現れます。
熱が高い割に脈が遅いのが特徴的です。重大な症状として、腸から出血したり、腸に穴が開いたりすることがあります。
抗生物質を長期間服用します。
流行地域(アジア、中東、東ヨーロッパ、アフリカ)への長期滞在、衛生状態の悪い国や地域への渡航者
腸チフスに対するワクチンは、Typer TCV(輸入)を取り扱っております。
抗体の持続期間は、およそ2〜3年程度と考えられています。
費用:1回あたり10,000円(税込)
接種回数:1回
接種スケジュール:初回のみ
髄膜炎菌
・アフリカ中央部に多発し、特に髄膜炎ベルト地帯と呼ばれる地域が危険
・乾季(12月〜6月)に流行がみられる
・寮生活をする学生間でしばしば流行がおこる
患者の咳やくしゃみで生じた飛沫が気道に入り、血中から髄膜に達して、炎症を起こします。
1〜14日の潜伏期間の後に、頭痛、発熱と、首を動かしにくくなる硬直が起こります。
髄膜だけでなく、全身に細菌感染が及んでいるので、急激に症状が悪化したり、精神状態が変化することがあります。
治療しなければ例外なく死に至ります。
髄膜炎が疑われたら、できるだけ早く抗生物質と抗ウイルス剤の投与を行います。
髄膜炎ベルト(アフリカ中央部)の地域に渡航する人、ハッジ(イスラムの巡礼)に行く人、寮生活をする人
髄膜炎菌に対するワクチンは、Nimenrix(輸入、ACWY型)とBexsero(輸入、B型)を取り扱っております。
抗体の持続期間は、およそ2〜3年程度と考えられています。
費用:1回あたり17,000円(税込)
接種回数:1回
接種スケジュール:初回のみ
費用:1回あたり26,000円(税込)
接種回数:2回
接種スケジュール:初回、4週間後
インフルエンザ
・感染流行時期(11月-2月)の旅行は接種推奨
・ワクチンの接種により重症化予防ができる
患者の咳やくしゃみによって飛び散った飛沫を直接吸いこんだり、患者の飛沫で汚染されたものを触った手でものを食べたり目をこすったりするとうつります。
1〜4日の潜伏期の後、発熱、筋肉痛、頭痛、倦怠感、咳、くしゃみ、鼻炎などが起こります。
症状を軽くするための治療が行われます。重症化するリスクのある人に対しては、抗ウイルス剤による早期の治療が行われます。
流行時期の渡航
インフルエンザに対するワクチンは、インフルエンザHAワクチン(国産)を取り扱っております。
ワクチンは毎年接種が必要です。
ワクチン(国産)
費用:1回あたり4,000円(税込)
接種回数:1回
接種スケジュール:初回のみ
帯状疱疹
・感染力が強く、高齢者や免疫不全の方で重症化しやすい
・痛みが強く日常生活が困難になることも少なくない
・感染歴があっても予防接種で帯状疱疹が予防可能(50歳以上)
帯状疱疹の患者さんの水ぶくれ液からの接触感染が中心ですが、唾液から飛沫感染することもあります。
痛みやかゆみを伴う発疹が特徴です。帯状疱疹は治療後に症状が改善しますが、帯状疱疹後神経痛(PHN)という合併症を発症し、長期にわたり痛みが続いてしまう可能性があります。
抗ウイルス薬(ウイルスの増殖を抑える薬)と、場合によっては鎮痛薬(痛み止め)で治療を行います。
50歳以上で2回接種していない方推奨(49歳以下でも接種可能)
免疫不全状態の方
帯状疱疹に対するワクチンは、シングリックス(国産)を取り扱っております。
発症の予防効果は9年以上と言われています。
費用:1回あたり22,000円(税込)
接種回数:2回
接種スケジュール:初回、8週間後
帯状疱疹やシングリックスについては、下記のブログもご参照ください。
新型コロナウイルス感染症
・海外渡航時におけるワクチン接種証明書の必要性は極めて少ないが、ワクチンの接種により重症化予防ができる
・流行地域への渡航の場合は接種推奨
空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込む、患者の咳やくしゃみによって飛び散った飛沫を直接吸いこんだり、患者の飛沫で汚染されたものを触った手でものを食べたり目をこすったりするとうつります。
潜伏期間は最短で1日、最長で14日ですが、感染してから3日後から5日後に症状が出ることが多いです。
主な症状は、発熱、呼吸器症状(咳、咽頭痛)、頭痛、倦怠感などです。下痢、嘔吐、嗅覚・味覚障害も起こることもあります。
症状を軽くするための治療が行われます。厚生労働省の承認を受けている新型コロナウイルス治療薬には「抗炎症薬」「抗ウイルス薬」「中和抗体薬」があります。
感染による重症化リスクのある方、流行地域への渡航
新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは、コミナティ(国内承認薬)を取り扱っております。
新型コロナワクチンの種類(ワクチンに含まれる株)は、当面は毎年見直すこととされております。そのため、定期接種を行い場合、毎年接種が望ましいと考えらえます。
費用:1回あたり16,000円(税込)
接種回数:1回(前回の新型コロナワクチンから少なくとも3か月以上経過していれば接種可能。過去に接種歴がない場合は、およそ4週間の期間を開けて2回接種が必要。)
接種スケジュール:初回のみ(過去に接種歴がない場合は初回、4週間後)
<医師 忽那 賢志>感染症内科専門医、医学博士。 日本最大のトラベルクリニックを擁する国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)にて、約10年間渡航医学・輸入感染症診療に携わり、現在も診療・研究などを行っておられます。 他の専門領域は新興再興感染症、新型コロナウイルス感染症で、メディアやインターネットなど様々な媒体で感染症の啓発に取り組んでおられます。 当院でも非常勤医師として診療いただいている他、トラベル外来の監修も行っていただいております。