HPVとは?~子宮頸がんだけじゃない!男女の違いを徹底解説~

ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)は性交渉などによる粘膜同士の接触で感染します。
HPVは男女問わず関係するウイルスですが、違いがあります。
その違いを知ることは、自分やパートナーを守るために大切です。
今回はその違いについてご紹介します。
この記事で言いたいこと
・HPVは非常にありふれたウイルスで、性交経験のある人の多くが、生涯に一度は感染するといわれています。
・HPVが関連するがんには男女で違いがあります。
・シルガード9(HPVワクチン)は、女性だけでなく男性にも接種が認められるようになりました。
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HPVとは?
HPVは、200種類以上の型があるごくありふれたウイルスです。
85%の人が生涯に一度は感染するとされています。
主な感染経路は性交渉などによる粘膜同士の接触です。
性別や役割に関係なく、すべての性交渉で感染のリスクがあることを理解しておくことが重要です。
多くは無症状のため、知らぬ間に感染を広めてしまう可能性があります。
HPVが関連する病気と男女の違い
HPVはがんや尖圭コンジローマなどに関連していることが知られています。
男性の病気
・陰茎がん
およそ半分にHPVが関連しています。亀頭や包皮にできやすく、日本ではとてもまれながんです。
女性の病気
・子宮頸がん
ほぼ全てにHPVが関連しています。他のがんと比べて、若い年齢でかかることが多いです。
男女共通の病気
・尖圭コンジローマ
約9割にHPVが関連しています。特徴的な疣贅(いぼ)を形成します。
・肛門がん
約6割にHPVが関連しています。
肛門へのHPV感染は特に男性同性間で性的接触のある方(MSM)で高頻度にみられます。
・中咽頭がん
約7割にHPVが関連しています。
男女ともに増加傾向であることが知られています。

(図)がん情報サービスから抜粋
HPVワクチンと男女の違い
HPVの感染はワクチンで予防ができます。
詳細は画像をクリックしてご覧ください。

今回は男女の違いについてご紹介します。
・男性
4価・9価(2025年7月~)ワクチン
・女性
2価・4価・9価ワクチン
・男性
定期接種には含まれておらず、全ての年齢が任意接種。
・女性
小学校6年生〜高校1年生は定期接種の対象。
キャッチアップ接種の1回目の接種については、2025年3月31日で終了。
現場の声から
診察時に「子宮頸がん検診で異常を指摘されましたが、経過観察と言われて不安です。」、「パートナーがHPV陽性だったので、自分も検査をしたいです。」というご相談をよく受けます。
患者さんが不安に感じられるのは当然ですが、HPVに対する直接的な治療薬はありません。
コンドームだけでは完全に予防ができず、最も有効な予防方法はワクチン接種です。
<医師 塩尻 大輔>
パーソナルヘルスクリニック院長、医学博士。
国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とパーソナルヘルスクリニックにて、HIVやPrEPをはじめ、性感染症・性病検査に関する科学的根拠に基づいた正しい知識と、患者様の心に寄り添った医療を提供されています。
日本生まれですがアフリカのケニア育ちで、現地でも医師免許を取得しており、医療支援や教育支援等を実施されています。
当院でも非常勤医師として診療いただいております。
