ジェンダー外来

台湾で行われたトランスジェンダー医療交流会に参加しました!

台湾で行われたトランスジェンダー医療交流会に参加しました!

2025年10月24日・25日に、当院の石内医師は、池袋医師・西家医師(Personal Health Clinic)、金久保医師(にじいろドクターズ理事)とともに台湾を訪問し、台湾トランスジェンダー医学会の先生方との交流や、台湾のLGBTホットライン「同志諮詢熱線」の訪問、台湾トランスジェンダーパレード、台湾LGBTプライドに参加してきました。

トランスジェンダーの人々への医療や支援について、台湾の現場から多くを学ぶ機会となりましたので、ご報告いたします。

台湾のLGBTホットライン「同志諮詢熱線」を訪問

台湾で長年活動しているLGBT支援団体「同志諮詢熱線(Tongzhi Hotline)」を訪問し、スタッフのみなさんと意見交換を行いました。

主なテーマは下記のものでした。

意見交換内容

・日本・台湾それぞれにおけるジェンダー外来(Gender Affirming Care)の現状

・トランスジェンダー当事者が医療にアクセスする際に直面する具体的なハードル

・LGBTQコミュニティと医療機関の連携のあり方

日本側からは、いだてんクリニックやPersonal Health Clinic などの取り組みについて、ジェンダー外来の開設の経緯や、ジェンダー医療を受けるための適切なプロセス、ホルモン療法の種類、費用などについて紹介しました。

台湾側からは、ホットラインやトランスジェンダーグループの活動について紹介していただきました。

日本・台湾に共通する課題

日本、台湾ともに、「トランスジェンダーの人々を診療できる医療機関が限られていること」や「地域によっては、そもそも相談先が見つからないこと」など、多くの共通する課題があることを認識しました。

特に印象的だったのは、台湾ではLGBTQコミュニティ自身が医療情報を自身で整理し、ガイドブックを作成して公開しているという点です。

信頼できる医療機関の情報や、ホルモン治療や手術に関する基礎知識、権利や制度に関する情報などを、コミュニティが主体となってまとめ、医療へのアクセスを少しでも良くしようとしている姿勢に、大きな学びがありました。

当院で大切にしている「医療体験」

いだてんクリニックには、月間およそ200人近くのトランスジェンダーの人々が来院されます。

特に最近では、日本国内だけでなく、近隣アジア諸国やアメリカ、カナダ、ヨーロッパからも問い合わせがあり、多くの方がジェンダー医療を当院で受けておられます。

当院では、日本国内だけでなく、世界各国のトランスジェンダー医療ガイドラインを参考にしながら診療を行っています。

たとえば:

・米国UCSF(University of California, San Francisco)のトランスジェンダーケアガイドライン

・WPATH(World Professional Association for Transgender Health)の「Standards of Care(SOC8)」

・オーストラリアの AusPATH(Australian Professional Association for Trans Health)

などなど、これらのガイドラインを日本のガイドラインと照らし合わせながら組み合わせつつ、文化や医療制度、費用面なども含めて患者様に適応したジェンダー医療を提供しています。

ジェンダー外来を受診された全ての皆様が「なりたい性に近づくための医療」を受けることができるよう、一人ひとりの「なりたい性」に向き合いながら、費用や生活背景などにも配慮しながらジェンダー医療を提供しています。

また、いだてんクリニックでは「何をするか(治療内容)」と同じくらい、「どのように受診できるか(医療体験)」 を重視しています。

仕切りのある待合席

周囲の視線が気になりにくいよう、仕切りのある座席を用意し、できるだけ安心してお待ちいただける環境を整えています。

呼名ではなく「番号」でのご案内席

院内では、受付・診察室へのご案内を含めたすべての時間で、お名前ではなく番号でお呼びします。

「なりたい性・呼ばれたい名前」で受診できる

ご本人が望む性別(男性/女性/ノンバイナリーなど)や名前でカルテの作成が可能です。「自分が自分らしくいられる状態で受診できること」も、ジェンダー医療の一部だと考えています。

ジェンダー医療を必要とされる方は、いつでも当院をご受診ください。スタッフ一同、真摯にお一人お一人の「なりたい性」に向き合い、あらゆるジェンダー・セクシュアリティに配慮した医療体験を提供いたします。